いざ転職となった際、新たな勤務先へ提出する必要のある書類には「履歴書、職務経歴書、保育士証、健康診断書、入社契約書、給与振込先の申請書、扶養控除等申告書、健康保険被保険者異動届、身元保証書」などが必要ですが、、その他にも「在職証明書」という書類の提出を求めるられることがあります。
在職証明書は一度認可保育園で勤務して転職を経験した方ならご存知の方は多いと思いますが、保育士としてその園で何年働いたのかを証明する大切な書類になります。
今後、転職を視野に入れている方は予備知識として今回の記事をお読み頂くと新しい勤務先でもスムーズに書類手続きを行うことができるでしょう。在職証明書を発行するための依頼書や在職証明書のテンプレートもありますのでぜひ最後までお読みください。
保育士の在職証明書は勤務証明書ともいわれ、認可保育園に転職をする際に、新しい園が「前の認可保育園で何年在職していたか」を確認するための書類になります。したがって、在職証明書は“これまで勤務していたことの証明”もしくは“保育経験を確認する”書類として提出をします。何度も転職をしている場合は、これまでに在籍していた保育園の数だけ在職証明書の依頼がになることを把握しておきましょう。ちなみに認可外保育園(無認可保育園)等の児童福祉法に基づく認可を受けていない保育施設では、在職証明書が不要かつ認可外保育園での保育士経験は換算されない場合があります。
ではなぜ、履歴書や職務経歴書に記入している職歴だけではなく「在職証明書」が必要なのでしょうか。
認可保育園は行政・各自治体から補助金の支給を受けて運営を行っています。そこで働いている保育士の平均経験年数によって、運営費となる補助金の額が変わってきます。いわゆる「処遇改善等加算」というもので、保育士が一定以上の経験年数や技能を有することで基本給や手当の補助金がアップする仕組みとなっています。そのため公的な補助金を貰うには、きちんとした書類で行政や各自治体に証明をしなければなりません。ゆえに履歴書や職務経歴書など転職者本人である保育士が書いた書類では、自称の経験年数となってしまうので公的な証明とはならないのです。また、将来保育園の園長となる際にも、10年程度の保育士経験があることを証明しなければならない為、在職証明書が必要となってきます。
在職証明書は、転職先の保育園から前職の保育園に直接依頼して取得してくれる場合もありますが、基本的に自ら勤務していた保育園へ依頼をしなければなりません。そこで、在職証明書を依頼する方法や注意点をまとめてみましたのでご覧ください。また、在職証明書を依頼する際に必要な書面のテンプレートもご紹介しますので状況に合わせて改変しご活用ください。
一番左上に在職証明書の発行を依頼したい、保育園名を正式名称で明記します。どんなに長い保育園名でも名称を略さずに書くことがマナーです。
送付・発信した年月日を、依頼文を作成した日として文書の右上部分に明記します。
何のための書類なのかを明確にするため「在職証明書発行のご依頼」や「在職証明書発行のお願い」など書きましょう。
頭語は手紙の書き出しや冒頭にあたるものとして「拝啓」「謹啓」などを使います。そして、頭語から一文字空けて挨拶文を書き始めることがマナーとなります。挨拶文の冒頭は、季節に合った時候の挨拶を入れます。ちなみに「時下」は季節に関係なく通年で使用できる表現です!
次に前文から主文へ切り替わるため「さて」や「つきましては」などの起辞を入れ本題に入ります。
書類の郵送先 |
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保育士本人と自宅の住所を郵便番号つき明記すると親切です。 |
発行部数 |
新しい園に確認をとり正確な数字の記載をしてください。 |
返送期間 |
重ねてのお願いとして、おおよその期限を○月○日頃までになどと予め決めておくことによりトラブル防止となります。在職証明書は発行するのに時間がかかる場合もあるため、自ら提出期限から逆算して余裕をもって依頼をしましょう。 |
伝えたい事柄を主文に入れ終えたら、必ず「この度はお忙しい中、お手数をお掛け致しまして申し訳ありません。ご配慮のほど何卒よろしくお願いいたします」などの結びの言葉と、「敬具」のような頭語と対となる結語で締めましょう。
差出人の情報を書く場所は、宛名の左下か結語の下となります。内容としては、氏名、住所、連絡先(電話番号)を書きます。きちんと連絡がつく正確な情報を記載してください。※依頼書は、社会人として挨拶文などのマナーは必要ですが、文章の形式的なことよりも要件がしっかりと伝わることが重要です。
※新しい園で在職証明書の指定様式がある場合、その指定様式を入手し、依頼書に同封するようにしましょう。その際に「同封しております在職証明書への明記をお願い致します。」などの文言を添えましょう。
記入された在職証明書を返送してもらう為の返信用封筒を用意しましょう。その際に、自分で返信用封筒に切手を貼り、保育士本人の自宅の住所を明記してください。
在職証明書の発行を依頼する際の注意点 |
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※郵送をする前に、在職証明書を発行してほしいと保育園へ電話にて一報しておくとより印象が良いでしょう。具体的には、次のような連絡を入れます。 「以前に保育士として働かせていただいておりました○○と申します。その節はお世話になりました。このたび、転職が決まり、新しい職場で在職証明書が必要となりまして、発行の方をお願いしたくお電話をいたしました。本来であれば直接伺うところなのですが、この件でお時間を割いていただくのも恐縮ですから、郵送にて返信用封筒を送らせていただこうと思います。お手数ですが、お手続きを宜しくお願い致します。」 ※返送された在職証明書は、コピーを取っておきましょう! 過去に働いていた保育園は、何らかの事情で閉園する場合もあるでしょう。園が解散してしまっているような場合には、在職証明書の発行はできなくなります。 |
保育士の中には、パートやアルバイト、派遣社員などの雇用形態で働いていた方もいるでしょう。そうした非正規雇用者の方も、在職証明書が必要になる場合があります。
※原則として、1日6時間・月20日以上勤務された保育士の方が対象となりますが、転職先の保育園で求められた場合には提出をしましょう。
また、派遣保育士として働いていた方は、在職証明書を「働いていた保育園」に依頼することになります。雇用元である派遣会社のほうではなく、保育園で働いていたことの証明が必要なので間違わないようしましょう。
しかし、実は在職証明書の発行は、保育園側に義務付けが行われていないため、稀に在職証明書の提出を渋る保育園が存在します。その場合には、新しい保育園の担当の方や仲介していた転職支援サイトのコンサルタントに相談してみましょう。
保育園の中には、退職日に在職証明書を発行してくれるところもあります。その場合、在職証明書を自分で作成し用意しなければならないことも。その際には下記の在職証明書のテンプレートをご活用ください。
在職証明書には、「発行依頼者の氏名・生年月日・住所・雇用期間・雇用形態・役職・勤務地・職務内容・発行日・発行元の保育園名・保育園住所・証明印」などを記載します。
その他、依頼者や新しい園からの希望で記載事項を増やす場合もあります。
また、1つの保育園で都合上「常勤勤務3年、非常勤務2年と雇用形態が変わって働いていた」という際には、それぞれの期間で分け、在職証明書を2部作成してください。
在職証明書のテンプレートがダウンロードできるサイト紹介
・役立つPDFテンプレート
・文例書式テンプレート集
どちらも改変可能となっていますので、必要に応じて利用してみてはいかがでしょうか。ちなみに「就業証明書」「雇用証明書」「就労証明書」などの種類のテンプレートもありますが、内容としてはほとんど同じものとなりますので使用できます。
少し話は変わりますが、あなたは前職の園を円満に退職されましたか?
在職証明の依頼をする場合、あなたがどのように退職したかによりますが、少し注意したいことがあります。例えば、園同士で直接やり取りする場合や、何か書類に不備があって園同士で話をするようなことがあった場合、前職の園から貴方の評価まで伝わる可能性があります。良い評価なら心配はありませんが、トラブルがあって辞めている場合など、それが伝わる可能性があることも想定しておかなければなりません。また、園同士で書類のやり取りをする場合でも、在職証明の書類には「備考欄」を設けられていることも多いですが、この欄に貴方にとって不利な内容が書かれる場合もあります。更に、在職証明を園同士で取り寄せてくれる場合、転職回数が多ければ複数の園から何度も取り寄せることになりますので、結果として転職先の園に貴方の転職回数を強調するかのようなことが結果にもなるでしょう。特に園同士でやりとりする場合には、こうしたことの注意も必要となります。もしも、過去に勤めた園が円満退職でない場合や、あまりに転職回数が多い場合などは、自分で在職証明を取り寄せるようにしましょう。