今回は、男性保育士について取り上げてみたいと思います。保育士は、一般的には女性の仕事といったイメージが強いと思いますが、男女雇用均等法の施行や児童福祉法施行令の改正などによって、ひと昔前の「保母」という呼び方から現在では「保育士」へと変わり、徐々に男性も活躍する人が増えてきました。また、男性保育士が増えていくことに対しては、保育士不足の解消に繋がることへの期待も込めて、行政や各自治体、各保育園でも給与や待遇を改善する動きがあり、園にもよりますが男性の人材を確保することに積極的な姿勢を見せています。特に男性保育士を目指している方は、職場で活躍するための様々な情報を掲載していますので、ぜひ最後までご覧ください。
現在は「男性保育士」と聞いても特に違和感はないと思いますが、昔は非常に珍しい存在でした。最近では、男性保育士の経験を活かして、保育園の園児たちの日常の言動をSNSで発信したことがきっかけで注目されたり、テレビ番組で歌のお兄さんを担当して子供たちから人気を集めたりと、現在でも保育の仕事に関わりながら、書籍、講演会、コンサートなどと活躍の場を広げて活躍されている方もいます。こうして注目を集めるようになった男性保育士ですが、現在はどのくらいの数や割合で存在するのでしょうか?厚生労働省「平成30年賃金構造基本統計調査」によると、女性保育士が21万6,220人に対して、男性保育士は1万3,400人いることが分かりました。
保育士の全体でみれば、男性保育士の割合はわずか5.8%と低く、女性が多く活躍している職場であることに変わりはありません。しかしながら、1995年の男性保育士の人数が2,500人と全体の1%にも満たなかったことを考えると、男性保育士の人数もだいぶ増えてきたことが分かります。その背景には、一般家庭の多くが父親と母親が存在するように、保育園にも男性・女性両方の保育士がいた方が自然ではないかと考える人も増えているからとされています。女性保育士の間でも、「活発で元気な男の子の世話は、男性のほうが向いている」「女性が多い職場なので男性がいるとバランスが取れる」などといった意見もあり、男性保育士を歓迎する人が一定の割合でいるようです。
男性保育士を目指す際に気になるのが収入面でしょう。ここでは、いくらぐらいの収入があるのか、男性保育士、女性保育士、全職種の平均を比較しながら見ていきましょう。
平均年収比較 | ||
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男性保育士 | 259,900円(平均年齢33.8歳/勤続年数6.7) | 年間賞与は771.000円 |
女性保育士 | 230,300円(平均年齢37.8歳/勤続年数8.97) | 年間賞与は737.900円 |
全職種(男女) | 268,300円(平均年齢44.5歳/勤続年数10.9) | 年間賞与は540.000円 |
出典:厚生労働省「平成30年賃金構造基本統計調査」
※上記の平均月給は、企業規模計(10~99人)となります。
※上記の平均月給は、「所定内給与額」となるので、基本給に近い金額となります。
この比較表を見ると女性保育士よりも男性保育士の方が月収は高く見えますが、男性の調査の母数が圧倒的に少ないことや、女性保育士は結婚・出産などで退職することが多く、そうしたことなどで平均が大きく変わることを統計上では考慮してみなければなりません。その点を踏まえると、保育士の給与はそこまで男女差があるというわけではないことが推定できます。そして、同調査における全職種との平均月給を比べてみると、保育士の処遇改善などによって全職種との平均月給に数字上は近づいていることが分かると思います。但し、実情としては、業務量と賃金のバランスが悪いなど、統計上の数字からは見えてこない様々な課題も含まれています。
求人情報については、男性保育士の市場はどのようになっているのでしょうか?“男性のみ募集”という保育園の求人はなかなか見かけませんが、求人詳細をよく見ると“男性保育士歓迎”“男性保育士OK”など、男性の保育士を歓迎している保育園は意外と多くあります。男性はキャリア志向が強い方も多いので、主任や園長候補としての採用に力を入れている保育園も増えてきました。ちなみに、ほいくジョブでも男性保育士を歓迎している保育園の求人をどこよりも豊富に保有していますので、お気軽にお問い合わせください!
ここだけのTips |
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求人内の応募資格などに“男性保育士歓迎”と載せている園であれば、圧倒的に男性の保育士を採用率が高い傾向にあります。気になる求人を見つけたら一度問い合わせてみましょう。 |
実際に保育現場での男性保育士の扱いや、待遇はどのようなものなのでしょうか。男性保育士に対する期待として、下記のような6つが例として挙げられますが、男性保育士ならではの強みが活かせることに気づかされるでしょう。
保育士の仕事は、実際には力仕事が多く、職種の特徴の1つとして挙げられます。例えば、高い天井にある電球交換や会場設営といった、重い荷物を持ったり、高いところの物を取ったりなどの力仕事は、やはり女性よりも男性のほうが向いているので、非常に重宝されています。
体育指導やダイナミックな遊び方などができるのは、男性保育士ならではの保育になります。わんぱくな男の子にとっては、男性保育士の存在は楽しさを倍増するでしょう。やはり男の子の気持ちや行動は、同じ男性の方が理解しやすいという利点もあります。さらに、女性保育士が一緒に行けない園外の男子トイレへの付き添いや男の子のトイレトレーニングなどは、男性保育士が適任です。
女性が多い職場では、一人でも男性がいる職場とでは、雰囲気ががらりと変わることがあります。女性のみの職場でよくある派閥やいじめなどは、異性の職員がいることで職場の調和が取れることもあるのです。また、会議などの意見交換の場面では、男性の決断力や論理的且つ合理的な意見が必要とされるケースも多々あると言えるでしょう。
今の時代は男女平等と言われたりすることもありますが、まだまだ男性が優遇されたり、活躍したりすることが多い社会だと感じている方もいることでしょう。そうした社会で生き抜いていく力を身に着けるためにも、女性にはない男性保育士の元気さ、明るさ、粘り強さなどは子供たちの手本となり、とても良い影響を与えてくれます。
最近は物騒な事件のニュースを目にすることが多くなり、万が一に備え、保育園でも防犯対策の徹底が求められていますが、その中で男性保育士の存在は非常に貴重といえます。女性と子供たちだけの職場で”男の人がいる”だけで精神的な安心感にも繋がるでしょう。園外活動として公園で遊ぶ際にも、防犯対策として男性がいるととても心強く、頼りになると感じる保護者もいらっしゃいます。理不尽なクレーマーも男性が対応しただけで大人しくなる場合もあります。
参観日や日々の送り迎えで保育園に来るお父さんたちは、居心地の悪さを感じる方が少なくないようです。”イクメン”という言葉が流行したように、現在では父親が積極的に子育てに関わっているご家庭が増え、懇親会などに父親が参加することも増えてきていますが、先生も保護者も女性ばかりでは、質問や意見をするのを遠慮してしまう方が多いようです。しかし、その場に男性保育士がいることによって気軽に話しかけられ、小さなことでも相談しやすくなります。そこでさらに保育のプロとして、男性視点による子育てのアドバイスや助言を行うと、より頼りになる存在となるでしょう。
このように多くの魅力がある男性保育士は、想像以上に子どもたちや保護者、同じ職員から人気のある存在です。男性保育士のメリットを理解した上で、それを活かしていけるように頑張っていきましょう!
保育園では、小さな女の子も預かっているので、そうした女の子に何かあると “男性”というだけで疑惑の目を向けられ、男性保育士を懸念する保護者がいるのも事実です。
保護者からは「着替えの場所に男性がいるのはどうなの?」「保育は女性の仕事でしょ?」「着替えやトイレの手伝いをしてほしくない、触れてほいくない」「乳児のときは男性より女性の先生の方が安心できる」などの意見が男性保育士に対して寄せられるそうです。事実として、ごく一部の男性保育士が不適切な行動をしたことで、保護者が不安になって警戒するような場合があることも受け止めなければなりません。
女性の多い職場である保育園などはイジメや派閥・グループを作られる傾向が強くあります。そのような環境においては、人間関係におけるトラブルに巻き込まれたり、女性との交流関係を勘繰られたりすることもあり、仕事以外のことで精神的に疲れてしまうことも珍しくありません。
保育士は一般企業と違って、数字による成績評価はされません。数字で評価されることに慣れている男性だと、どうモチベーションを上げてよいのかわからないと悩む方もいるようです。
女性が多い職場となるので、男性用トイレや男性用更衣室などの設備面が整っていない場合があります。着替える場所がなく、男性だから問題ないだろうと部屋の端っこで「適当に着替えて」と言われてしまうことも。
給料が低いという悩みは、男性保育士に限ったことでなく、保育業界全体が抱える課題の1つです。特に男性保育士の場合は、家庭を持った時には、収入面で生活していくことが難しいと感じる方も多いでしょう。
保育士としてある程度の経験を積んだ人は、得意分野などで専門性を追求してみるのも良いでしょう。例えば、保育園のカリキュラムに関連性がある英語、音楽、読み聞かせなど、何か強みがあればその分野のプロフェッショナルを極めると、外部講師としての活躍や、文章が書ければブログなどで副収入を得る道も開ける可能性が高まります。このほか、男性保育士の経験をもとに活躍できそうな職場をいくつか挙げてみました。将来に対して不安を抱えている男性保育士さんは、視野を広げてさまざまな選択肢を考えてみてはいかがでしょうか?
公務員である公立保育所の保育士求人は競争倍率がとても高く難関ですが、その分、私立保育園よりも確実に年収アップや将来の安定性を期待できます。
たとえば運転手やサッカー教室のコーチなど、職場に貢献できるスキルがあれば見合った給料を上げることは可能です。
24時間保育に対応している保育園では、夜勤の業務があります。夜勤の場合、女性保育士ではどうしても防犯上危ない恐れがあったり、主婦の方だと遅番や夜勤が難しかったり、夜間保育になかなか対応できる人材はおらず、困っている保育園が多くあります。そのため、夜勤も問題なく働ける男性保育士は採用されやすく、時間外手当・深夜手当も付与されるので給与アップを見込めます。
スポーツインストラクターや幼児体育など、男性に人気の資格を取得することによって、フリーランスでスポーツ・体操教室も開けることが可能になり、個人事業主として収入をアップすることができます。幼児教室では、子供の扱いに長けた保育士資格保有者や保育士経験は重宝され、保護者からも安心して預けられると人気が出ることが多いようです。