いま保育士の10人に1人が毎年退職しているそうです(厚生労働省調べより)。その理由は「職場の人間関係」や「業務量や責任に見合わない給料」等さまざまです。
可愛い子ども達と触れ合う事ができて楽しい反面、想像以上に体力的・精神的にハードなことが多く、保育士としてのやりがいを感じながらも退職や転職を考えている保育士さんは少なくないのが現状です。
しかし辞めると決意しても、タイミングや職場の状況を考えるとなかなか踏み出せない心情もあります。できることなら、担当しているクラスや園長、職場の同僚、保護者の方などには迷惑をかけず、円満に退職したいですよね。
今回はそんな思いで悩んでいる保育士さんにぴったりの記事となっています。ほかの保育士さんの退職理由や、円満退職するポイントなどを丁寧にお伝えしますので、お互いが気持ちの良い退職になるように参考にしていただければと思います。
まず、保育士が辞めたいと悩む理由として、主にどのようなものが挙げられるのでしょうか。
多くの保育士さんがこの4つの悩みで、退職や転職を決意するようです。共感する部分が多いと思われますが、どれも一人の力では解決できないものばかり。
保育士はイメージしている以上に仕事量が多く、保育業務のほかにも事務作業や保護者への対応、行事の準備、掃除など分刻みのスケジュールが毎日波のように押し寄せてきます。
それに加えてほとんどの保育園が人手不足。保育士一人にかかる負担も大きくなっています。
夢だった保育士になれたはずなのに、職場や保護者との人間関係に気を遣うことや事務作業で余裕がなくなり、子どもと向き合える時間も限られ、現実と理想のギャップにストレスを感じてしまう方が多いようです。
保育園によっては残業手当や休日手当も付与されないところもあり、保育士によっては月の手取りが14万円しかなく生活もままならない方もいるので、いくら仕事にやりがいを感じていても退職や転職が頭をよぎってしまっても仕方がないかもしれません。
上述のとおり、辞めたい思うきっかけは人や環境によってさまざまであり、いくつもの要因が重なって”辞めよう”という決意に至りますが、退職を決断する前に少し立ち止まって“なぜ辞めたいのか”を一度冷静になって考えてみましょう。
「一時的な感情でないのか」
「改善する余地はないのか」
「いま辞めて後悔しないのか」
この3点について自分自身に問いかけてみてください。転職先が今よりも良い環境である保証はありません。
一人で抱え込んでしまって、視野が狭くなっている場合があります。そんなときは信頼できる人に相談してみましょう。
職場の先輩・同僚でも構いませんが、誤解を招いたり、事実と異なる噂を流されて働きにくくなる可能性もあるので、できるだけ家族や友人、同じ学校で学んだ保育士などに相談するのが良いでしょう。客観的な意見を取り入れることによって、視野が広がります。
辞めることが目的となっていませんか?きちんと退職後のことも考えて、辞めるかどうか決断することが大切です。当然ですが、退職すると収入がなくなります。家賃や生活費などの毎月の支払いなどを考えると、計画的に転職活動を進めていくことが必要です。計画なく退職してから面接を受けると、焦って就職先を決めてしまうケースもあるので、退職・転職は余裕をもって行いましょう。
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色々考えあ末に、退職をすることがあなたにとっての前向きな決断となるのであれば、ここからは円満な退職に向けて話を進めていきましょう。
今の職場に限界を感じている方は、今すぐにも退職したいという気持ちが強いと思います。しかし、保育園では“年度”を大変重んじているので、多くの保育士は年度末の3月いっぱいで退職することが多いようです。自分の担当しているクラスを最後まで責任を持って見届け、退職するという流れが一般的です。
※退職時期は年度末が適していますが、無理をして身体を壊してしまっては新しい環境で働くことも難しくなります。そうなる前に無理と感じたときはすぐに上司や園長に退職意志を伝えましょう。
では、いつ退職することを伝えるのがベストなのでしょうか。多くの保育園では、10月~1月頃にかけて来年度についての面談が設けられています。そのため、園側から続けるかどうか確認されるケースが多く、そのタイミングで退職意思を伝えるのがベストと言えるでしょう。このタイミングを逃すと、日々の仕事に忙殺されたり、園長とのスケジュールも合わず、退職意志を伝える機会をつくるのに苦労してしまいます。退職の意志が固まっていたら、面談時にしっかりと意志を伝えましょう。
もし、年度末以外の退職を考えている場合は、必ず退職の1ヶ月以上前には園側に退職の意思を伝えましょう。直前になればなるほど、保育園に迷惑がかかってしまいます。
※法律的には退職届を出して2週間後には辞めることは可能です。
保育園の規模によっては、園長に直接伝えても構いませんが、まずは“直属の上司”に退職の意志を伝えましょう。人によっては、「私から園長に伝えておくね」と言ったきり数日経っても返答をもらえなかったり、話をうやむやにして退職を引き延ばすケースもあるので、そういった不安がある場合は「私からも園長に伝えたいので〇日までに話をする機会を作って下さい。」と具体的にお願いすると安心です。
電話やメール、LINE等ではなく、必ず直接「口頭」で伝えましょう。
退職を申し出るのは勇気のいることですし、気まずい雰囲気になるのを避けたくなる気持ちは誰しもが思うはずです。
しかし、社会人のマナーとしてもお世話になった保育園にはきちんと口で伝えることが礼儀です。
上記の3点をはっきりと伝えましょう。
退職理由には、保育園側ではどうしようもできない理由を述べると引き止めにも合わずに上手く退職の相談ができる可能性があります。「どうしてもやりたいことができた」「キャリアアップをしたい」など個人的で前向きな理由を述べるのがポイントです。人間関係の問題や給料の低さは愚痴になってしまい、トラブルや引き止めの材料にとなってしまうので注意しましょう。
職場に退職を認められたら、あとは円満退職に向けての準備をしましょう。「どうせ辞めるからいいか」と辞めるまでの期間を、おざなりに働いていると退職後のトラブルになりかねません。いくつか円満退職に向けてのポイントがありますので、綺麗に退職できるよう下記をチェックしてください。
保育園指定の退職届用紙があるかを確認し、なければ下記のようなフォーマットを参考に退職届を作成をしましょう。
※日付は、提出する日付を記入してください。
※退職理由は「一身上の都合」と記します。
後任に引き継ぐことをきちんと書面にまとめておきましょう。口頭では臨時の先生などに伝わらない場合があります。
健康保険被保険者証や保育園の備品など返却しなければならない物を確認しましょう。後にトラブルにならない為にも重要です。
離職票、雇用保険被保険者証、年金手帳、源泉徴収票は退職者が受け取る書類となります。ものによっては発行が退職日に間に合わない場合もあり、郵送とされる可能性もあります。きちんと担当の方に確認しましょう。
きちんと子ども達にも保護者にも伝えたいところですが、保育園側の方針によっては退職の旨を伝えない職場もありますので、園側の意向をうかがってから伝えましょう。子ども達に伝えることできるなら「○○日になったら保育園をお休みするんだ」など伝えておくのもいいかもしれません。突然大好きな先生が居なくなっては、不安になってしまう子もいるでしょう。
「立つ鳥跡を濁さず」に、例え人間関係の悪化で退職をする際でも、お世話になった職場の方々にお礼と挨拶をしましょう。
辞めるかどうか悩んだ際にも考えたと思いますが、今の保育園を退職した場合のこれからの人生の選択肢は下記のようなものが考えられます。
それぞれにデメリットはつきもの…転職活動をしなければならないことや新しい職場では年下から教育される可能性、またイチから人間関係を築かなければならないなどが考えられます。
しかし、その分メリットもたくさんあります。自分の希望条件にあった職場を目指し転職が成功すれば、労働に見合った給料を支払ってくれる職場や風通しの良い職場であったり、保育士を辞めて他の全く違う職種にチャレンジするなら、広い視野が持てるようになり、新たな出会いや発見もあり人生経験が豊富になります。
「退職」というとマイナスの響きがありますが、その先の選択や行動によっては、退職した事で今よりも明るく前向きな未来につながっていきます。辞めずに踏みとどまって努力することで得られるものあるでしょう、しかし辞めることで得られる変化も大きいことでしょう。
新しい職場に就くには新たに採用面接に挑まなければなりません。そこでの採用面接において必ず聞かれるといっていい“退職理由”。今のうちから考えておきましょう!
退職理由を説明する際には、本当の理由をありのままに伝えるのではなく少し工夫が必要です。ポイントは愚痴やネガティブな印象を与える発言をせず、前向きな当たり障りのない事を伝えること!素直なことはとても良いことですが、特に人間関係でトラブルを抱えていた事を打ち明けてしまうと「対人関係がうまくできない人材」と思われ、「うちでもすぐに辞めてしまうのではないか」と採用を見送られるケースがあります。
ここで実際に退職を決意した保育士さんの声をご紹介します。同じ悩みを抱えている保育士は多いかもしれません。