子どもが好きだったり、教育などに関心があれば、将来の夢が“幼稚園の先生”という方は多いのではないでしょうか?
今回は女性に人気の職業である“幼稚園の先生(幼稚園教諭)”になるために必要な幼稚園教諭免許の取得方法から仕事内容まで詳しくご紹介したいと思います!
これから大学や専門学校への進学をお考えの方や、異業種からの転職をお考えの方にもわかりやすい内容になっていますので、ぜひ最後までお読みください。
また、幼稚園教諭免許と保育士資格の違いついても解説していますので、どちらを取得するか迷われている方も参考にしてみて下さい。
幼稚園教諭になるには、まず国家資格である幼稚園教諭免許状を取得することが必要になります。
取得後は、希望する幼稚園での採用試験に合格すれば、晴れて“幼稚園の先生(幼稚園教諭)”として働くことができます。
ただし、幼稚園教諭免許状には「普通免許状」と「臨時免許状」の2種類存在します。
普通免許状をお持ちであれば、幼稚園教諭として全国の幼稚園で働くことができますが、臨時免許状の場合は取得した都道府県内の幼稚園で、普通免許状を取得している幼稚園教諭の採用が難しい場合に限り働くことができます。
もし、すでに保育士資格をお持ちであれば、ある条件を満たすことによって試験に合格するだけで幼稚園教諭として働くことができますので、後ほど詳しくご紹介させていただきます。
幼稚園教諭免許状の一般的な取得ルートは、4年制大学(教育学部など)、短大(幼児教育学科など)、専門学校、通信制大学のいずれかに入学し、
“幼稚園教諭の教職課程”を受講して、所定の単位を習得することが必要となります。卒業後に各自治体の教育委員会に免許状取得の申請を行うことによって
“幼稚園教諭免許状”が授与される流れとなります。
大学によっては幼稚園教諭だけでなく、保育士資格や小学校教諭も取得することが可能なので、科目免除を利用して幼稚園教諭と保育士資格を同時に取得する人も増えています。
もし幼稚園以外にも興味がある場合は、保育士資格のほうが活躍の場が広いので、どちらも取得しておくと選択肢が増えるのでおススメです。
※通信制大学でも一種免許状・二種免許状ともに卒業と同時に取得できます。
保育士の方の中には幼稚園教諭免許も取得して活躍の場を広げたいと考える方も少なくないでしょう。
実は保育士資格をお持ちで、3年以上の実務経験を積んでいれば“幼稚園教員資格認定試験”に合格するだけで、大学や専門学校に通学することなく幼稚園教諭二種免許を取得することができます。
幼稚園教諭免許(普通免許状)は以下の3つに分類されています。
早く現場の経験を積みたい方や学費を抑えたい方におススメ!
園長や経営者を目指す方におススメ!
公立の幼稚園や認定こども園、保育事業を営む一般企業への就職を希望する方におススメ!
このように幼稚園教諭免許は3種類に分かれますが、幼稚園での仕事内容に大きな違いは特にありません。
実際に、文部科学省が平成13年に発表しているデータからも、二種免許状の幼稚園教諭が全体約75%を占めています。
しかし、園長などの役職に就くには一種免許状が必要になりますので必ず覚えておきましょう。
上述した通り、幼稚園教諭免許の種類によって将来的なキャリアも変わるので給料や待遇に差が生じることもあります。
現場での経験値が評価に繋がりやすい仕事ではありますが、新卒の初任給では二種免許状よりも一種免許状・専修免許状のほうが
1~2万円程度月給が高いケースもあります。
将来的に園長や、さらなる給与アップを目指す場合、短大や専門学校卒業の方であっても一種免許状・専修免許状を取得することは可能です。
二種免許状の幼稚園教諭として5年以上の実務経験を積み、大学などで所定の45単位以上を履修した後に検定に合格すれば取得できます。
一種免許状の幼稚園教諭として3年以上の実務経験を積み、大学院で必要とされる15単位を履修した後に検定に合格すれば取得できます。
ここで気になる幼稚園教諭の平均給料について見ていきましょう。
厚生労働省「平成27年賃金構造基本統計調査」によると、
平均月給 | 229,800円 |
平均年間賞与 | 644,000円 |
平均年収 | 3,401,600円 |
平均年齢 | 32.3歳 |
平均勤続年数 | 7.5年 |
といった、調査結果となっています。
全職種の平均年収は4,899,000円(平成28年賃金構造基本統計調査)なので、幼稚園教諭の平均年収は全体平均よりも低い水準であることが分かります。
ただし、この平均年収は私立の幼稚園教諭を中心とした統計になります。たとえば公立の幼稚園教諭は公務員となるため、勤続年数に応じて昇給が望めるだけでなく、手当も充実しているので
全職種の平均年収と同等もしくはそれ以上の給与を期待できるでしょう。
幼稚園の先生のイメージは「子どものお世話をする」といったイメージが強いですが、具体的にはどのようなお仕事をしているのでしょうか。
まず前提として、厚生労働省が管轄する保育園は福祉施設になりますが、幼稚園は文部科学省の管轄となるので教育機関となります。
なので、幼稚園教諭は「教育する」ことを目的として主に3歳から小学校へ入学するまでの子ども(園児)に、お世話だけではなく、
歌や遊び、リトミック、運動、お絵描き、工作、運動会など、さまざまな活動を通して、コミュニケーション能力や自主性、社会性を養わせ、成長をサポートします。
また、保護者への対応や事務作業も幼稚園教諭にとって大切なお仕事です。個人面談などを通して保護者との交流を図ったり、カリキュラム作成や保育日誌、連絡帳記入、クラス懇談会の報告書、園だよりなど多岐にわたります。
具体的なお仕事の内容がわかったところで、参考までに幼稚園教諭の1日の流れをみてみましょう。
幼稚園の保育時間は10:00~14:00の約4時間となりますが、朝の準備や登園の出迎えをするために8:00前には出勤をして、保育時間が終わったあとも明日の準備や事務作業、研修で19:00頃まで職場に残っているケースが多いです。
朝 |
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幼稚園へ出勤をし、施設の安全点検など環境整備・職員ミーティングをします。さらに、子ども達を出迎える為の準備や教室を整えたりとさまざまな準備を済ませます。 |
登園 |
幼稚園はバスで子どもをお迎えに行ったり、徒歩で登園してくる子どもがいたりと様々なので職員で分担して迎えます。 制服がある幼稚園では、体操着やスモックに着替えさせる園もあります。 |
午前の保育活動 |
朝礼や朝の体操が終わると、昼食まではお絵描きや工作、粘土遊び、お遊戯などを行います。基本的には、文部科学省の幼稚園教育要領を元に組まれたカリキュラムに沿って保育・教育をしています。 私立幼稚園の場合には、各園の方針により自由な保育や算数・国語・英語などといった勉強を行う園もあります。また、季節ごとに見合う遠足やプール遊びなどの課外活動も行います。 |
お昼 |
食事の準備や子ども達への手洗い・うがいの介助をし、お弁当や給食を食べます。食事中には食事のマナーや食べること楽しさ重要さの食育を教えます。 |
午後の保育活動 |
食後は、子ども達の安全確認をしながら教室で本を読んだり、工作をしたりと静かな保育をして過ごします。 |
夕方・降園 |
降園時間が近づくと、子ども達一人ひとりの連絡帳に記帳をします。保護者との大切なパイプとなる連絡帳なので一人ひとりできるだけていねいに書きましょう。文章が苦手な先生はイラストで伝えると分かりやすい連絡帳となります。 降園時間になると、登園時と同様に他の先生と分担して子ども達の見送りや掃除・片付けを行います。 |
降園後 |
子ども達を見守りながらではできない事務仕事や翌日のカリキュラムの準備、職員会議を行います。 また、イベント会場行事が近付く際は必要な製作物の準備や練習もこなします。 |
ここで幼稚園教諭には、どんな方が求められどんな方が向いているのか、ご紹介したいと思いますので是非チェックしてみてください。もちろん全てのスキルが揃っていなければ幼稚園教諭になれないというわけではありませんが、自分に足りないものを伸ばしていく参考にどうぞご覧ください。
保育園に比べれば短めの保育時間とはいえ保護者の代わりに、子どもの命や成長を預かる見守る仕事です。しっかりと子ども達を守る責任感と自覚が必要なってきます。
元気盛りの子どもと一緒に遊んだり運動をしたり、時には遠足にも行きます。そして休む暇もなく、一人で複数の子どもを見なければなりませんので体力はかなり必要となってきます。さらに、大人の様子に敏感な子どもも居るため、例え元気なくとも元気で明るく笑顔を振る舞わなければなりません。
ピアノが弾けることを条件にしている幼稚園も多く、ピアノのスキルはあって越したことはありません。また、最近ではハーモニカや笛・ピアニカ・木琴など音楽に力を入れて保育に組んでいる幼稚園もあり音楽に強い方は歓迎される傾向とされています。
また、最近では外国語しか話せない保護者や子どもも増えてきています。世界共通語である英語を身につけておくとかなり心強く採用面接の際にも強みになること間違えなしです。
仕事内容でも触れましたとおり、幼稚園教諭が関わるのは子どもだけではありません。子どもの保護者とも良い関係作りを築いていかなければなりません。昨今ではモンスターペアレントという言葉を耳にすることでしょう、クレーム発展してしまいトラブルに巻き込まれることも増えてきています。そんなトラブルを起こさない為にも、保護者に対して年上年下関係なく社会人としての誠実な対応ができるコミュニケーション能力が必要となります。
なんといっても「子どもを愛する気持ち」がなければ務まる仕事ではありません。子ども達一人ひとりと誠実に向き合い、“愛情”を持って教育することが何よりも大切です。
幼稚園教諭も保育士も似たようなものだと思っている方やどちらの道に進むべきか悩んでいる方もいらっしゃるかと思います。そこで二つの資格の違いを下記にまとめてみました。
幼稚園教諭 | 保育士 | |
管轄 | 文部科学省 | 厚生労働省 |
役割 | 「教諭」として、生活していく上で必要な知識や技術を伝え“教育”をします | 「保護者の代わり」として、子どもを預かり日常生活の基本的なサポートを中心に“保育”をします |
保育時間 | 1日4~5時間ほど | 最長な施設で1日12時間ほど |
活躍の場所 | 公立幼稚園、私立幼稚園、国立幼稚園、認定こども園 | 認可保育所、認定こども園の他に認可外のベビーホテル・託児所に加え児童養護施設・乳児院・児童自立支援施設・助産施設などのあらゆる児童福祉施設 |
“保育士”についての詳細は、ぜひ下記の関連記事をご覧ください。
幼稚園教諭と保育士、どちらも魅力的で迷ってしまう方は「認定こども園」を視野に入れてみるのはいかがでしょうか。
最近では、待機児童解消や保護者のニーズに対応をして、幼稚園と保育園の両方の機能を持った「認定こども園」という施設が増えてきています。認定こども園では、幼稚園教諭免許も保育士資格も持つ方が優遇される傾向にあり、“幼保特例制度”という、少ない学習負担で所持していない幼稚園教諭免許・保育士資格のどちらか一方の免許・資格を取得できるという経過措置が2025年3月まで設けられています。
実際はどちらかの免許・資格を取得していれば採用されますが、この機会に幼稚園教諭・保育士どちらも取得してキャリアアップをしてみてはいかがでしょうか。
詳しい幼保特例制度については、こちらをご参照ください。
【文部科学省】
幼稚園教諭の普通免許状に係る所要資格の期限付き特例
【厚生労働省】
幼稚園教諭免許状を有する者における保育士資格取得特例