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保育園を円満に退職する方法~保育士さんのための「退職願」と「退職届」の違いや正しい書類の書き方について~

保育士の仕事を続けていく中で、保護者とのトラブルや、過酷な労働環境などさまざまな理由によって園の退職を決断することもあるでしょう。そのような状況になった時、退職願や退職届の作成や提出が必要となりますが、それぞれにどのような役割や違いがあるのか、今一つ分からないという方も少なくないはず。そこで今回は円満に現在の職場を退職するための手引きとして、退職願と退職届の違いや正しい書類の書き方、提出するタイミングなどについてお伝えしたいと思います。

退職願と退職届の違いについて

まず退職願は、雇用関係にある会社もしくは経営者に対して、退職意思を表明する方法になります。ただし、文字通り退職”願”となるため、この段階では退職を会社にお願いしているスタンスとなるので、退職する前提ではありますが、提出して即座に労働契約が解約するとも限らず、話し合いなどによっては撤回される可能性も出てくることがあります。また、退職届の場合には、あなたからの一方的な強い意思表示によって、退職届の提出後から一定期間で退職することを意味し、退職届の提出後は撤回することはできません。この点を更に詳しく説明すれば、民法において労働契約の解約は、「当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申し入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申し入れの日から2週間を経過することによって終了する」と定められていますので、要件を満たすことで解約の自由を原則としています。
つまり、2週間の予告期間さえ設けておけば、いつ、いかなる理由であっても解約できることを意味し、解約予告には書類の提出も記載がありませんので、法律的には口頭で退職の意思を伝えるだけでも有効となるのです。しかし、こうした一方的な進め方で退職することはなくべく避け、円満に園を退職することを前提に、口頭で行き違いがないように余裕をもって必要書類を提出することや、退職に向けてじっくり上司や園と話し合った上で、退職願を提出するのが最良といえるでしょう。

保育士さん向け!退職願と退職届の正しい書き方

次に、退職願と退職届の正しい書き方を解説していきましょう。
退職願と退職届のサンプルを用意しましたので、下記に挙げた正しい書き方のポイントを照らし合わせながらご確認いただくと分かりやすいと思います。
なお、退職願もしくは退職届の作成にあたっては、白無地の用紙に縦書きで作成するのが
一般的で、PCで作成しても問題はありませんが、できれば手書きにしましょう。
ペンは、黒のボールペンや万年筆など、文字がかすれたり、消えたりしないような筆記用具を使うようにしてください。

退職願と退職届に書くべき内容

①表題
「退職届」もしくは「退職願」と記載します。状況にもよるとは思いますが、できれば「退職願」を使いましょう。
②私儀
私儀は、「私こと」「私個人のこと」などの謙遜した表現です。会社都合ではなく自己都合で退職する際に記載します。私事と書く場合もありますが、私儀と書くのが一般的です。
③退職理由
ここでは明確な退職理由を説明する必要はありませんので、「一身上の都合により」と記載しておきましょう。また、退職届と退職願では、下記のように少し言い回しが変わります。
[退職願]
このたび、一身上の都合により、令和〇年〇月〇日をもって、退職いたしたく、ここにお願い申し上げます。
[退職届]
このたび、一身上の都合により、誠に勝手ながら、令和〇年〇月〇日をもって、退職いたします。
④退職日
退職日は退職希望日を記載します。就業規則なども確認し、余裕を持って作成することが大切です。また、提出日は、退職を希望する日から逆算して書く必要がありますので、退職希望日から3か月ほど前にしておくのが良いでしょう。
⑤所属部署・氏名
所属部署や氏名を記載します。なお、押印は、公的な書類なのでシャチハタは控えましょう。
⑥法人名・保育園名・園長先生の氏名
「社会福祉法人〇〇会 〇〇保育園 園長 〇〇〇〇様」などと正式名称をするようにします。宛先は、園長の氏名を記載してください。

退職はいつ誰に伝えるべきか

退職はいつ誰に伝えるべきか、その点について迷う方も多いことでしょう。まず、退職の意思を会社に伝えるタイミングは、書類の提出や方法などの形式的なことの前に、担任を受け持っていればその役割や責任もあることなので、いきなり途中で投げ出す訳にもいきませんし、後任が直ぐに見つかるとも限りませんから、退職希望日の3ヶ月以上前から園と話し合いすることを考えるようにしましょう。就業規則には、どのようなルールが設けられているのかも確認する必要があります。また、退職の意思は、正式に受理されるまでは、直属の主任だけに伝えるのが良いです。
この際、複数の方に伝えてしまうと、園内での風紀を乱すことに繋がる可能性があることも考慮しなければなりません。どのタイミングで誰に伝えるかは、円満に退職する上では、とても重要なポイントになります。いきなり退職の書類を提出したり、周囲の複数の方に退職の意向を伝えたりするのは、園との関係が悪くなる可能性がありますので注意しましょう。

退職願や退職届は必ず必要なのか?

前述した通り、退職願や退職届が絶対に必要な訳ではありませんが、あなたの退職に対する意思表示の確認資料もしくは証明する書面としても、行き違いなどを防ぐ意味としては提出をすることで会社と話し合いを進めたほうが良いでしょう。少し別の角度から話をすれば、もしも会社から退職を勧められたような場合、辞める意思がないのであれば退職に応じる義務はないので、むしろ退職届や退職願は提出しないほうが良いケースもあります。もしも会社都合で解雇となると、離職理由を隠すことは認められませんので、次の仕事にも影響も出てくるでしょう。

やむを得ない状況であれば退職届を提出しても問題ない?

退職願で会社と話し合うことは分かったけれど、直ぐに退職届を提出しても問題がない理由はあるのでしょうか?そんな疑問が出てくることでしょう。例えば、「両親の具合が悪くなり、介護をしなければならなくなり、仕事が続けられなくなった」「持病が悪化し、しばらくは療養するように医師から言われた」など、やむを得ない状況であれば、直ぐに退職届を提出するケースもあるでしょう。いずれにしも、あまりにも急な場合、直ぐに対処できなことも出てくるので、その点はあらかじめ留意しておく必要があります。

退職の意思を伝えても受け入れてもらえない実例をご紹介

あなたが退職の意思を伝えても、色々なケースが考えられますが、現在の保育士の人手不足を考えると、園側から引き止められることも珍しくありません。園と話し合いを進めても解決しない場合には、退職届を提出する流れになるでしょう。退職届を拒否されているような状況であれば、内容証明郵便などで提出する方法もあります。なお、ヤフー知恵袋で調べてみると、下記のような体験談が挙げられていました。全てのケースに当てはまることではないかもしれませんが、参考になることが書かれていますので、ここでも紹介しておきたいと思います。

なかなか退職できない?!3つの体験談をご紹介

■自身の持病が悪化
1ヶ月ほど前に大回転のめまいが起き、病院(脳神経外科)に行くと「これが続くようならメニエールかも」と言われていました。そこで職場に「近いうちにやめたい」と退職の意思を伝えたところ、「人がいないから無理」と言われ、さらに「めまいが起きたからって休むのもダメ。めまいが起きても落ち着いたら出勤して」と言われてしまいました。
■身内の介護が必要
1人暮らしをしていて、お婆ちゃんが先週倒れて介護が必要になってしまいました、両親といろいろ話し合った結果保育園を辞めて実家に帰る事になりました。
それに加え仕事内容も辛く仕事外で子どもを見るだけで保育園の事を考えてしまい気分が悪くなります。ですがもう精神的にも限界で仕事を辞めたくて今日園長先生に辞めることを伝えたのですが口がうまい園長に言いくるめられた感じで話が終わって帰ってきました。
■子どもの体調不良や園の方針が合わない
パートの保育士をしていますが、なかなか辞めさせてもらえません。7月初日に今月末で辞めたいことを伝えたのですが、周りが大変になるので次の人が入るまでは居てくれと嫌みたっぷりに言われました。園長にはそれ以来目も合わせてもらえません。少人数の園で、ぎりぎりの人数でやっているのはわかるので、その時は引き下がったのですが、いくら待っても次の人が入る気配もなく、自分で今いる園の求人を検索しても何も当たらないことで、はぐらかされたことに気づきました。辞めたい理由はどうしても園の方針が合わないことと、自分の子供が熱を出しすぎ、あと一時間短い時間で働きたいことです。出典:ヤフー知恵袋

保育士の退職願の封入マナーについて

退職願や退職届は、3つ折の用紙が入るものを選び、表面は退職願もしくは退職届と記入し、裏面には所属とご自身の名前を記入します。退職願や退職届を3つ折にする理由は、ネガティブなものとして捉えられるケースが多いため、受け取った人がすぐにしまえるようにするのが好ましいと言われています。しかし、コンパクトにするとはいえ、4つ折より以上にすると書類に厚みも出てしまいますので、限度は4つ折までと考えてください。

まとめ
今回は、退職願や退職届について説明してきましたが、いかがでしたでしょうか?退職する際には、体験談などにも書かれているように厳しいこともあるのは事実ですが、できる限り余裕をもって園と話し合い、円満に退職できることを願うばかりです。