保育士への転職を考えたとき、履歴書や職務経歴書の作成で悩む人は多いもの。特に志望動機の書き方に困る方が多いです。
この記事では、保育士への転職に必要な応募書類の作成方法をわかりやすく解説します。志望動機の書き方についても具体的にポイントを押さえて説明するので、ぜひ参考にしてみてください。
保育士の転職先の選択肢については、こちらの記事もおすすめです。
・「保育士への転職、メリットや注意点は?40代、50代でもOK!」
「履歴書より面接が大事でしょ?」と思う方もいるかもしれません。でも、人気のある保育園では、まず履歴書による書類選考を通過しないと面接に進めないことが多いんです。
また、書類選考がなく直接面接がある場合でも、面接官は必ず履歴書を見ながら話を進めます。そんなときに、誤字があったり、空欄が多かったりすると、「この人は本気で働きたいと思っているのかな?」と不安に思われてしまうかもしれません。
実際、書類選考の通過率が1〜3割ほどという園もあり、履歴書がしっかり書けているかどうかはとても大きなポイント。履歴書は、あなたの第一印象を伝える大切な「自己紹介ツール」なんです。
この記事では、そんな大切な履歴書の書き方やコツ、すぐに使える例文もご紹介しています!ぜひ参考にして、しっかり準備を進めていきましょう。
履歴書は手書きとPC作成のどちらかを選べます。手書きは丁寧さや温かみをアピールでき、PC作成は読みやすさやPCスキルの証明になります。応募先の特徴に応じて選びましょう。
例えば、手書きの連絡帳を重視する園では手書き、PCスキルを求める園ではPC作成の履歴書が評価されやすいです。
また、履歴書には記入ミスや写真の貼り忘れがないように注意が必要です。提出前にしっかり確認しましょう。
以下の点は、基本的な履歴書のルールと書くときの要チェックポイントです。これらを意識して記入しましょう。
資格やスキルの欄には、「普通自動車運転免許」や「子育て支援員」など、関連資格も漏れなく記載しましょう。また、ピアノ演奏や工作など、園で活かせる特技も記載できると強みになります。
① 日付
書類選考の場合はポストの投函日になります。面接で履歴書を持参する場合は、その持参する日を書きましょう。
② 氏名
氏名の書き方で履歴書全体の印象が変わるくらい大切です。丁寧にしっかりと書いてください。
③ 生年月日
全ての項目に該当しますが、西暦か和暦のいずれかに統一してください。満○歳となっているような場合は、記入時の年齢を書き込みましょう。
④ 男女
○印は丁寧につけるように心がけてください。
⑤ 写真
写真のイメージはとても重要です。できれば撮影スタジオを持っている写真館などで、プロのカメラマンに撮影してもらい、明るい表情の写真を使いましょう。
⑥ 現住所、電話番号、E-mail
現住所は、都道府県から記入しましょう。政令指定都市の場合でも都道府県名は略さないようにしてください。電話は、日中なども直ぐに連絡が取れる番号を書きましょう。最近は携帯電話の番号が多いですが、固定電話がある場合には併記するようにしてください。
※連絡先(現住所以外に連絡を希望する場合のみ記入)、電話番号がある場合実家など緊急の連絡先がある場合、その住所、電話番号を記入します。特にない場合は「同上」と記載し、現住所を繰り返して記入する必要はありません。また、現住所の記入と同様、政令指定都市の場合でも都道府県名は略さないようにしてください。
⑦ 学歴・職歴(個別にまとめて書く)
〇〇区立や株式会社などは省略したりせず、正式名称を書きましょう。例)〇〇区立〇〇小学校、株式会社〇〇など
⑧ 資格・免許
応募先の業務に関係のある資格を書くようすると良いです。また、資格は、取得した順番に時系列で記載します。ちなみに、資格の取得に向けて勉強をしていることがあれば、その内容を書いても問題ありません。例)〇〇資格取得に向けて勉強中など。
⑨ 志望動機(自己PRを含む)
※下記の「志望動機の書き方のコツ!例文集つき!」で解説します。
⑩ 趣味・特技
趣味・特技欄は、実践しているスポーツなど、持続力、積極性、協調性などが伝わる内容を書きましょう。
⑪ 通勤時間
自宅から会社までのドアtoドアの片道最短ルートの所要時間を書くようにします。ちなみに、交通費負担が極端に大きいと判断されると、選考に影響することを把握しておきましょう。
⑫ 扶養家族数(配偶者を除く)
扶養家族は、自分の収入で養っている家族がいれば記入してください。会社によっては、家族手当、住宅手当などの支給、社宅などの必要有無をこの記載内容から確認しているケースがあります。
⑬ 配偶者の有無
配偶者は、自身と婚姻関係にある人のことで、一般的には夫や妻のことを指します。○印は丁寧につけるように心がけてください。
⑭ 配偶者の扶養義務の有無
配偶者が社会保険に加入している場合や、年収が130万円を超えて国民健康保険に入っている場合は「無」になります。○印は丁寧につけるように心がけてください。
⑮ 本人希望記入欄(特に給料・職種・勤務時間・勤務地・その他について希望があれば記入
基本的には、よほど重要な希望などがない限り、「貴社の規定に従います」と記入し、会社に合わせる姿勢を見せておきましょう。
<封筒のサイズ>
履歴書を入れる封筒は「角形A4号」か「角形2号」を使うのが一般的です。履歴書は折らずに入れるのがマナーなので、大きめの封筒を選びましょう。
市販の履歴書は、二つ折りにするとB5やA4サイズになります。履歴書のほかに送付書類がある場合も、A4サイズが入る「角形A4号」や「角形2号」の封筒なら、そのままきれいに収まります。
<封筒の書き方>
住所は都道府県から正しく書き、社名は「(株)」ではなく「株式会社」と正式に記入します。封筒の表面左下には「応募書類在中」または「○○職応募書類在中」と書きましょう。裏面には自分の住所と名前を記入します。
切手はまっすぐに貼り、宛名の書き方にも注意が必要です。「○○御中」と「○○様」を一緒に使うのは間違いなので、使い分けに気をつけましょう。
職務経歴書の作成では、フォーマット選びや保育経験者・未経験者ごとの書き方が大切です。まずは自分の経歴に合ったフォーマットを選び、適切なアピール方法を考えましょう。
職務経歴書には「時系列式」と「キャリア式」の2種類のフォーマットがあります。
• 時系列式:職歴を古い順に記載し、成長過程をアピールしたい方に適しています。経験が浅い方や転職回数が少ない方にもおすすめです。
• キャリア式:職務内容や分野ごとにまとめ、強みや専門性をアピールできます。転職回数が多い方やスキルが明確な方に向いています。
職務経歴書はただの経歴の羅列ではなく、採用担当者に「一緒に働きたい」と思ってもらえる内容にすることが重要です。
経験者の場合、実績や業務内容を具体的に記載し、即戦力をアピールしましょう。具体的には、担任経験や子どもたちの年齢ごとの対応力、行事運営などの経験・実績を記入します。
たとえば、以下のような書き方です。
「3歳児クラス(15名)を2年間担当し、保育計画立案から保護者面談まで一貫して担当しておりました」
経験は具体的に携わった業務を記入しましょう。クラス運営における工夫や成果も添えると、保育に対する姿勢が伝わりやすくなります。
対応力などスキルについては、以下のような書き方がおすすめです。
「乳児期は個々の生活リズムを大切にし、幼児期では友達との関わりを通した社会性の育成に力を入れました」
保育に関する理解度が伝わるよう、スキルとエピソードを組み合わせてアピールするとよいですね。
また、行事運営の経験も企画力やチームワークをアピールできる貴重な材料です。運動会や発表会などの行事で担った役割、同僚や保護者との連携について具体的な内容を記入しましょう。
経験者の場合、保育の現場で活かせるスキルをアピールすることがポイントです。特に以下のスキルを強調しましょう。
• コミュニケーション能力
• 観察力、洞察力
• 体力
• 課題解決力
• 実技や表現力
• チームワーク
また、「なぜ保育士になりたいのか」「どんな保育を目指すのか」についても伝えることが大切です。保育士という仕事への熱意を感じさせることを心がけましょう。
転職活動でとくに重視されるのが「志望動機」です。採用担当者は、応募者の転職理由や保育への思いを知ることで、園とのミスマッチを防ごうとしています。保育への熱意をしっかり伝えるためにも、志望動機の書き方はとても大切です。
保育経験者に対して採用担当者が注目するのは、「転職理由」と「志望動機」が応募先の園と合っているかどうかです。園の方針や保育方針に共感していることが伝わる内容が評価されやすくなります。
また、過去の保育経験も重視されます。どんな年齢の子どもを担当していたか、どんな困難にどう向き合ったかなど、具体的なエピソードを交えて書くと、即戦力としての印象が伝わりやすくなります。
また、経験者と一括りに言っても、さまざまなケースがあります。
例えば、以下のようなケースです。
• 幼稚園から保育園に転職する
• 保育園の経験があっても休職期間を経て再就職する
• 小規模な保育園から大規模な保育園への転職する
• 大規模な保育園から小規模な保育園に転職する
上記のケース別に、志望動機の例文をご紹介します。
<幼稚園から保育園に転職する>
「長年、幼稚園という教育現場で子どもに携わる仕事をしてきましたが、0歳や1歳といった年齢の子どもの保育経験を積みたく、前職の幼稚園を退職しました。」
<保育園の経験があっても休職期間を経て再就職する>
「私は5年間保育士として働いていましたが、出産を機に退職し子育てに専念しておりました。子どもが大きくなり、保育園に預けていましたが、働いている保育士さんの様子を見ているうちに現場に復帰したいという想いが強くなり、来年子どもが小学校に就学するのを気に復職をしようと考え、応募させていただきました。」
<小規模な保育園から大規模な保育園に転職する>
「今まで定員20名の小規模な保育園に在職しており、乳児が主であることもあって、他の学齢の子ども達と接することなく過ごしてきました。貴園は、異年齢の交流の中で子どもたちが大きく成長していく環境を大事にされていることや、様々な経験を持った保育士同士が学び合えるような環境だと思いましたので、応募させていただきました。」
<大規模な保育園から小規模な保育園に転職する>
「これまで、規模の大きな保育園で0歳児クラスから5歳児クラスまで、幅広く保育を経験してきております。しかしながら、なかなか一人ひとりにかけられる時間や、きめ細やかなケアができず、『もっと一人ひとりに寄り添った保育をしたい』と感じていましたので、一人ひとりのお子さんにより近く、きめ細かな保育を実施していきたいと考え、少人数で暖かみのある貴園に応募させていただきました。」
未経験者は、「なぜ保育士になりたいのか」がもっとも大切なポイントです。子どもが好きという気持ちだけでなく、どんなきっかけや思いがあって保育の仕事を目指すようになったのか、具体的に伝えましょう。
参考として、未経験者・関連業種から転職するケースで例文をご紹介します。
<未経験者で転職する>
「私は長年接客業を行っていましたが、仕事をしていく中で子どもが好きだと感じ、独学で保育士の資格を取得しました。保育士としての仕事は未経験ですが、接客業で培った経験や、コミュニケーション能力を活かして働いていきたいと思っています。将来的には、子ども達だけでなく、保護者の方々からも信頼される保育士を目指したいと考えています。」
<関連業種から転職する>
「私は元々、小規模な保育所で栄養士として給食の業務に携わる仕事をしていました。手が空いたときに、いつも自然と子どもの遊び相手になっていました。そんな子ども達を見て、私はいつしか、保育士として子ども達を育ててみたいという考えになり、応募させていただきました。」
例文のように、保育に活かせる経験も重要なアピール材料です。ボランティア、子育て、地域活動など、仕事以外の経験でも構いません。また、前職で培ったスキルも、保育にどう活かせるかをあわせて伝えるとよいですね。
以下はスキル別の例文です。自分の経験に合わせてアレンジして活用できます。
履歴書や職務経歴書に書く自己PRでは、「自分の強みをはっきり伝えること」がなにより大切です。あわせて、採用担当者は人柄や仕事への姿勢も見ているので、人間味が伝わるエピソードを添えると、より好印象につながります。
また、応募先の保育園がどんな方針や特徴を大切にしているかをふまえた自己PRも効果的です。保育園によって求める人物像は異なるため、園のホームページや求人情報をチェックして、共感できる部分を探してみましょう。
たとえば、保育園によっては以下のような特徴を大切にしていることがあります。
• 自然と触れ合う「自然教育」
• 早期の「英語教育」
• 健康と食を学ぶ「食育」
• 地域とのつながりを重視した「地域交流」
• 感性や表現力を育む「表現活動」
こうした園の方針に、自分の経験や思いがどんなふうに重なるかを伝えられると、ぐっと説得力のある自己PRになります。
保育士に転職する際には、その仕事ならではの悩みや不安を感じる方が多いものです。でも、どんな悩みにもちゃんと解決のヒントがありますので、安心してくださいね。
よくある不安には、たとえばこんなものがあります。
• 人間関係
• 体力やメンタル面
• ブランク
• 自分に合う園がわからない
とくに多いのが、人間関係に関する不安です。「新しい職場の雰囲気に馴染めるかな」「保護者とうまくやっていけるかな」といった悩みは、誰でも感じること。
そんなときは、事前に園の雰囲気をリサーチすることが大切です。園のホームページや口コミ、職場見学を通じて、実際の人間関係や職場の雰囲気を知っておくと安心できますよ。
保育士は体を動かすことが多く、子どもたちと元気に関わる分、体力や気力も必要です。
不安を和らげるには、自分の体調管理を見直すことや、働き方を選ぶこともひとつの方法。たとえば、シフトに柔軟な園や、しっかり休憩を取れる体制のある園を選ぶと、負担を軽減できます。
育児や家庭の事情などで、しばらく保育の現場から離れていた方も多いですよね。「ブランクがあるけど大丈夫かな?」と感じるのは自然なこと。
そんなときは、研修や講習会に参加したり、ボランティアで子どもと関わる機会を持つことで、少しずつ自信を取り戻していけます。
「自分に合う保育園がどこかわからない…」という悩みもよく聞かれます。
求人票だけでは実際の雰囲気までは見えにくいので、職場見学や体験保育を活用するのがおすすめです。さらに、転職サイトやエージェント(ほいくジョブなど)を利用すれば、表には出てこない情報や、園ごとの働き方なども教えてもらえます。
複数の園を比べながら、あなたに合った職場を見つけていきましょう。