退職金は、法律で定められた制度ではないため、会社ごとの規定によって方針が異なり、退職金制度を設けている会社であれば、勤続年数や退職理由などを考慮して支払われることになります。したがって、退職金は働いている人全員がもらえる訳ではありません。そのような理由からも、そもそも自分が勤めている園はちゃんと退職金が支払われるのか、就業規則などをしっかりと確認する必要があるでしょう。そこで今回は、「退職金がどのような制度なのか」「退職金の相場はどのくらいか」など、保育士の退職金について様々な情報をお伝えしていきます。大事なお金の事なので、退職予定で退職金が気になる方はぜひ最後まで読んでみてくださいね!
退職金について、「労働基準法ではどのように定められているの?」「退職金の払いは会社の自由なの??」そんな疑問がわいてきますね。そうした疑問に対する回答としては、残念ながら、労働基準法には「退職金」に関する規定もなければ、企業側に退職金を支給する義務もないのが現状です。では、なぜ退職金をもらっている人がいるのでしょうか?それは、その会社が退職していく人に対し、予め就業規則で定めた範囲の中で、長く勤めて会社に貢献した場合など、ねぎらう意味を込めて支払うと考えるのが一般的です。ほとんどの場合、退職金の計算は勤続年数によって支払額が異なり、基本給をもとにして算出しますが、月給の数ヶ月分くらいの金額が受け取れる事が多いです。現在保育士の方で退職をご検討中の方は、辞める前に一度退職金がどれくらい出るかについて、まずは就業規則に書かれている規定を確かめるようにしてみてください。ちなみに、就業規則に退職金のことが書かれていなければ、退職金制度を設けていないことを意味します。
次に退職金の相場について見ていきましょう。公立保育園で規職員として勤務している人は、待遇が地方公務員と共通しているので、退職金も地方公務員と同じようになります。例えば地方公務員が定年退職した場合、平均退職金は2,000万円以上になるので、公務員はやはり退職金の額が高いと言えるでしょう。ちなみに、総務省によると退職金の計算方法は下記のようになっていますが、例えば、退職時の月給30万円で、勤続期間は10年、自己都合での退職だと仮定した場合、30万円 × 6.0 =180万円となり、これに調整額がプラスされた退職金を受け取っていることになります。
■退職手当の基本算定構造 |
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退職手当額 = 基本額 + 調整額 基本額 = 退職日給料月額 × 退職理由別・勤続年数別支給率 調整額 = 調整月額のうちその額が多いものから60月分の額を合計した額 |
■支給率 | |||
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支給率は、退職理由別に、勤続年数1年ごとに計算され、条例案における主な退職理由別・勤続年数別支給率は以下の通りです | |||
勤続年数 | 自己都合 | 定年・勧奨 | 整理退職 |
1年 | 0.6 | 1.0 | 1.5 |
5年 | 3.0 | 5.0 | 7.5 |
10年 | 6.0 | 10.0 | 15.0 |
15年 | 12.4 | 19.375 | 23.25 |
20年 | 23.5 | 30.55 | 32.76 |
24年 | 31.5 | 38.87 | 39.624 |
25年 | 33.5 | 41.34 | 41.34 |
30年 | 41.5 | 50.7 | 50.7 |
35年 | 47.5 | 59.28 | 59.28 |
45年 | 59.28 | 59.28 | 59.28 |
出典:地方公務員の退職手当制度の概要(総務省)
私立保育園の場合は、企業ごとに計算方法は異なりますが、基本的に以下のような計算式を使用しているところが多いです。
〔勤続年数×基本給×給付率〕給付率が50~60%だとしても、勤続年数が5年間で約50万円、10年で約100万円前後支給される事になります。
※あくまで目安なので参考程度にしてください。
退職金は、前述したように法律で義務付けされた制度ではないため、必ずもらえる訳ではありません。また、退職金制度が設けられていた場合でも、退職時の状況によって、減額や支給されいケースもあります。それはどんな時なのでしょうか。
退職金制度が導入されていない会社だと退職金はもらえません。これから就職する人で、退職金が絶対欲しい!と考えているなら、事前に就職先に退職金制度がちゃんと導入されているかどうか確認しておきましょう。制度が導入されていないのであれば、何年頑張って働いても退職金は当然0です!
どの企業にも共通して言える事ですが、半年や1年勤務しただけでは退職金の支払いは期待できません!基本的に3年以上働いた人たちが退職金を受け取る事ができるケースが多く、勤続年数が長ければ長いほど退職金の額は高くなっていく傾向にあります。
退職金制度が導入されていれば退職金は支払われますが、就職した時は制度が導入されいても、働いている間に経営危機に陥り制度導入を取りやめてしまうケースもまれにあるかと思います。このような場合は残念ながら退職金はもらえません。しかし保育士は需要の高い職種なので、一般企業と比べ経営危機自体が少なく、あまり心配いらないでしょう。
ところで、臨時職員やパートの場合は退職金がもらえるのでしょうか?雇用形態に関わらず、就業規則に規定されていなければもらえません。
但し、退職金制度が導入されているところであれば、平成27年4月1日に施行された「パートタイム労働法」の改正によって、正社員との差別的な取り扱いは禁止されていますので、正社員には退職金を支給してバイトには退職金を支給しないようなことは出来ないことから、パートや臨時職員であっても退職金を受け取れる可能性があることを知っておきましょう。
懲戒解雇の場合は、「退職金を支払わない」という就業規則、退職金規定を設けている会社が大半です。または、退職金規定に支給制限を設けているような場合は、支払われたとしても減額となるようなケースもあるでしょう。但し、労働者が退職時までの一定期間の勤続した功を抹消するほどの信義に反するようなことがない限り、退職金を不支給にすることはできないとされています。
ここでは保育士の退職金に関するリアルな口コミ情報をご紹介していきます。
退職金の計算方法は会社ごとに違いますが、〔基本給×給付率×勤続年数〕で計算するところが多いようです。給付率が5~6割だとすると、勤続年数5年で50万前後の退職金になってもおかしくありませんね!
<公立保育園の場合> |
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退職金は条例によっても支給額が決まってきます。退職日直前の給与月額に対し、勤務年数や退職理由によって定められる率をかけて計算していきます。総務省の発表によると、調査対象1,550市区町村の保育士を含む一般職員の全退職者平均支給額は約1,800万円、60歳での退職手当の平均支給額は約2,300万円という報告が出ています。公務員は一般企業に勤める人たちより待遇がよく、勤務年数に応じて給料も退職金額も上がっていくので、一度勤めると長く勤務する人が多いことが特徴と言えるでしょう。 |
<私立保育園の場合> |
保育園で定められている就業規則によっても支給額は変動してきます。「退職手当共済制度」から支給される場合は、退職前半年の平均給与月額に勤務年数や退職理由による率をかけて算出されます。共済制度に加入していない保育園だと、独自の退職金制度を作っているか、退職金制度そのものがない可能性があります。保育士として長く勤めていても、給料が低い割に業務がきついことや、体力が限界で退職する人たちもいます。そして、いざ退職するとなると、退職金について調べたり計算を確認するのが面倒になったりしてしまい、「別にいいよ、とにかく辞めたい!」と投げやりになる人もいます。しかし退職金は重要な事なのできちんと確認しておきましょう。 |
退職金の支給日は就業規則で決められています。公立保育園は退職日の1ヶ月に支給、私立保育園は1~3ヶ月以内となる場合が多いです。退職日当日に受け取れるとは限らないので、退職金を使う予定を立てる際には支給日をあらかじめ把握しておくといいでしょう。