人間関係の悩みはどの仕事でも付きまとうものですが、中でも女性が8~9割を占める幼稚園や保育園においては独特な人間関係が生まれやすく、その雰囲気に馴染めないと人間関係に苦しむことに…。今回は複雑に絡み合う人間関係について取り上げていきたいと思います。
幼稚園教諭にとって人間関係が悪いことは退職に繋がってしまうことも多く、ちょっとした発言や行動で悪化してしまうので、人間関係が悪化してしまうポイントを押さえて、その対処法についても今回で習得しておきましょう!
子どもたちと関わるだけが幼稚園教諭の仕事ではありません。幼稚園教諭は日々さまざまな人たちと接しながら仕事をしています。まずは幼稚園の登場人物である職員や保護者などの特徴やタイプを把握していきましょう。
幼稚園のトップである園長。考え方次第で教育方針や園の風土が変わるほどの影響力を持っています。
園長の人柄や性格がおばあちゃんのように穏やかであれば、子どもたちだけでなく幼稚園教諭も羽を広げてのびのびとした保育ができているケースが多く。幼稚園教諭同士の人間関係も比較的良好な幼稚園が多いです。反対に理不尽だったり、細かいことでも口出しするタイプの園長だった場合、幼稚園教諭一人にかかる負担も大きい傾向にあり、余裕のない日々を送ってしまうことで、職員同士でコミュニケーションが減ったり、仕事の押し付け合いから人間関係が悪化することがあります。
幼稚園によっては副園長という役職がない場合もありますが、規模が大きなマンモス幼稚園や園長が高齢の場合などは副園長が現場の管理を任されることもあるので、役割やポジションは園長とさほど変わらず、影響力も高い存在といえます。
幼稚園に1~2名いることが多い“主任”は、クラスごとの“学年主任”という役職を設けられています。イメージとは異なり体育会系な職場での学年主任は、経験や能力によって任命される場合もありますが、概ねそこの職場での経験年数が長い先輩が受け持つことが多いようです。そのため主任の特徴として、長い実務経験を積んでいる強い精神力を持っている人が多く、保育の知識だけでなく人格者であることが多いようです。指導や注意が厳しいと、近寄りがたい存在になってしまいますが、その厳しさは実は「良い保育士になってほしい」という主任の愛情の裏返しでもあるので、悩みや不安のある場合は主任に相談してみましょう。幼稚園の中で経験も豊富で現場の理解もある貴重な存在です。
一番身近な存在である一方で、“今後の幼稚園教諭生活を左右する”といっても過言ではない存在でもある先輩の幼稚園教諭。とても忙しい職場において、優しくフォローしてくれたり、丁寧なアドバイスをくれる先輩はとても貴重です。中にはプライドが高く、気が強かったり、自分もそうだったからと後輩に厳しくあたる先輩も少なからずいるようです。どのようなタイプの先輩だったとしても、いかに先輩から好かれるかが、幼稚園の職場において人間関係の要ともなります。ミスが多かったり、マイペース過ぎて先輩から嫌われてしまうと、指導にも愛情がなくなったり、陰口や悪口に発展する可能性もあるので注意が必要です。
幼稚園の規模が小さいと同期の幼稚園教諭がいないこともありますが、同期がいる場合はその繋がりは大切にしましょう。同じ悩みを共有できたり、苦しいときも支え合えたりなど非常に大きな存在となります。しかし、マンモス幼稚園などで同期が多い場合は、派閥やグループも生まれやすい側面があります。主任や先輩に気に入られている同期に嫉妬や不公平感を感じてしまうこともあり、過度なライバル意識が生まれて人間関係がぎくしゃくしてしまうことも。
自分が“先輩”という立場となったときに関わりが増えてくるのが後輩の幼稚園教諭。仕事を覚えなかったり、やる気がなかったり、緊張感が足りないと感じる後輩の面倒をみることになるかもしれません。
そのような場合は接し方や伝え方を後輩によって変えてみましょう。一歩的な指導方法ではなく、後輩の意見や考えを考慮しながらお互いを知り合うことも大切です。後輩にあなたの熱意が伝われば、きっと今後職場でもとても助かる存在となるでしょう。
幼稚園教諭のたまごとして数年後後輩になるかもしれない実習生は、まだ学生ということもあり、初々しくかわいい存在です。しかし、日々の事務作業に実習日誌などが加わるので、多忙を極めるでしょう。
自園調理の給食を提供している幼稚園で「食」を管理している方々です。幼稚園によって立ち位置が異なることがありますが、食育として積極的に子どもや業務に取り組み、幼稚園教諭とも関わりが深い立場です。保育現場とは間接的に関わるだけの独立した立場となるケースもあります。
比較的若い男性が担当することが多い体操の先生は、外部のスポーツクラブなどから幼稚園に体操の指導を行いに来ます。若い男性の存在は、女性の職場では非常に稀有な存在であるため、子どもたちからも人気がありますが、同時に職員同士の揉め事に発展してしまうことも。
幼稚園全体の総務や経理関連の業務を担っている職員です。電話対応や備品の発注・管理、給与・労務関係や各種手続きを担当しています。就労証明書や離職票など、入社・退社時に必要となる書類があった際に依頼しましょう。
バスの運転手や用務員の方は年配の男性が多く、気さくに話せる職員の一人です。子どもたちからも「バスのおじちゃん」や「掃除のおじさん」などと呼ばれてみんなに親しまれています。日々の慌ただしい業務や職場の人間関係など忘れてほっと一息つける存在でもあります。
なによりも第一に考えなければならない“子どもたち”。子どもたちとどれだけ信頼関係が築けるかによって保育・幼児教育のしやすさが変わります。子どもには平等に接しなくてはいけないと頭では理解できるものの、手のかかる子・かからない子、大人しい子・活発な子…子どもたちの数だけ性格が違うもの。どうしても子どもによって接する時間などに差が出てきてしまうのですが、子どもは大人の態度や気持ちを敏感に感じ取るので、心に傷を負ってしまうことも。できる限り平等に接する意識を持つようにしましょう。
幼稚園教諭として避けては通れない“保護者”との人間関係。小学校受験も考えている保護者やママ友同士の派閥など職員の人間関係よりもややこしいケースもあります。
昨今はモンスターペアレントなる保護者からのクレーム対応もしなければなりません。保護者の方の意見はとにかく最後まで聞くようにして、意見を受け止めた上で、主任や先輩職員と相談しながら対応していきましょう。クレーマーとなるような保護者は少数なので、大多数の保護者は忙しくてもしっかり対応してくれる先生の姿勢や人柄をちゃんと見てくれているはずです。
ひとえに「人間関係が悪化する原因はコレだ!」と言えるほど職場の人間関係は単純ではありませんが、ここでは代表的な人間関係が悪化してしまう原因を3つに絞って紹介したいと思います。
幼稚園の職場は元々上下関係の厳しい職場に加え、女性が多い職場のため派閥やグループが生まれやすく、園長と主任、幼稚園教諭同士などで陰口や悪口が横行してしまうこともあります。ちょっとした会話から誤解が生まれ、板挟みになったり、トラブルに巻き込まれることがあります。そこで空気が読めなかったり、自分の意見を言えず、流されてしまって派閥やグループに入ってしまうと人間関係をより悪化させてしまうことになります。
男性に比べて女性は感情が表に出やすく、感情の起伏も激しい方が多いようです。幼稚園教諭は、負の感情を子どもたちや保護者の前で出してはまずいと思い、そのストレスの反動で同じ幼稚園教諭に対して八つ当たりをしてしまうことがあります。保護者も育児の大変さなどを職員に感情そのままに出してくることもあるので、幼稚園教諭はストレスを溜め込みやすくなってしまいます。
園長と幼稚園教諭の間での上下関係において、幼稚園の方針についての意見が対立してしまうことは珍しくありません。幼稚園教諭の中には自分の理想とする保育や子どもへの教育論を強く持っている方が多くいます。しかし、実際の現場では机上の空論となりやすく、職員の意見と園長の方針を一致させることはとても難しいので、意見の食い違いで派閥を生んでしまったり、人間関係を悪化させてしまう恐れがあります。
悪化してしまった人間関係を一人で修復しようと抱え込んでしまっては、最悪の場合、精神を病んでしまう可能性もあります。そのまま幼稚園教諭として働くことができなくなってしまっては本末転倒です。
そうならないためにも、万が一人間関係が悪化してしまった場合の最適な対処法についてご紹介したいと思います。
やはり人間関係において重要なのはコミュニケーション(意思疎通)です。相手のことをよく理解しないまま自分の価値観で決めつけてしまっては社会に出て良好な人間関係を築くことはできないでしょう。まずは自らコミュニケーションのきっかけを作り、初めは聞き役に徹して相手の話をうなずきながら聞いてみましょう。意外とわだかまりが消え、相手の良い部分を見るようになります。
コミュニケーションのきっかけをなかなか作れない場合は、自分の担当ではなくても「何か手伝うことはないですか?」や「ひまわり組の〇〇ちゃんのことで相談があるのですが…」と声をかけてみると良いでしょう。そのことをきっかけとして徐々にコミュニケーションの数が増え、人間関係が円滑になる可能性も高くなるでしょう。
第三者の意見はとても大切です。個人の感情や損得を含まれないので意外な解決策が見つかるときがあります。当事者同士ではどうしても感情的になってしまう恐れや、冷静に物事が判断できていないことが多くあります。直接関係のない人に相談することで、自身の本心に気づいたり、日々の悩みや不安を吐き出すことで、冷静さを取り戻すこともできます。
たとえ自分と相性が合わないと思う人にも敬意を払うことは信頼関係を築く上で非常に重要です。真っ向から否定するのではなく、きちんと相手の意見を受け入れ、できる限り相手の良い部分をくみ取って歩み寄る努力をしましょう。もし自分にも非があると感じたらその時は素直に謝りましょう。誠実な態度は、先輩・後輩問わず人間関係に良い影響をもたらすはずです。
日々仕事を共にする先輩や後輩がなかなか心を開いてくれない。もしくは人間関係を意識するあまり、感情や意見をあまり表に出さないようになった、ということがありませんか?
相手の方から自然に心を開いてコミュニケーションをとってくることは非常に稀です。相手に心を開いてもらうには、まず自分から心を開いて距離感を縮めましょう。そうすると自然と相手も信用してくれてコミュニケーションが取るようになり、誤解も解けるかもしれません。共通点が見つかると相手の警戒心も和らぎ、親密感・一体感が生まれる効果があります。相手の好きな話題を選び、仲良くなるきっかけとすると良いでしょう。
女性は何かをプレゼントされたり、贈ったりすることが好きな人が多いでしょう。休日にどこかに旅行などしたときは、職場にお土産のお菓子など持っていきちょっとした“気配り”をみせましょう。そのお菓子のお土産をきっかけに話が盛りあがることもあります。
思いきって休日など仕事がない日に買い物や食事に誘ってみましょう。同じ幼稚園で働いている者同士、子どもたちの事や保護者のことなど共通の話題はたくさんあります。いきなり1対1では緊張してしまう場合は、他の同僚を誘ってみるのも良いでしょう。楽しい時間を共有することによって自然と距離も縮まってきます。
上記の内容と少し矛盾してしまいますが、性格によってはプライベートに踏み込まれることを嫌がる方もいらっしゃいます。その場合は、“仕事上の付き合い”だと割り切ることで、下手に干渉せずにフラットな人間関係を築くことができます。
どんな対処法を行っても自分一人の力で人間関を修復するには限界があります。いくら頑張ったとしても、相手にコミュニケーションを図ろうという気持ちがなければ、良い人間関係を築くことはできないでしょう。修復の可能性がない働きづらい職場で疲弊してしまうより、思い切って転職をして、フレッシュな気持ちになって新しい職場で働いてもてはいかがでしょうか。また一から人間関係を築いていかなければなりませんが、今までの辛い経験を糧にすればスムーズな人間関係を構築できることも大いにあります。
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