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クレームに悩む保育士必見!対処法をクレームのパターン別にご紹介!

保育業界の中でも近年急激に増加している“保護者からのクレーム問題”。決して他人事ではない問題であり、現に理不尽なクレームに悩んでいる保育士も多いことでしょう。
保護者への対応をひとつでも間違えてしまうと、大きなトラブルに発展して、最悪の場合、裁判沙汰にまでなることも少なくありません。そこで今回はそんな2次クレームを防ぐためのクレームへの正しい対処方法からクレームを生み出してしまう原因・背景まで徹底的に学んでいきましょう。

保育園側が受けるクレームの背景とは?

さて、増え続ける“保護者からのクレーム”の背景にはどのようなものがあるのでしょうか。
ひとつは、テレビやインターネット、SNS等で保育園の不祥事や、歪曲した保育情報などが発信される機会が増えたことがクレーム増加の要因であると考えられます。
そういった多くの情報は、信憑性がない間違った情報も含めて保護者の耳に簡単に入るようになり、保育現場へのマイナスな先入観や不安は次第に園に対する不信感へと繋がっていきます。また、メディアでも取り上げられている教育論は、保護者独自の「子育て論」「理想の子育て」に大きな影響を与え、保育園の方針を超えて強要するところまで発展してしまっています。
保護者の中には保育士をサービス業だと捉えている方が多く、過剰な消費者意識を持たれている方もいるようです。
また、核家族化や近所付き合いが希薄な家庭が増えたこともあり、身近に子育てを相談できる相手が居ない環境にいる保護者は、ついついそのストレスの矛先を保育士へ向けてしまうこともあります。このようにクレームの背景や原因は、保護者自身の人格もありますが、その多くが保護者を取り巻く環境や氾濫するネットの情報などによって引き起こされているのです。

保育園へ通わす保護者のクレーム心理とは?

保護者の大半の心理として、園に子どもを預けられなくなってしまうと仕事ができずに生活に困ってしまうことが考えられ何かあった時の為にも「保育園との関係は良好なものにしておきたい」と思う保護者が多いようです。したがって日頃から園に直接不満を漏らす方は少なく、言いたい事を我慢している傾向にあります。そんな心理状況下で一つでも園に綻びや指摘箇所があった場合には「本当はもっと言いたいことがあるが、その中でもどうしても言いたいことだけを伝えに来ている」という可能性が高いでしょう。これは一般的には“サイレントクレーム”という現象に近く、該当の施設や従業員に向けては文句も何も言わずに、不満を持ったままSNSへの書き込みや周りの友人・知人へ口コミというが形でクレームを広げる事象が保育園でも起きている可能性があります。
また要求やクレームを伝えてくるということは「クレームを認めて欲しい、気持ちを受け止めてほしい」という「承認欲求」の気持ちがあるからされます。その為、話し合いが上手くいかずに結論も出ず何も解決しないまま終わってしまうと、ますます不満が膨らんでしまいますので、きちんとした折り合いがつくまで話し合をすることを強くオススメします。

保育園に多いクレームをご紹介します!

それでは保育園に多く寄せられるクレームの具体例をいくつかご紹介したいと思います。
もちろん、クレームの中には園側で改善が必要な案件もございますが、一般常識では考えられない理不尽なクレームも近年は増えているようです。

クレームパターン①
「うちの子への対応が悪い!」
「写真を撮る時は中央に自分のこどもを写して!」
「うちの子が主役以外の役なんて考えられないですよね?」

基本的に保育士は子ども達全員に対して、なるべく平等に接するように心がけ保育を行っています。しかし、我が子を愛するあまり“特別扱いをしてほしい”と思う保護者も多く、このようなクレームを受けてしまうことが多々あります。

クレームパターン②
「寒い日に外で遊ばせたことでうちの子が風邪をひいた」
「娘が日焼けをするから屋外で遊ばせないで!」
「運動会で『気をつけ』と号令をかけていたが、軍隊みたいな教育をするな」

保育士は、子ども達には色んなことを体験させ、そこから多くのことを学び成長してほしいと願う園の方針の元で保育活動を行っています。しかし、最近では保護者が勝手な子育ての持論を持ち込み、ぶつかり合うこともしばしば。園側からすると理不尽と思うクレームが相次ぐそうです。

クレームパターン③
「うちの子が絵が下手なのは、先生の教え方が悪いせい!」
「歌やお遊戯のときうちの子だけ居残りさせるのはなぜ?」

家庭によって教育方針も様々ですが、子どもの自由な行動を制限するようなクレームも実は多く、保育士からすると“子どもの個性を否定”することになってしまうため、保護者と話し合っていきたいところです。

クレームパターン④
「保育園で汚れた衣類は洗濯してほしい」
「トイレトレーニングは園に任せているのに何で一人立ちできないの!?」
「朝は忙しいので、朝食やおむつ替えは保育園でしてほしい」

本来であれば保育園(保育士)と保護者は、連携をし合って子育てに取り組んでいく関係です。ですが保護者の中には保育園を「お金を払ってサービスをしてもらう」サービス業だと思っている方もいるようで、過剰なサービスを求められることも。

新人保育士がしてしまうなNGな保護者対応―クレームを受けた時の心理とはー

「保育士としてこれから頑張っていこう!」と張り切っている新人保育士さんも、保護者からのクレーム対応は避けては通れないでしょう。しかし、保護者からは新人もベテランも関係なくプロの保育士としての対応を求めています。とは言え、最初は好ましくない対処をしてしまうことも…そんな新人保育士さんが気をつけるべきポイントをまとめましたのでぜひ参考にしてみてください。

NG対応「クレームを言ってきた保護者の味方になる」

保育中では、どうしても子ども同士でケンカをさせてしまってケガをさせてしまうこともあります。そこで我が子がかわいいあまりに「〇〇ちゃんがうちの子を叩きました。ちゃんと謝らせて」「クラス替えをして」と、クレームを言ってくる保護者がいます。ここでつい陥ってしまいがちな保育士の心理として、強くクレームを言ってきた保護者や被害者のご家庭の方の味方になってしまいがちです。しかし、保育士は公平で中立的な立場でなければなりません。どちらか一方の意見を鵜吞みにはせずに双方の架け橋となるように接しましょう。

NG対応「興奮して早口になってしまう」

クレーム対応のコツはまずは“相手の話しを遮らずに最後まで聞くこと”です。しかし、まだクレームや保護者対応に慣れていない新人保育士だと、ついクレームや指摘を受けてしまうと相手の言動に対してすぐに訂正したり、こちらの言い分を早く伝えてしまうなど、討論のように相手の発言を遮り、早口になってしまいがちです。このような状態になってしまうと、相手もヒートアップしてしまい、何の解決にも至らず不快感や不信感ばかりが募ってしまいます。まずは、保護者の話をしっかりと最後まで傾聴し、自分が話せるタイミングとなったらゆっくりと話すことを意識しましょう。次第に保護者も落ち着きを取り戻すでしょう。

NG対応「保護者からの理不尽なクレームを全力で否定する」

保護者からのクレームの中には、あまりにも身勝手な要求をされることがあります。いくら保育士とはいえ、苛立ちを隠せないこともあるでしょう。しかし、前述のとおりにクレームを伝える心理として「認められたい」と思っていることが多く、否定してしまっては余計に逆上してしまいます。「でも」「どうしてですか」「できません」「違います」「そんなことはありません」などの否定語の発言は控えるように心掛け、まずは保護者の言葉を受け止めてることに徹しましょう。

はじめが肝心!保護者からのクレーム対処方法をご紹介!

ここからはキャリア問わず保育士のみなさまに向けて、クレームの対処方法についてご紹介していきます。

保育士のためのクレーム対処方法①まずは冷静になりましょう

クレームを口にしている方の多くは、興奮しているので早口で言いたいことを一方的に伝えてきます。聞き取りにくいこともありますし、何を伝えたいのか理解できないこともあるでしょう。けれどそんな時こそ保育士が冷静さを失ってしまっては解決できる事案も解決できません。最もよくないのは、冷静さを欠き、理解していないまま早く終わらせようと妥協案を提案してしまうことです。これは“2次クレーム”を発生させてしまう要因にもなるため、まずはあなた自身が冷静になりゆっくりと話すことで、落ち着いた雰囲気を作ることを心がけましょう。

保育士のためのクレーム対処方法②否定語は使用しない

上項の「新人保育士がしてしまうなNGな保護者対応―クレームを受けた時の心理とはー」でも述べましたが、「でも」を筆頭に「無理です」「では、どうすればよいのですか」「何をおっしゃるのですか」といった逆ギレとしても捉えかねない、相手の言葉や気持ちを否定するような言動は控えましょう。理不尽なことを言われたとしても、まずは受け止めることを第一にしてください。また、その場で返答が難しい場合には無理やり答えを出そうとせずに、上司に相談するために「一度持ち帰らせて頂きまして・・・」と対応するのが良いでしょう。

保育士のためのクレーム対処方法③事実を認めること

保護者から理不尽な要求やクレームが来たとしても、まずは謙虚な姿勢を心がけ、相手の言い分を受け止めましょう。ただし、「全て保護者の言う通りにする」ということではありません。「わかりました。不快な思いをさせてしまったこと大変申し訳ありませんでした。〇〇さんがのお気持ちとしては△△ということですよね?」と復唱をし、一度相手の言い分を受け止めることによって保護者の方に理解しようとする気持ちが伝わり、2次クレームへのトラブル発展防止となります。

保育士のためのクレーム対処方法④話し合いの着地点を作る

クレームの要求内容によっては、すぐに解決が難しいものもありますが、困難だからといって結論をうやむやにしてしまうと保護者は余計気分を害してしまうでしょう。そうならないためには話し合う前に、話の着地点を作っておきましょう。はっきりとした結論が出なかったとしても、事前に話の着地点を作っておくことで、話が大きく脱線したり、誤解を招くようなことはなくなるでしょう。
もし、なかなか納得いただけない場合は、「園長にもその旨をお伝えします」といったかたちで、園の責任者や上司を交えた話し合いの場を設けることで、個々ではなく園全体として対応する姿勢を示すことができるので、解決に至らないとしてもある程度納得してもらえるのではないでしょうか。

クレームを鎮めるための言葉と態度のポイント!

クレームが発生した場合は、大前提として「不快な思いをさせてしまい、誠に申し訳ない」という謝罪の気持ちを表すことが大切となります。決して軽い口調で話さず、語尾を伸ばさずに真摯な態度を示しましょう。以下で、クレームを鎮めやすい言葉選びと態度のポイントをご紹介します。保護者との関係が悪化することのないように実践でもぜひ役立てていただければと思います。

事実確認をし、きちんと謝る姿勢を見せる!

まずは保護者の方の話を根気よく聞き、内容が把握できたところで、「何」に不満を持っていて「どうしてほしい」と考えているのかを明確にすることが大切です。そして園側、保育士側に非がある場合には決して言い訳をせず、その場で素直に謝りましょう。ただ“謝ること”と“非を認めること”は別問題ですので、しっかり事実確認をするようにしましょう。

保護者の話に耳を傾けて共感を示す!

まずは保護者の話に最後まで耳を傾け、相手の心情を理解することを最優先で「おっしゃるとおりです」「お気持ちはよくわかります」などといった言葉を添えながら、相手を受け入れる姿勢を示しましょう。クレームを言う立場としては「言っていることを理解してもらえないんじゃないか」「受け入れてもらえないんじゃないか」という不安や怒りがあります、その気持ちを汲み取ってあげることで事態を最小限におさめる効果が期待できます。

相づちのタイミングは適切に!

しかし、傾聴している態度を示すのは難しもの。そこで、話を聞いている間は会話に合わせて「そうですね」「はい」などと相づちをうつことにより“話を聞いている”という姿勢を表しましょう。発言内容を復唱するのも効果的ですが、相手の言葉を遮ったり、「はいはい」というようなぞんざい粗雑な相づちは、話を聞く気がないと思われて余計にこじれてしまう可能性があるので注意してください。

クレームや問題に対する解決策(代替案)を提案する!

謝罪をする際は、丁寧な謝罪を心がけ、相手の要望にはできる範囲で寄り添うような形で再発防止に努めながら問題の解決策を提案しましょう。尚、園の方針や物理的、人員的な理由からできないことが多々あるのは当然のことなので、要望に100%応えることは難しいでしょう。しかし、その旨をそのまま伝えてはクレームは沈下しません。100%の要望対応は不可能だとしても、できることとできないことをきちんと説明しましょう。また提案したことに対して同意を頂けた場合には、「ご理解(ご協力)ありがとうございます)」と感謝の言葉を添えることも忘れずに。

クッション言葉をうまく使う!

解決策や代替案を提案する際にも伝え方にポイントがあります。クッション言葉という、相手にお願いをしたり、異論を唱えたり、お断りをしたりするに際に“言葉を柔らかく伝える”ために添える言葉を添えて提案することにより保護者の方に聞く耳を持っていただける効果があります。
また、保護者からの要望にどうしても断らなければいけない時にもクッション言葉を活用していきましょう。決して「できません」「無理です」といった拒否や拒絶の言葉は使わないでください。

使えるクッション言葉一覧

頼み
「恐れ入りますが」
「お手数をおかけしますが」
「すみませんが」
「恐縮ですが」
尋ねる
「よろしければ」
「失礼ですが」
「差し支えなければ」
断る
「あいにくですが」
「申し訳ございませんが」
「残念ですが」「せっかくですが」
「大変申し上げにくいのですが」

クレームに対して「お詫び」と「感謝」を忘れずに!

クレームや怒りというエネルギーは思っている以上に非常に体力や精神力、時間も使用してしまいます。毎日忙しい保護者の方の手間をかけしまったことや少しでも保育の質を上げるご意見であったことを「お詫びと感謝」に変えて保護者との関係を築きましょう。さらに、「今後も何かあれば教えてください」という言葉を添えて、一緒に育てていきたいという姿勢を示すことも必要です。

2次クレーム・大きなトラブルへと発展しないためには…

保護者からのクレームに対して、どんなに誠意をもって対応しても事態の収拾がつかないことは大いに考えられます。そのうえ相手を適当にあしらってしまったり、実現不可能な約束や代替案等をその場で取り繕ったりしてしまうと余計に事が大きくなり、二次クレームさらには裁判沙汰にまで繋がる危険性があります。そのような事態を招いてしまう前に、下記を意識して対応していきましょう。

早い段階で誰かに相談をする

クレームが発生した場合には、速やかに先輩や主任保育士に相談をすることをオススメします。クレームや揉め事を下手に隠してしまったり対処を後回しにすると、余計に事態が悪化して大きなトラブルに発展することがあります。保育士一人では対応できないことでも園全体で共有することでトラブル回避できるものも多くあります。

保育園の代表として対応するという意識を持つ

保育士一人であまり事の重大さを理解できずにクレーム対応していると、保護者はその対応が“保育園の総意”であると思われるでしょう。したがって自信のない解決策では園の信頼度が揺らぐほど影響を与えしまうこともあります。十分な対応ができないのであれば、とにかくは早めに他の保育士に助けを求めましょう。

まとめ
子ども達のためにと保育を熱心に行っていてもクレームはどうしても発生してしまいます。
クレームは理不尽で悪質なものも中にはありますが、基本的には第三者からの客観的な意見として素直に受け止め、日々の仕事に活かせるようにしましょう。