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夏の季節に要注意!保育園で気をつけたい感染症の種類とその対策について徹底解説!

本格的な夏が到来し、保育園ではプール保育や水遊びが楽しくなる季節ですが、夏の暑さで免疫力が落ちしまい、子どもは特に感染症にかかりやすい時期になります。そこで今回は「子どもの三大夏風邪」として有名な「手足口病・ヘルパンギーナ・咽頭結膜熱(プール熱)」をはじめとした“夏にかかりやすい感染症”について詳しくご紹介します。あわせて保育園での感染症対策も取り上げていますので、感染予防と感染拡大を防ぐためにもしっかり学んでいきましょう。

まずは知ろう!感染経路について

はじめに“感染症”とは、細菌やウイルス、真菌、寄生虫などが皮膚や粘膜などから体内に侵入して増殖し、「人から人へ」と移りいろいろな症状としてあらわれる病気です。特に夏場に流行る感染症は鼻水や咳などの症状はあまりないことが多く、発疹や発熱、下痢やおう吐、のどの痛みや腫れなどの症状が出るのが特徴です。そして胃腸が不調になるため、子どもだけはなく大人も身体全体の免疫力が低下し長引くことも多くなります。
では、どのような流れで感染していくのしょうか。ここで代表的な感染経路をいくつかご紹介したいと思います。保育園では感染拡大や二次被害を起こさないためにも、保育士の方は感染経路の周知やある程度の知識は持ち合わせておきましょう。

飛沫感染

咳やくしゃみなどにより病原体を含んだ唾液や気道分泌物が“飛散”し、粘膜などに付着したことで起こる感染です。予防策としては直接、咳やくしゃみを吸い込まないようマスクや手洗い等の手指の衛生管理などが効果的とされます。

空気感染(飛沫核感染)

咳やくしゃみで飛沫した病原体が“空気中”に浮遊し、吸い込むことで感染します。これは直接触れたりや飛沫を浴びていなくとも、閉鎖された空間で感染症を発症している人と一緒にいたり、発症している人がその場にいなくても感染する可能性があります。そのため空気感染の予防には「発症している人の隔離」と「部屋の換気」が基本となります。また、飛沫核を病室外に出ない空調設備の個室や陰圧室が望ましいとされています。

接触感染

タオルを共有したり、同じグラスを使うなど物体の表面を介して間接的な接触や、握手や抱っこ、キスなどの直接的に触れることにより病原体がつき感染してしまいます。予防策としては、手指の衛生管理の徹底やタオルの共用は絶対にしないこと。さらに手洗い時にはペーパータオルで拭うことが理想的となります。

糞口感染

排泄物に含まれていた病原体が、トイレ後の手洗いが十分でないまま食品を触ったり、おむつ交換などをして経口摂取され感染することです。予防策は、手洗い・うがいは徹底したうえでオムツ交換時の衛生管理と汚染されている箇所や物の消毒を行うことです。
この他にも「経口感染・血液媒介感染・蚊媒介感染」などがありますが、子ども達が長時間集団で生活している保育園では、とくにそれぞれに応じた対策をとることが重要です。また、子どもとスキンシップが多い保育士や保護者自身も感染を拡大させないために注意が必要ですね。

要注意!夏によくある”7つの感染症”まとめ

それでは、子どもが夏にかかりやすく”特に気をつけたい感染症”をご紹介します。
※少しでも下記のような症状が、子どもそして保育士自身にも見られた場合には、自己判断せずに必ず早めに専門医の受診をしてください。

手足口病

概要

手足口病は「子どもの夏風邪」の代表として有名ですが、5歳以下の小児に多く見られ7月にピークを迎えるウイルス性の感染症です。原因のウイルスは「エンテロウイルス」と「コクサッキーウイルス」など複数のウイルスの種類があるので何度もかかる可能性があります。まれに大人にも感染するので保育士ならび保護者も気を付けておきたい病です。

症状

潜伏期間3~6日後に、口内の粘膜や手のひらや足の裏、足の甲などに水疱性の発疹が現れて、1~3日間発熱を伴うことがあります。水疱は、かさぶたにならずに1週間程度でなくなります。中には、数ヶ月後に手足の爪がはがれてしまうことがありますが、大事には至らずすぐに新しい爪が生えてくることが多いようです。しかし口内にできた水疱がつぶれた後にできる口内炎がひどくなってしまい、食事や飲みものを受けつけなくなり“脱水症状”を引き起こすこともあります。 くわえて原因ウイルスの「エンテロウイルス」は無菌性髄膜炎の90%を占めるため、まれに髄膜炎や小脳失調症などの中枢疾患の他に心筋炎、肺水腫などを合併症を起こし重症化することもあるので注意が必要です。一般的な予後は良好となり口内炎に対して鎮痛薬で痛みを和らげたり、粘膜保護剤の軟膏などが処方され数日の経過で回復します。

保育園への登園目安

熱が下がって1日以上経過し、口腔内の水泡や潰瘍の影響がなく“普段の食事がとれること”などとなります。

感染経路

手足口病は、唾液や鼻水がついたおもちゃを貸し借りするなどし手が触れることで感染する「接触感染」とくしゃみなどの際に出る飛沫によって感染する「飛沫感染」が主な感染経路となります。くわえて回復後も口(呼吸器)から1~2週間、便から2~4週間にわたってウイルスが排泄されるため、おむつなどの交換後に汚染された手指を介してでも感染が広がります。

ヘルパンギーナ

概要

ヘルパンギーナは6~8月からの初夏の時期に、乳幼児に多く流行する代表的なウイルス性の感染症の夏風邪です。主に「コクサッキーウイルスA群」が原因で、ウイルスの型がいくつかあるため何度もかかってしまうことがあり、大人にもまれに発症する病気です。

症状

ヘルパンギーナの潜伏期間2~6日、その後に突然の39℃以上の高熱が1~3日続くのと同時に口蓋垂(のどちんこ)の周辺に赤く腫れ小さな水疱がたくさんできるのが特徴です。水疱は2~3日でつぶれて黄色い潰瘍になり、のどの痛みが強いため食事や水分を受けつけなくなることから「脱水症状」を起こすこともありますのでご注意を。また、高熱から「熱性けいれん」やごくまれに髄膜炎、心筋炎を合併することも可能性もあります。髄膜炎では頭痛や嘔吐、頸部硬直のサイン、心筋炎では心不全兆候に注意をして、症状があればすぐに専門医を受診してください。

保育園への登園目安

熱が下がって1日以上経過し、口腔内の水泡や潰瘍の影響がなく“普段の食事がとれること”などとなります。

感染経路

ヘルパンギーナは、くしゃみなどの「飛沫感染」と唾液や鼻水がついたものに手が触れることでの「接触感染」が主な感染経路といわれています。さらに、回復後も口(呼吸器)から1~2週間、便から2~4週間にわたってウイルスが排出されるので、排便あるいはオムツ交換後の手洗いを徹底する必要があります。

溶連菌感染症(猩紅熱・しょうこうねつ)

概要

猩紅熱(しょうこうねつ)とは「A群溶血性連鎖球菌」と呼ばれる細菌により引き起こされる細菌性疾患のことです。「A群溶血性連鎖球菌」は感染症疾患としてありふれた病原体のひとつであり、幼児から児童にかかること多く、咽頭炎や皮膚感染症などを引き起こすことが知られています。そのなかで猩紅熱を発症すると、主に全身の皮膚に発疹が広くみられ、咽頭炎や扁桃炎などが現れます。

症状

「A群溶血性連鎖球菌」に感染すると潜伏期間2~5日を経て、急激な「発熱」と咽頭炎・扁桃炎の」「喉の痛み」」から始まること多く、扁桃には膿が付着し、吐き気や嘔吐、腹痛などの消化器症状も伴う咽頭炎・扁桃炎症状から始まります。続いて、咽頭炎・扁桃炎症状が現れてからおおよそ1日後に、全身に皮膚に小さい点状で赤みを帯びた発疹や紙ヤスリのようなザラザラな感触をした肌の症状が出るといわれています。とくに脇の下の凹んだ部分や足の付け根(鼠径部)に現れることが多く、反対に鼻の下や口元、手のひら、足の裏には発疹がを少ないとされます。また、舌には「イチゴ舌」と呼ばれるぶつぶつが出現することもあります。こうした発疹は1週間ほどで治まりを見せ、3~4週程で顔面や手のひらの皮膚、指先の皮膚がめくれ快復していきます。猩紅熱の特徴は、通常の風邪と違い咳や鼻水が出にくいことです。 また、確実に溶連菌を退治し、合併症を引き起こさないためにも症状が治まっても抗菌薬は5~10日間ほど飲み続けなくてはいけません。

保育園への登園目安

熱が下がり伝染のおそれがなくなった「発病後7日を経過してから」とされています。
※文部科学省より『適切な抗菌薬療法開始後24時間以内に感染力は失せるため、それ以降、登校(園)は可能である』
※厚生労働省のガイドラインより『抗菌薬内服後24〜48時間経過していること』

感染経路

猩紅熱の原因菌となる「A群溶血性連鎖球菌」は、唾液や鼻水を介して広がる「飛沫感染」が主流ですが、食材を介して感染することもあります。

アデノウイルス感染症:咽頭結膜炎(プール熱)

概要

アデノウイルス感染症は、様々な症状を示す急性感染症です。したがって“咽頭結膜炎(プール熱)”をはじめとした“流行性角結膜炎(はやり目)”などを引き起こします。そのなかで咽頭結膜炎(プール熱)は年間を通じて発症するのですが、とくにプールに入る時期(6月末頃から夏季にかけて)にプールの水を介して流行が拡大することが多いので“プール熱”とも呼ばれています。

症状

潜伏期間は2~14日後、咽頭炎(のどの痛み)や結膜炎(目の充血)、39℃前後の発熱が数日~1週間ほど続く症状から、「咽頭結膜熱」と呼ばれています。また頭痛や食欲不振が3~7日続くこともあり、眼の症状としては充血や涙の量の過多、まぶしさを感じるなどが挙げられます。熱発や咽頭炎がある場合は、熱が下がっても元気になるまで安静に、水分をしっかり取らせてあげてください。とくに2歳までの子どもは肺炎と合併してしまうと重症化しますので注意が必要となります。

保育園への登園目安

主な症状(発熱、のどのはれ、眼の充血)が消えてから2日を経過するまで
※登園が許可されても、基本的に1カ月程度はプールへの参加はできません。手洗いを心がけて、他の子供にうつさないように気を付けてください。

感染経路

咽頭結膜熱(プール熱)は、咳やくしゃみなどの飛沫によって感染する「飛沫感染」も感染経路となりますが、目やにも感染源になるため、ハンカチやタオル、ティッシュの共用や手指を介した「接触感染」によって感染します。さらに塩素消毒が不十分なプールに入ることでも引き起こされます。また「アデノウイルス」は、回復後も2週間~1ヶ月程度はウイルスが便から排出がされるためおむつなどの交換後に汚染された手指を介して感染が広がる可能性があります。

アデノウイルス感染症:流行性角結膜炎(はやり目)

概要

流行性角結膜炎(はやり目)も「アデノウイルス」から引き起こされるウイルス性結膜炎です。 目やにが多くでたり充血したり、症状が重い場合には黒目に傷がつき傷跡が残る角膜混濁や、まぶたの裏側に炎症の白い膜(偽膜)ができることがあります。

症状

はやり目(流行性角結膜炎)の場合、潜伏期間は1~2週間とされ、まぶたの裏側にブツブツができ、起きても目が開かないほどの目やにや涙が増え、かゆみ、しょぼしょぼ感、ゴロゴロ感、眩しい感じなどの初期症状があらわれます。はやり目(流行性角結膜炎)は非常に感染力強いため、この初期症状があらわれた時点ですぐに眼科の受診を行ってください。発病後7~14日日程度で治る場合が多いのですが、症状が進行すると出血た耳の前のリンパ線の腫れ、まぶたの急激な腫れ、白目がブヨブヨしてくる(結膜浮腫)、発熱が起こる可能性があります。栄養補給と十分に休息し、他の感染を防ぐため抗菌点眼や炎症を押さえるため低濃度のステロイド点眼などを使用ししっかりと治療することが大切となります。なぜなら後遺症として角膜に混濁が残り、最悪の場合、失明に至る危険性もあるためです。

保育園への登園の目安

はやり目(流行性角結膜炎)は症状が軽減してきても、感染力が強く残りやすいため、学校保健安全法によって「医師に感染のおそれがないと認められる」でとなっています。また、保育士や保護者の方もかかる恐れや感染拡大の恐れはあるので。医師の指示を受けたうえで出勤・登園してください。

感染経路

はやり目の感染力が非常に強く、はやり目にかかってしまった子どもが使ったタオルや触ったものに、他の子どもが使用し目をこすったりしただで高い確率で感染する「接触感染」です。プールに入る時には“水中ゴーグルを使用”や“充血や目やに等の症状がある場合はプールに入るのを控える”を徹底しましょう。

りんご病(伝染性紅斑)

概要

りんご病は「ヒトパルボウイルスB19」が原因のウイルス感染症です。健康な子どもならあまり緊急度の高い病気ではなく、風邪を思わせる症状や関節痛、全身倦怠感などが先行します。ただ、まれに神経・心臓・血液等の病気を起こすこともあるので、溶血性貧血など特定の持病をお持ちの子どもは注意が必要です。流行時期は主に冬から春となっていますが夏にかけてもかかる子どももいます。とくに5~10歳も未就学児に多く見られますが大人でも感染するもので、妊婦がかかってしまうと胎児に悪い影響が出てしまいます。

症状

りんご病の潜伏期間は10~20日とされ、感染から初期段階では発熱、頭痛、筋肉痛、倦怠感などみられますが、無症状のこともあります。おおよそ1週間後に発疹が出ます。この発疹の特徴的な症状として、頬にできる紅色の皮疹である紅斑が「平手打ち様紅斑」「りんご様紅斑」「蝶が羽を広げたような形の蝶形紅斑」と表現されます。1~4日後、手足や胴体にも紅斑(こうはん)見られていき、2日程度経過すると不規則に退色してレース様やまだら模様に変化してきます。また紅斑はかゆみや熱を伴ったり、関節痛を訴えることもありますが、1~3週間程度で消えることが多いです。

保育園への登園目安

頬に発疹(紅斑)が出てきた時にはもうほとんど感染力がないため、感染後約10日~1週間で登園は可能となります。

感染経路

通常は「飛沫感染」もしくは「接触感染」ですが、まれにウイルス血症の時期に採取された血液製剤からの感染もあります。ただ、紅斑出現の時期には殆ど感染力はなく、ウイルス排泄時期には特徴的な症状が現れないため診断が難しいとされ効果的な二次感染の予防策が現状では見られないようです。

とびひ(伝染性膿痂疹)

概要

とびひ(伝染性膿痂疹)は、とくに高温多湿となる5~6月の夏に、皮膚の抵抗力がまだ弱い0~6歳の子どもに多く見られる病気です。虫さされやあせも、かき傷、すり傷、湿疹などから「黄色ブドウ球菌」や「レンサ球菌」といった細菌が入り込んで発症します。掻きむしった手を介して人に感染していき、水疱があっという間に全身へ広がる様子が、火事の火の粉が飛び火する様に似ているため「とびひ」と呼ばれています。

症状

潜伏期間は2~10日間ですが、感染した菌の量や傷の状態によって変動します。とびひには主に、水ぶくれができる「水疱性膿痂疹」とかさぶたができる「痂皮性膿痂疹」の2種類があります。

①水疱性膿痂疹

皮膚にできた水ぶくれが次第に膿をもつようになり、やがて破れると皮膚がめくれてただれます。かゆみも伴うため、そこを掻いた手で体の他の部分を触ると症状が体のあちこちに拡大していってしまいます。また水疱性膿痂疹の原因菌である「黄色ブドウ球菌」は、鼻の入り口の粘膜についているため、鼻から始まることがよくあります。

②痂皮性膿痂疹

皮膚の一部に膿をもった水ぶくれができ、厚いかさぶたとなります。炎症が強くリンパ節が腫れたり、発熱やのどの痛みを伴うこともあります。主に「化膿レンサ球菌」が原因となりますが「黄色ブドウ球菌」も同時に感染していることが多くみられます。
とびひの治療には、原因となる細菌を退治するための抗菌薬が使用され、かゆみが強い場合は、かゆみを抑える治療も行われます。そして一番大切なことは皮膚を清潔し、ひっかかないようにガーゼで覆うことが重要です。なお、進行が酷くならないうちに治療を始めるとより早く治すことができるので、早めに皮膚科や小児科を受診しましょう。

保育園への登園目安

医師が感染のおそれがないと認めるまでとなり、患部を確実にガーゼで覆い、子ども達同士の接触感染を防ぐこと。
※プールには傷が黒くなり、かさぶたになれば可能なことあります。

感染経路

とびひは傷を掻いたり、鼻をいじった手指を介して菌が拡大していく「接触感染」であり、タオルや衣類を介して移ることもあります。現状とくにワクチンはないため、子どもの爪を短く切ったり、外出や遊んだ後には必ず手を洗うことを徹底してください。

インフルエンザ

概要

インフルエンザの原因となる「インフルエンザウイルス」は一般的には低温と低湿度を好むため、夏よりも冬の方が長く生存でき感染力が高いとされ「夏にはほとんど流行しない」といわれています。しかし近年、夏にもインフルエンザが流行することが明らかとなっています。過去、2009年のインフルエンザA型の流行は8月~10月に流行のピークとなったり、2015年の7月末~8月の沖縄県にてインフルエンザA型の集団感染もありました。

症状

インフルエンザは1~4日間の潜伏期間を経て、突然に発熱(38℃以上の高熱)し頭痛、全身倦怠感、筋肉痛・関節痛などがおき、鼻水・咳などの呼吸器症状がこれに続いて発症します。合併症として、気管支炎、肺炎、中耳炎などがみられます。さらに重大な合併症には重症肺炎などがあります。とく5歳未満の子どもはインフルエンザにかかると重症化しやすく、インフルエンザの症状に加えて意識障害(呼びかけに答えないなど)、意味不明の言動、持続性のけいれんといった症状が現れる「急性脳症(インフルエンザ脳症)」を発症させ死に至ることも。とにかくインフルエンザが疑われる症状が見られたら、できるだけ早く医療機関での診察を受けてください。

保育園への登園目安

学校保健安全法施行規則第19条において「発症後から5日を経過し、かつ、解熱後3日が経過するまで」となっています。

感染経路

通常のインフルエンザウイルスや新型インフルエンザウイルスの感染は、咳やくしゃみによる「飛沫感染」や接触によってウイルスが体内に入る「接触感染」で起こります。しかし、インフルエンザウイルスに感染しても無症状や臨床的にはインフルエンザとは診断し難い軽症の場合もあります。そのため意識せずとも飛沫や接触により感染拡大もすることから、とくに濃厚な接触機会の多い保育園や幼稚園などの集団生活施設では、インフルエンザの集団発生をコントロールすることは大変困難だとされています。

参考文献
・日本小児皮膚科学会
・東京都福祉保健局東京こども医療ガイド
・相模原市役所こどものかかりやすい病気
・いのちをつなぐSARAYA
・シオノギ製薬
・Medical Note
・勝どきみなみクリニック
・ゆうき耳鼻咽喉科
・maruho
・高梁医師会
・スマイル眼科クリニック
・医療法人 新光会

保育園で行うべき“8つの感染症対策”!

保育士ともに保護者などの保育者が子どもの為に感染症対策を行う目的は、自身も感染症にかからないことはもちろん「自身が感染源となり周囲に移さないこと」が一番の狙いです。また、感染症対策の知識は、集団保育の中で子ども同士の感染を防ぐ役割にもなるため保育士にとって無くてはならない知識ともいえます。そこでぜひ、下記の感染症対策のポイントを学び感染の拡大を最小限に抑えられるような保育を行いましょう。

感染症対策【その①】感染源対策を万全に

感染症を発症している子どもないしは職員、保護者は大量の病原体を周囲に排出しているため、症状が軽減し医師による一定の条件を満たすまでは登園・出勤を控えてもらうこと。

感染症対策【その②】感染経路別の対策を講じましょう

感染経路別のそれぞれに応じた正しい感染症対策をとること。これは夏場だけとは言わず日頃からタオルやコップなど、手や口に触れるものは子ども達一人ひとり個別のもの使用しましょう。とくにプールに入る時季にはタオルに気をつかってください。

感染症対策【その③】予防接種を促しましょう

感染症の予防にはワクチンの接種がかなり効果的です。あらかじめ予防接種をすることによって、免疫を与え未然に感染症を防ぐことができます。なので保育園への入園前に出来るだけ予防接種を済ませておくことや、保護者の方にも年齢ごとに接種可能なワクチンの呼びかけなどを行うことが大切です。

感染症対策【その④】子どもならびに保護者そして保育園全体で健康教育を進めましょう

子ども達自身に自分の身体や健康に関心を持たせるため健康教育を行い、身体機能を高めていくこと。しかし現実的には、幼い子ども達には理解が難しいことが多いため保護園と家庭が連携して感染症の共通理解を深めていくことが対策となります。

感染症対策【その⑤】衛生環境と薬の把握を徹底しましょう

保育園内外の衛生管理を日頃から心掛けること。感染症の広がりを防ぎ安全で快適な保育環境を保つために、消毒薬の種類と適正な使い方を把握するのと同時に子どもの手の届かない場所に管理するなど消毒薬の管理も行いましょう。

感染症対策【その⑥】保育園職員の清潔さを保つこと

子どもとスキンシップの多い保育士をはじめ保育園の職員は清潔さを保ち、衛生知識の向上に努めることが大切です。また、乳幼児のおむつ替え時には使い捨て手袋を使用し、新しいおむつを付ける前には必ず手袋を外し、ウイルスが他へ付着しないように気を付けましょう。血液や傷口に振れる際にも手袋を着用することをオススメします。

感染症対策【その⑦】バランスの良い食事と規則正しい生活を

子ども達はもちろんのこと保育士や保護者も忙しい生活ですが、規律正しくコントロールした暮らしをおくりましょう。十分な睡眠であったり、栄養バランスの取れた食事、こまめな水分やミネラル補給など冷たいものを摂りすぎないような生活習慣をつけてください。

感染症対策【その⑧】正しい手洗いを覚えて徹底しましょう

とにかく感染症には手洗いをすることが基本であり最も重要な手段です。多くの病原微生物は、物を介して手から手へと拡がり、それが感染拡大のきっかけとなります。つまり、手は見た目に汚れていなくても病原性微生物が付着している可能性があります。

正しい手洗い方法
以下の手順を“30秒以上”石けんを用いて流水で行います!
① 液体石けんを泡立て、手のひらをよくこする
② 手の甲を伸ばすようにこする
③ 指先と爪の間を念入りにこする
④ 両指を組み、指の間を洗う
⑤ 親指を反対の手でにぎり、ねじりように洗う
⑥ 手首を洗い、よくすすぎ、よく乾燥させる
※水を止める際に出来れば、指先を使わずに手首やひじ、ペーパータオルを使用するとさらに良いでしょう。
※年齢の低い子ども達にはすべての手順は難しいので、保護者や保育士が手本や介助してあげて、少しずつ正しい手洗いを覚えさせていきましょう。
参考・引用
・厚生労働省「保育所における感染症対策ガイドライン(2018 年改訂版)」
・いのちをつなぐSARAYA 感染と予防

保育園で想定される“救急対応”を要する子どもの傷病について―小児救急医療現場より

ご紹介してきました季節柄の感染症もさることながら、保育園では子ども達が長時間ともに生活しているため、保育中の傷病・事故がやむを得ずに起きてしまうことがあります。そこで、実際に小児救急が遭遇した保育園で多い子どもの傷病についてまとめてみました。ぜひ保育士の方は以下の症状に気を付けて、場合によってはすぐに救急へ連絡や病院へと子どもを連れていきましょう。

怪我(事故外傷)

さて、保育をしていて子ども同士喧嘩になることや転んでしまうことがあります。そこで重症化してしまう恐れがあり一番に心配となるものが“頭を打ってしまうこと”。救急出動や病院に子どもが来る件数で、この症状が一番多いそうです。
頭を打ってしまった場合、とくに頭を打ったにも関わらず「すぐ泣かない」「嘔吐してしまった」「たんこぶがたくさんできている」などの症状が見られる際には意識障害を引き起こしてしまうことありますのでご注意ください。尚「たんこぶどころかブヨブヨとした血腫」ができている時には、頭の骨が折れていたり頭の中が出血していたり、脳挫傷を起こしている比率高いため非常に危険です。したがって、嘔吐などよりも頭の傷が強い方が救急を呼び、精密検査ができる病院に行くことをオススメします。
さらに保育園では、原因不明の骨折や頭蓋内出血などもあるかと思いますが“お腹を打ってしまう子”も多いそうです。子どもがお腹を打ってしまうと、大人と違いお腹の容積の割に肝臓など臓器が大きいため、お腹の皮膚は全く異変が見られませんが中の臓器が損傷していることあります。なかでも肝臓、腎臓、脾臓がちょっとでも崩れた状態になると、必ず嘔吐してしまいます。しかしこの症状は打ってすぐから嘔吐するので分かりやすいとも言え、お腹を打って嘔吐した時にはすぐ病院へ連れて行ってください。一方、すぐに嘔吐しない場合は、何らかの棒や自転車のハンドルがでみぞおちをつき膵臓が割れたり、十二指腸の粘膜の中に血腫ができたりする時が多いそう。これは、お腹を打って元気そうに見えても1~2時間後に嘔吐してしまうため、こちらも必ず病院に行きましょう。

乳幼児突然死症候群(SIDS)と窒息

保育園で起きてしまう傷病の中に、乳幼児に多い「乳幼児突然死症候群(SIDS)」というものがあります。この乳幼児突然死症候群(以下、SIDS)は、乳児期の死亡原因として“第4位”となっており、平成29年には77名の赤ちゃんがこのSIDSで亡くなっています(厚生労働省「平成29年度 乳幼児突然死症候群(SIDS)について」)。
SIDSと窒息は非常に鑑別が難しいものなのですが、少し前まで元気にしていた乳幼児が“事故ではなく眠っている間に突然死亡してしまう病気”です。SIDSは家庭で起こることは少なく、保育園など“家庭外”で起きてしまうとされ詳しい原因の解明には至っていません。
しかしほとんどのSIDSの症例は、生後2~6ヶ月までに非常に多く見られ、保育園の“預け始め”に集中します。「昨日から保育園に預か出した時」や「試しに預けの時」など、子どもが何かしらの環境変化に対する反応ができずに、SIDSを起こすのではないかとされています。このことから確固たる医学的な根拠はありませんが、乳幼児の環境変化に伴うストレスの要因となりかねない保育園では、とくにSIDSが発生しやすい乳幼児の見守りや観察に注意が必要です。
下記の4つポイントに気を付けことにより、SIDSの発症率は低くなり未然に防げる確率が高くなるというデータがありますので参考になさってください。

SIDSの発症率を低くするポイント①1歳になるまでは、あおむけに寝かせましょう

SIDSはうつぶせ・あおむけのどちらでも発症する可能性があるものですが、うつぶせ寝は仰向け寝より3倍ものリスクがあるとことが研究者の調査からわかっています。これは睡眠中の窒息事故を防ぐ上でもかなり大切ですので心掛えておきましょう。

SIDSの発症率を低くするポイント②可能な限り母乳で育てましょう

母乳での育児は乳幼児の成長にとって最適だとされ、SIDSの発生率も低くなるといわれています。人工乳が特段悪いわけでも発生原因ありませんが、できるだけ母乳で育てていくことをオススメします。保育園によって定期的に保護者から母乳を頂いてあげているところもあります。

SIDSの発症率を低くするポイント③乳幼児を暖めすぎない

どうしても冬や夏の冷房対策にと部屋を暖め過ぎたり、布団をかけ過ぎたり、厚着をさせてしまったりしてしまいがちです。このやりすぎな行動が、まだ体温調節でもできない乳幼児にとって高体温となりSIDSを引き起こしてしまう原因の可能性があります。できるだけ通気性や吸湿性の良い衣服を着せ、不必要な靴下や帽子は脱がしましょう。

SIDSの発症率を低くするポイント④妊娠中や乳幼児の前でのタバコはやめましょう

妊娠が喫煙することによって、お腹の中の赤ちゃんの体重が増えにくく呼吸中枢にも悪影響を及ぼすとされています。そしてタバコはSIDSの発生にも大きな危険因子だとされているため、妊婦自身の喫煙そして妊婦や乳幼児の傍での喫煙は控えてください。

窒息について

内閣府・厚生労働省の「保育施設における死亡事故発生時の状況や、主な死因」から子どもが亡くなってしまう事例のうち“75%”は「睡眠中」そしてそのなかでも「うつぶせ寝の状態」で発見された事例が“49%”にものぼります。保育園では、午睡など睡眠時に最も多く発生しておりその約半数はうつぶせ寝の状態で窒息にいたってしまっています。窒息の予防には、睡眠時の体調の急変を見逃さないため「保育士が子ども達一人ひとりを確実に見守られる体制」と「うつぶせ寝にさせないこと」「定期的な呼吸や顔色のチェック」を行うことなどが得策だと考えられます。

高熱(高熱性疾患)

保育園では基本的に子どもの体温37.5度以上で「発熱」とみなし子どもを預からないシステムとなっていますが、保育中に発熱が見られる場合もあるかと思います。保護者の中には「熱はあったけど元気そうだったから解熱剤を飲ませて保育園に預けました」など熱に関して、軽くみている方もいらっしゃいます。しかし感染症による発熱(高熱)は、対処や判断を間違ってしまうと重症化する可能性があります。

高熱から重症化の可能性があるチェックポイント
・顔色が悪い
・手足が異様に冷たい
・元気がない
・ぐったりしている
・普段よく食べるのに食欲がない
・嘔吐する

上記の症状がみられる場合には「一般状態が悪い」とされ早めの病院への往診が必要となりますが、さらに「いつもの顔つきとちょっと違う」という時には、かなり用心しないといけない状態です。いまだ原因がわからない“川崎病”を引き起こしてしまうかもしれません。すぐにでも救急を呼び、専門医への受診を強く勧めます。

けいれん(内科的中枢性疾患)

続いて保育園またはご家庭でも救急車を呼ぶことが多い症状として、高熱に次いで頭の中の病気でもある中枢性疾患の「けいれん」です。
けいれんは熱がある「有熱性けいれん」と熱のない「無熱性けいれん」に分かれますが、子どもに多くみられるのは「有熱性けいれん」俗に言う「熱性けいれん」です。とくに1~3歳児に多く発症し、熱が出始めてから24時間以内にけいれんが起こります。かえって熱が出て3日以上でけいれんが起こった時には「熱性けいれん」ではなく「脳炎」などの他の病気が考えられます。実は「熱性けいれん」は家族歴が強いもので、保護者や兄弟などに熱性けいれんの既往がある場合は反復しやすいため多くの保育園では子どもを預かる際に病歴を聞いています。
保育園では起こる事例としては、登園時の朝には熱がない状態で次第に昼から熱が高くなり、保護者が来る間にけいれんが起こることが多いそう。その場合のけいれんの際は以下のポイントを注力して観察し救急に伝えてください。

また、けいれんは数分で止まる時もありますが、再びけいれんが続く可能性もあります。「もうよくなったのか」と自己判断をせずに必ず病院へと連れていってください。重症化してしまうと大変危険なこともあり、「救急車が到着してけいれんが止まっていればそれに越したことはないくらいの気持ち」で救急を呼びましょう。
けいれんを引き起こす病気の中に「髄膜炎」というものあり、「エンテロウイルス」という夏場に流行るウイルスが「無菌性髄膜炎」というのを発症させます。保育園でも非常に流行りやすいもので、同じ園から何人もの子どもが髄膜炎で入院するということも起きてしまう可能性があります。ちょうど3~6歳頃は少し熱があっても元気はあると夏場でも保育園に登園すること多く、子ども達は保育の中で不必要に体力を消耗させ髄膜炎になってしまうそう。また「インフルエンザ菌」という細菌にからも「髄膜炎」も存在します。これにはぜひワクチンを打ち予防してほしいもので、この髄膜炎により死亡する例やかなり強い後遺症を残す例もみられています。

けいれんを発症した際の対処法
・呼吸を促すため上着のボタンを外すなどして衣類を緩める
・嘔吐による窒息防止に右側臥位※にして様子をみる
・風の通るところに寝かせてあげる※右側臥位…右側を下に横向きに寝ている姿勢です。身体のバランスとリラックスした安定性を保つために腰を引き“くの字”の状態にします。

呼吸苦(呼吸器疾患)

呼吸器の病気は持病を含めて子どもの病気に非常に多いく、どこの保育園でも対応している保育士や看護師は多いことでしょう。呼吸苦の病気で主に多い症状は下記になります。

また「肺炎」も子どもに多くみられ病気ですが、実は肺炎は決して高熱が出るというわけではないため日中はほぼ保育可能な微熱で、降園し夜になって子どもの熱が上がってくるパターンが多く保育園では経験しにくい症状なのです。どちらかというと肺炎だと思いがち「気道異物」の症状の方が保育園では遭遇してしまいます。「気道異物」は子どもがピーナツなどの豆類やニンジン、キュウリ、セロリなどの硬いもの誤嚥し、食事中などで突然咳き込み出してしまう症状です。とくに3歳以下の子どもに多いものですので、ぜひ3歳を過ぎるまでは“嚙み砕く”行為を用いる食材には気をつけてあげましょう。

腹痛(消化器疾患)

救急を要する腹痛となると「脱水」が一番の問題となりますが、保育園にて救急を呼ぶかどうかの判断は難しいこともあります。ぜひ下記のポイントを判断の参考にしてください。

救急を呼ぶ腹痛のポイント
・顔色が悪い
・お腹を触るとすごく固い

こういった場合には、救急や病院へと急ぎましょう。4,5歳の子どもになると甘えたり、構ってほしさからか「お腹がいたい」と仮病を使ってしまう子どももいますので、保護者に連絡して待つかどうかの判断材料にしてください。しかし子どもの様子が朝は何ともなかったのに、保育園に行きお昼前から突然お腹を痛がり、吐いてしまう症例があります。このような突然の発症は「腸閉塞性疾患」の「腸重積症」や「内ヘルニア」など早期発見しないと命を落としてしまう可能性があります。その場合、必ずオムツを外して“鼠けい部・陰部を観察”してください。鼠けい部が盛り上がってまっていたら「腸閉塞」の恐れがあるため救急を呼びましょう。
また、いわゆる細菌による「食中毒」も保育園では可能性がある病気です。鶏卵に多い「サルモネラ」という、ひどい血便を起こして痛がるもの、細菌性腸炎を起こしてしまうことになります。さらに「カンピロバクター」というのも鶏肉で感染するものや牛肉に多い「0‐157」が多くみられます。これらは“まだ煮えていないのを食べている”ことが起因しているため、保育園では必ずしっかりと火が通したものを食事に出しましょう。
もう一つ保育園で起きる傷病として「アレルギー性紫斑病」というがあり就学前の子どもに多くみられものです。重力の関係で下半身とく脛あたりに出血斑がみられ、足関節や膝関節が腫れて痛がって歩かない等の症状です。「出血斑」と「湿疹」の見分け方としては、そこを押して赤みが消えれば「湿疹」です。押しても赤みが消えないときには「出血」という判断になります。
時折、下痢をしているのに保育園へ登園する子どももいらっしゃるかと思います。これはノロやロタなど急性の腸炎が終わった後、腸の粘膜は正常に戻っていても腸のリズムだけがまだ元に戻らずに“食欲があり元気もあり、お腹も痛がらないが、排せつは下痢をしてしまう”という診断を医者がしている場合がありますので保育士は保護者に確認をしてください。ちなみに嘔吐に関しては、もし吐物が床に飛び散った際には「アルコールでの清拭」が効率よい対処となります。

参考文献
・厚生労働省「乳幼児突然死症候群(SIDS)について」
・チャイルド・リサーチ・ネット
・公益財団法人母子健康協会「第28回 母子健康協会シンポジウム」
まとめ
保育園では、長い時間子どもたちと一緒に過ごします。そのため、保育士は感染症やケガなどの対応を日々求められることがあるので、「冷静な対処」「緊急時の対策」「医療機関との連携」を日頃から心掛けることが大切です。また感染症が感染をしてしまってかたらでは遅いので、今回ご紹介したような予防対策の徹底と感染症についての正しい知識を蓄えておきましょう。そして保護者と協力して子ども達の健やかな成長を見守っていきましょう。