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自宅が職場!高収入も可能!?きめ細かな保育ができる“保育ママ”とは?メリット・デメリットもご紹介します!

保育士をしていて「もっと子ども一人ひとりと密に向き合いたい」「培った保育スキルを十分に発揮できる独立や開業がしたい」「保育士同士の人間関係にはもう悩みたくない」と考えたことはありませんか?
そんな保育士の方にオススメなのが“保育ママ”です!実は待機児童解消を目的に自治体が取り組んでいる制度なのですが、今日はじめて知った!という方も多いかと思います。そこで今回、保育ママのなり方から仕事内容、メリット・デメリットまでたっぷりとご紹介していきたいと思います。

そもそも保育ママってなに?

「保育ママ」制度は、2010年(平成22年)の児童福祉法の改正にて下記の目的を持って設置された家庭的保育事業の制度です。

「子どもと家族を応援する日本」重点戦略等を踏まえ、家庭的保育事業等の新たな子育て支援サービスの創設、虐待を受けた子ども等に対する家庭的環境における養護の充実、仕事と生活の両立支援のための一般事業主行動計画の策定の促進など、地域や職場における次世代育成支援対策を推進するための所要の改正を行う。
※出典:厚生労働省「児童福祉法等の一部を改正する法律案概要」

現在では、2015年(平成27年度)からスタートした「子ども・子育て支援新制度」にて「地域型保育給付」の対象となる地域型保育事業の一つとして、地域に密着した小規模な保育を担うことになっています。“保育ママ”は正式には「(認定)家庭福祉員」と呼ばれ、子ども達を“保育士の居宅”にて主に3歳未満の幼児を保護者の代わりに見守る役割をしている個人事業主の保育者のことです。保育サービスの促進として保育所の待機児童対策や人口減少地域での保育需要に応え、子ども達一人ひとりに保育園では出来ない家庭的で、きめ細やかな保育に対応をしています。したがって「保育園の先生」という面よりも、日常生活を通してよりていねいな保育そして発達・発育のサポートがメインとなるため、地域に密着した「ママ」のような存在であることが保育ママに求められています。
なお、このことから子ども一人ひとりの生活リズムを尊重する家庭的保育なので、一度に預かる子どもの人数は「補助者がいる場合は最大5人」「居ない場合は3人まで」と決められています。

保育ママにはどうやったらなれる?

保育園勤務の保育士よりも一段と子どもと密に関われる「保育ママ」は、どうしたらなれるのでしょう。資格や条件など必要なものは何か、一般的なものをご紹介します。

保育ママの資格について

保育士・看護師・准看護師・幼稚園教諭など

このような資格が「必須」かどうかは各自治体によって異なりますが、多くはこれらの資格を要することがほとんどです。中には、資格を所持していなくとも自治体が指定した認定研修を履修すれば保育ママとして活躍ができます。

保育ママの条件について

多くの自治体で見られる保育ママの条件

保育ママになるための条件として、以上の条件が含まれることが多い傾向にあります。ただ基本的に各自治体や民間事業者が主体となって保育ママ事業を行っているため、その地域らしいさも含めて条件の詳細は違いますのでお住まいの役所へお問い合わせください。そして条件を満たしているようなら各自治体へ申請することで、研修や講習会など経て保育ママになることができます。

保育ママになるための条件とは?具体例をご紹介

(例)神奈川県川崎市の保育ママ募集要項
年齢 25歳~60歳の方(令和2年4月1日時点)
資格 保育士、看護師、准看護師、幼稚園教諭のいずれかの資格を有すること。
経験 保育所等で3歳未満児の保育・看護経験が、上記の資格を取得してから2年以上あること。
(週の勤務日数や、1日の勤務時間が短い場合は2年として認められない場合があります。)
その他 ・家庭的保育者が健康で乳幼児の保育に専念できること。
(小学校就学前の子どもまたは介護を必要とする人がいない方。また、他に職業を有していない方。)
・事業の運営に必要な人数の調理員、家庭的保育補助者が確保できること。
(保育の透明性の確保のため、原則、身内以外の方を確保してください。)
・市税、国民健康保険料等の滞納がないこと。
・事業を実施可能な物件を確保できること。
・事業開始前に所定の研修を受講できること。(調理員、家庭的保育補助者も含む。)
・物件の確保や備品購入、施設改修に必要な自己資金を保有していること。
※引用出典:神奈川県川崎市「家庭的保育事業・小規模保育事業
(例)東京都墨田区の保育ママ募集要項
 

(例)東京都墨田区の保育ママ募集要項
・健全な心身を有し、豊かな人間性と倫理観を備え熱意のある方。
・各自で必要な研修を受講していただきます。保育士資格がある方は支援員研修を、保育士資格がない方は支援員研修及び認定研修を受講していただきます。
・日曜・祝日を除く1日につき8時間を原則として保育が可能な方。
・保育を行う専用の部屋として6畳以上の部屋を確保できる方。
(その他、墨田区の主な要件)
・25歳以上55歳以下の方。
・保育園等で保育士の業務経験又は保育補助の経験が1年以上あり、保育に専念できること(未就学児を養育していたり、介護がある場合はできません。)。
・自園調理(保育施設内で調理できる)が可能な方。※経過措置期間があります。
・保育専用室内に動物を飼っていないこと。
※引用出典:東京都墨田区「子育て応援サイト」

保育士ママの1日のスケジュール例を通して仕事内容をご紹介!

それでは実際の保育ママのスケジュール例を見て、仕事内容を確認してみましょう。ほとんど通常の保育士と変わりはありませんが、預かる子どもの人数が少ない分ゆったりとしたリズムとなります。

【保育ママ】1日のスケジュール例
9:00 受け入れ・視診・連絡帳チェック
必ず子どもの健康状態や昨夜など様子を保護者から伺います。ほか、保護者からの連絡帳や持ち物もチェック。
9:30 室内あそび
積み木やぬいぐるみなど子どもが好きな遊びをします。
10:00 水分補給・おむつ交換・トイレ(随時)
その際に体調も気にかけます。
11:00 あそび(室内・外あそび・散歩)
天気のいいは出来るだけ毎日庭や公園などへ散歩と外あそびをします。交通安全と気温にも注意して子ども達の安全確保していってきます。
12:00 昼食
しっかりと手洗い・うがいをしてからみんなで食事。フォークやスプーン、食への興味を楽しく教えます。※お弁当持参から保育ママが食事提供と自治体のルールによってかわります。
13:00 お昼寝(午睡)
おむつ交換・トイレを済ませてから寝付くまで絵本の読み聞かせなどをします。寝ている間はSIDSや窒息を予防するため定期的に呼吸確認。
14:00 起床
起きた子どもから検温・着替え・おむつ交換・トイレ
15:00 おやつ
1日に必要なエネルギーと栄養素を考えたおいしいおやつを提供します。
16:00 あそび(室内・外あそび)
室内で手遊びや歌をうたったりして、体調も見ながら家族を待ちます。
17:00 お迎え・連絡帳渡し
1日の子どもを様子を事細かに保護者にお伝えします。

このようにのびのびとした穏やかな1日をデイリープログラム※に基づいて保育をしています。保育園よりも「ママ」に近いため、子ども一人ひとりの体調や機嫌、発達具合や興味関心度に合わせて柔軟に対応しつつ、子どもの安全を第一に配慮して過ごします。遊びに関しては、天気が良ければ公園や児童館、商店街へとお出かけをしたり、室内遊びではお絵描きや粘土、折り紙、工作などを行っていることが多いです。

※デイリープログラムの一例(葛飾区家庭福祉員の会より)

※デイリープログラムの一例(葛飾区家庭福祉員の会より)

出典:葛飾区 保育ママ情報
葛飾区 家庭的保育事業所(保育ママ)

保育ママの収入・待遇とは?高収入ってほんと?

保育ママは通常の保育士とは異なり“個人事業主”となります。そのため給料が安定には個人差がありますが、補助金を出している自治体が多いので高収入も可能となります。

保育ママの収入例

①保護者負担の保育料:25,000円前後/月
※消耗品や水道光熱費などの雑費含む
②時間外保育:500円程度/1時間
③自治体からの保育補助金:1人あたり85,000円程度/月

①+②+③の合計とさらに補助者がいない子どもの定員は最大3人なので、額面での月額合計は「約33万円(+時間外)」です。
地域によってはくわえて警備費に対する補助金(30,000円/月)や、施設管理費や期末援助費など出るところもあります。

保育ママの待遇例

保育ママの待遇例
勤務時間 原則として1日8時間・延長保育あり
休日 日曜・祝日
※各自治体によっては夏季休暇など日にち指定で休日となる場合もあり、10~20日程度の有給休暇も取得できたりします。
保険・年金 個人事業主になるため国民健康保険、国民年金は自分自身で払うことになります。他、確定申告なども自身で行います
収入 保育料や各自治体からの補助金により異なる(収入例を参照ください)
定員 2~3人まで(補助者がいる場合5人まで)
定年 65歳まで
※延長になる場合もあり
開業資金 各自治体によりますが、環境整備に対する補助金等を給付してくれる場合があります

以上のことから保育ママは経営の仕方や地域によって、高収入で高待遇な可能が大きいです。働き方としても比較的に自由度があります。保育方法も自分が理想とする形に近づけながら子ども達と向き合え関わることができる魅力ある仕事です。

保育ママはベビーシッターとは何が違うの?

保育ママと似ているとさえるベビーシッターとの違いはどこなのでしょうか。下表にまとめてみましたのでご参考ください。

保育ママ ベビーシッター
対象年齢 3歳未満 0~12歳
保育場所 保育者の居宅 子どもの居宅
預かる人数 2,3~最大5人(補助者がいる場合) 1~最大3人
働き方 開業 開業・派遣会社登録・マッチングサービス
勤務時間 原則8時間 最低2時間から可能

上表のように、とくに“子どもの対象年齢の幅”“保育場所”には大きな相違点が見られます。また、ベビーシッターとして働く上では、最低2時間からの短時間から可能なため保育者自身のライフワークバランスが取れやすいのがポイントです。しかし中々「同じ子どもを明日も見守りたい」ということは難しく、毎回保育する家庭が変わることもあります。子どもや保護者とじっくり親密な関係を築きたい方には保育ママの方が向いているでしょう。
くわえて開業に関して、保育ママは自治体の認定を受けたり、自宅に保育用のスペースを確保をしたり、自ら役所へさまざまな手続きをしないといけません。そのため開業するのに諸々含めて約1年かかるそう。一方ベビーシッターは、自治体に届け出を提出する必要はありますが、マッチングサービスの利用やベビーシッター専用の派遣社員などでお仕事ができます。

保育ママの7つメリット!

保育ママの魅力的な点をまとめてみましたのでご覧ください。

保育ママのメリット①ていねいで理想的な保育が可能!

子どもの定員は2~3人、補助員が居ても最大5人なため小規模保育施設よりも確実に子ども達としっかりと向き合いながら、一人ひとりの成長を傍で見守ることができます。

保育ママのメリット②保護者の力となり一緒に子育てに取り組める!

保育ママは保護者との距離かなり近いので、相談などに気軽にのれる信頼が厚い関係になりやすいです。そのため子ども情報を共有しやすく保護者とも一体感を持った保育を行えます。

保育ママのメリット③「ご家庭や地域への貢献」と「感謝」がやりがいになる!

地域型保育事業の一つのため社会・地域貢献はもちろんのこと、仕事や病気などの理由により日常的に家庭を支えることができます。また、非常に保護者との距離も近いことから感謝の気持ちも直に伝わってきます。

保育ママのメリット④高収入も見込める!

ほとんどの自治体で補助金等が充実しているため、事業者の手腕によっては収入を上げることができます。

保育ママのメリット⑤子育てをしながら働ける!

職場が自分の家なので小学生以上の子どもを育てながらでも安心して働くことができ、夜遅くまで家を空けたくない方に最適となります。

保育ママのメリット⑥保育園へ通勤の必要なし!

自宅を保育室として提供し使用するため、保育園へ通勤する必要なく子どもを見守るお仕事ができます。

保育ママのメリット⑦職場の人間関係に頭を抱えることがない!

女性が多く閉鎖的になりやすい保育園の職場では人間関係に悩む保育士が多いかと思いますが、保育ママは基本的に業務も責任も自分で担うためそういった人間関係は解消されます。

保育ママの6つのデメリット!

では、魅力的な点と反対に保育ママの難点とは何でしょうか。

保育ママのデメリット①すべて自己責任なため常に緊張感を持たなくてならない

保育ママは補助者が居ない場合には、最初から最後ですべて自分一人で保育し、金銭も管理し事業運営をしていきます。保育園勤務の保育士でも同様ですが、大切な小さないのちを保護者の代わりに預かっています。助けてくれる仲間の保育士がいないため、事故やいのちの危険さらしてしまっては手遅れとなります。通常の保育士よりも一層注意深く保育に取り組まなければなりません。

保育ママのデメリット②メリハリなく公私混同しやすくなってしまう

通勤がなく部屋のアレンジもしやすいのがメリットでもありますが、職場が自宅ということはプライベートと仕事の区別が付けにくく、人によっては落ちつかなくストレスが溜まってしまうことも考えられます。

保育ママのデメリット③要領が悪いとやらなければならないことが山積みに

子どもを見守るだけが仕事ではないのが保育ママです。“個人事業主”なため、今まで上司や園長がやっていたような事務や用務、会計のような幅広い業務をこなさなければなりません。ですから、自宅が職場ですが上手くタスク管理をしないと所謂サービス残業や持ち帰り仕事のように業務に追われることも。

保育ママのデメリット④保護者との良好な関係は必要不可欠

保護者と二人三脚で子育てのサポートをしてることから相談にのること多く、精神的支えにもなる保育ママは保護者と上手なコミュニケーションを図っていかなければなりません。一度でも信頼を失ってしまうとやりにくく感じしまう可能性があります。

保育ママのデメリット⑤一定の収入とは中々いかない

高収入を狙える保育ママですが、保護者の多くは保育園の入園待機期間に保育ママを利用することが多いため希望の保育園に入ることができると移ってしまう可能性があります。したがって、預かる子どもの人数に変動が出てきしまうので収入が安定しているとは言いにくいです。しかしせっかくの個人事業主です、事業や宣伝の仕方次第ではうまく軌道にのり、利益の流れを掴むことは十分にありえます。

保育ママのデメリット⑥体調不良などの急な休みが取りにくい

保育ママは一人で保育を行っているため、保育者自身が急な休みが必要となった場合に簡単に休めない場合があります。ただ自治体によってはやむを得ない休みの際には連携している保育園で代替保育してくれることもあります。

まとめ
保育ママは働く上で、職場が自宅になるため通勤の負担はなく仕事に集中できることや、「第二のママ」として子どもそして保護者の支援、地域貢献ができるやりがいなど魅力的な面がたくさんあります。しかし、家庭的保育事業となるため自治体が認可して活躍するため途中で辞めたいと思ってもすぐに投げ出すことは出来ず、責任も決して軽いものではありません。保育ママを目指してみたい方は、ぜひ保育園にてしっかりと経験やスキル績みあげて、先輩保育ママに実際に話を聞いたりして「現実と理想の差」を埋めておくことが大切です。そしてご紹介してきましたようなメリット・デメリットをよく考慮し、保育園ではなかなか実現できない「子ども一人ひとりの発達や個性に合せゆったりとした保育」に取り組んでいきましょう!