平日、保育園に子どもを預けている保護者の方の中には急に土曜日に仕事に出なくてはならなくなった時もあるでしょう。そんな時に利用をするのが保育園で行っている“土曜日保育(以下、土曜保育)”ですが、保育士に怪訝そうな顔をされたことはありませんか?
そこで今回は肩身の狭い思いをしている保護者の方のために、土曜保育の実情についてご紹介します。実際に土曜保育を利用した保護者の体験談から、保育園の土曜保育以外の子どもの預かってもらえる制度のご紹介まで取り上げていきたいと思います。
そもそも土曜日に保育園に子どもを預けることはできるのでしょうか。
近年は働き方が多様化してきており、在宅勤務や夜間勤務などライフスタイルに合わせて仕事をしている保護者の方も増えている一方で、まだまだ土曜保育を利用される方も少なくないでしょう。そのため基本的にはどこの保育園でも土曜保育や休日保育を行っています。ただし園によって、土曜に預けられる条件が異なり、時には就労証明書などの書類を求められる場合があります。地域によっては土曜保育を行っていない園も存在しますのであらかじめ確認しておきましょう。
それでは実際に土曜保育を利用した保護者の声を見てみましょう。
以上の体験談は、土曜保育を利用した一部の保護者のお声となります。しかし、土曜保育はどこの保育園でもあまり良い顔をしてもらえないのが現実のようです。
土曜保育を利用する際にはそれぞれの通っている保育園によって申請方法などが、平日に行っている通常保育と異なる場合があります。そこで一般的な土曜保育の利用概要をまとめてみましたので参考にご覧ください。
基本的に保育園によって様々ですが、多くは「利用希望日の数日前や1週間前まで、または毎月20日までに申請用紙を提出する」というルールがある保育園が多く、このような申請方法に従わないと子どもを預かってくれないこともあるようです。こんなに申請に厳しい理由としては保育士のシフト調整や確保と給食の手配など保育園側も準備をしなければならないためです。
通常の保育とは保育時間が異なる園が多く、朝7時~夕方18時までなどと平日よりも短めとなっており、地域によっては午前中のみという場合もあります。その上、平日のような延長保育を行っていないこともあるので、平日と同じ感覚で預かってもらうのではなく、きちんと「何時まで預かってくれるのか」事前に確認しておくことが非常に大切です。
土曜保育の場合でも給食やおやつが出る保育園もありますが、別途料金が必要だったり、希望者のみ手配ということも。またはおやつは出るけどお昼ご飯はお弁当を持参する保育園もあるなど、園によって様々です。
保育園によっては基本保育料金内で預けられ、別料金が発生せずに利用できることがあります。しかし、民間の保育園や認可外保育園の場合には、別料金が発生するので平均2,000~4,000円/日のところが多く、やはり平日の保育料よりもやや割高になっているのが一般的です。
また、下記の例のようにGWなどの特別休暇の際には特例で指定の日時のみ預けることが可能等の施策を実施している自治体もあります。
例)ゴールデンウィーク中の保育について(千葉県浦安市) | |
---|---|
日付 | 平成31年4月30日、5月2日 |
時間 | 7:00~19:00 |
場所 | 東野保育園、高洲保育園 |
対象 | ①浦安市内認可保育園などに在籍していること ②勤務証明書で、保護者及び同居人家族全員の利用当日の就労が証明できること ③健康で集団保育が可能な生後4か月以上であること |
定員 | 先着順(1日の定員各園10認程度※年齢によって受け入れ可能な人数に限りがあります) |
費用 | 0歳~2歳:1日3,500円 3歳~5歳:1日2,500円 ※食事代、おやつ代を含む |
持ち物 | 着替え一式(2~3組)、おむつ、おしりふき、ビニール袋、食事用エプロン3枚(0歳~2歳)、食事用ハンドタオル3枚、コップ、午睡用バスタオル2枚など |
申込 | 申し込み期間に直接保育園に電話で申し込み |
申込期間 | 4月8日~4月12日 午前9時~午後4時 |
※申し込み後、書類提出し、面接が必要となります
時には、保育園の決まりである申請日に間に合わずに土曜保育が利用できなかった!など子どもを預けたいのに預けられないこともあるかと思います。そんな時に役立つ情報をご紹介します。
一時保育は育児負担の軽減を目的として子どもを一時的に預かってくれる制度なため、仕事はもちろんのこと急な用事やリフレッシュなど私的な事情でも利用可能です。各自治体によって申請や利用方法が異なりますが、利用料金は平均約2,000~3,000円/日かかり利用施設によっては10,000円をも支払う場合があります。また私的理由での利用も可能なため、すぐに定員に達してしまい非常に予約を取ることが困難です。なかなか電話すら繋がらず、とある保育園が行っている一時保育では「予約の電話は通園している子ども達が昼寝中の時間帯のみ」など予約の時間帯も決められていることもあり、一時保育を利用するまでに時間が関ってしまうことがありますのでご注意ください。さらに、毎日通っている保育園ではないため子ども自身が保育士や他の子ども達に人見知りしまうことも考えられますので子どもの心のケアも必要となります。しかし、基本的に保護者の育児疲れによる身体的・精神的負担を軽くするために設けられているものなので、ややデメリットは多くありますが、心に余裕を持つきっかけとしてでも子どもを預けてみはいかがでしょうか。
※一時保育の詳細は、お住まいの実施市区町村へお問い合わせください。
※尚、東京都の一時保育施設の一覧は「東京都福祉保健局」から確認が可能です。
一時保育の利用について(一例) | |
---|---|
対象 | 指定区域に居住している生後4か月以上の就学児 ※定期的に集団保育(幼稚園など)に預けている場合は「緊急保育」のみ対象となる場合もあります |
保育時間 | 一日利用・・・午前8時~午後5時(土曜日は正午まで) 半日利用・・・午前8時~午後1時、午後1時~午後5時 |
利用料 | 3歳児未満/1日2,000円 3歳児以上/1日1,000円(半日の場合は半額) ※昼食を利用する場合は、1食200円 |
申込 | 利用開始希望日の前月1日~当日までに電話で利用希望する園へ申し込み ※初めて利用する場合は原則として利用日の前日までに申し込み |
厚生労働省が「子ども・子育て支援新制度」の開始に伴って、平成27年度から「地域子ども子育て支援事業」として実施している制度です。概要としては以下の通りとなります。
つまりは、この制度の会員となっている子育て援助を行いたい地域住民の方が、援助を受けたい方に対して育児のサポートをしてくれる“地域の中で支え合うシステム”です。そして各自治体に設けられているファミリー・サポート・センターのアドバイザーが会員同士の仲介や紹介、交流会の開催、連絡調整を行っています。
全国の実施状況(平成29年度実績) | |
---|---|
実施市区町村数 | |
基本事業 | 863市区町村 |
病児・緊急対応強化事業 | 151市区町村 |
会員数 | |
援助を受けたい会員 | 57万人 |
援助を行いたい会員 | 13万人 |
こちらも会員登録さえしていれば、仕事以外にも兄弟の習い事や行事参加など短時間の利用も可能となっていますので、近くに親戚もいない方や急な残業・出張の日でも安心な制度です。
※ファミリー・サポート・センター事業の詳細は、お住まいの実施市区町村へお問い合わせください。
※尚、東京都のファミリー・サポート・センター事業の一覧は「東京都福祉保健局」から確認が可能です。
ファミリーサポート制度(一例) | |
---|---|
対象 | 区または市内在住で生後57日目から小学校6年生の子供 |
利用料 | 月曜日~金曜日午前6時から午後10時/1時間あたり700円 土曜、日曜、祝日、休日および年末年始(12月29日から1月3日)ならびに上記以外の時間/1時間あたり900円 |
宿泊 | 午後10時から翌6時まで/1泊8,000円 前後必要な時間/通常利用料を加算 |
会費 | 1,200円(入会時のみ) |
受付 | 月曜日から土曜日 午前9時から午後5時まで(日曜、祝日、年末年始を除く) ※アドバイザーが常駐し、入会説明などを実施 |
このように子どもを預けられる施設は保育園だけではありません。各役所に相談してみたり、託児所やベビーシッター、地域の子育て支援を活用してみるのも良いのではないでしょうか。
また子どもが病気にかかってしまった場合には保育園には預けられないため、病児保育室も事前に調べておいて必要な場合にすぐにお願いできるように準備をしておくと安心です。
土曜保育は保育園にすべてを任せするだけでなく、働き方や家族のサポートを含めてバランスを取りながら利用していきましょう。
保育園での土曜保育は、現在ほとんどの園で実施しています。しかし、園の状況次第では預けられなかったり、急用時には対応してもらえなかったり、利用してもあまりいい顔されなかったり…とさまざまな問題があります。そこで少しでも保護者も保育園側も気持ち良く土曜保育を行えるように、まずは“早めの相談”から取り組んでみましょう。園側があまりいい顔をされない理由としては、保育士の人員確保からシフトの調整、給食・おやつの準備、環境整備などをしなければならず、子どもの命を預かる場としても急な対応は難しいようです。なので、出来るだけ土曜保育がお願いすることになったらなるべく早めに保育園へ相談することで保育士のシフトも調整しやすくなるでしょう。また、普段から保育園と良好な関係を築いておけば、急な調整も柔軟に対応してもらいやすくなるでしょう。
保育園と良好な関係を築くポイント |
---|
・日頃から保育士とのコミュニケーションを大切にする ・「ありがとうございます」「今日もよろしくお願いします」など感謝の言葉を伝える ・絶対に嘘をつかない ・報告、連絡、相談を迅速にする ・保育園のルールを明確にし確認する |
ぜひ上記のポイントを意識して取り組み、保育園には土曜保育だけではなく、いつでも気軽に子育ての相談ができるような関係を築いていきましょう。
ただ、土曜保育をお願いする場合は事前申請が必要な場合が多く、申請期限を過ぎてしまうと預けられない可能性があります。そんな時には今回ご紹介してたような“一時保育”や“ファミリーサポート”の活用も選択肢の一つとして知っておくことで万が一の時にでも慌てずに子どもを預けることができますよ。