保育士さんに人気の資格に、「絵本専門士」というものがあります。
絵本専門士とは絵本のスペシャリストのことで、この資格を活かせばご自身のキャリアアップをはかることも可能です!
そこで今回は、絵本専門士とはどのような資格なのか、詳しくご紹介していきます。
最近になって耳にするようになった絵本専門士という資格。
まだまだ一般には知られていないというのが現状ですが、それもそのはずで、平成24年10月に、有識者によって “絵本に係る専門家の養成に関する検討会” が行われ、度重なる検討の末、創設された、非常に新しい資格なのです。
子どもの読書活動の推進
絵本の読み聞かせをはじめ、子どもの読書活動の大切さを認識し、国を挙げて読書に関 する活動を推進するため、平成 11 年 4 月に「子どもの未来を考える議員連盟」(「国際子 ども図書館設立推進議員連盟」の改組)が結成され、平成 12 年を「子ども読書年」とする 決議がなされた。
出典: 絵本専門士養成制度準備委員会
グラフを見ていただくと一目瞭然ですが、1ヶ月に本を一冊も読まない子供の割合は減少傾向にはあるものの、まだまだ多くいることがわかります。
更に、子供の頃に絵本を多く読んだ子供と、あまり読まなかった子供では、成人してからの資質や能力の高さに大きな開きが生じるというデータもあります。
絵本専門士養成制度委員会は、読書不足の改善策として、学校や家庭で絵本の読み聞かせを多く取り入れていくことも重要ですが、それ以外にもっと広く地域社会全般においても普及させる必要があると結論付けています。
絵本専門士の資格制度は、子供たちの健やかな成長を促す絵本の可能性やその活用法を、学校や家庭のみならず地域社会全般に普及させるとともに、実際に絵本の読み聞かせやワークショップをはじめ子供たちの読書活動の推進に携わる、絵本の専門家(絵本専門士)を養成する必要があることから、創設された制度なのです。
子供の読書活動の充実に当たっては、読書に関する専門的知識や実践力を持った指導者を養成し、その指導者を核とした読書活動の推進が必要であるとされています。この読書活動推進を担う新たなスペシャリストが絵本専門士です。
出典:絵本専門士委員会
絵本専門士委員会により、上記のように定義されている絵本専門士。
子ども達の豊かな感性の発達に重要な役割を果たすほか、大人一般に対しても、絵本の特性や魅力、可能性を伝え、その普及に努めていく役割も担っています。
第1期37名、平成28年第2期には60名の絵本専門士が誕生し、全国各地で活躍しています。
絵本専門士として認定を受けるには、絵本専門士養成講座を受講し、審査を通過する必要があります。
下記に、受験のスケジュールを記載します。
絵本専門士養成講座は、全30コマ(1コマ90~120分、合計50.5時間)の授業からなります。
<絵本専門士養成講座:知識分野>
授業数 | 科目 |
5 | 絵本総論 |
3 | 知っておきたい絵本 |
3 | aaa絵本と出会うaaaaa |
<絵本専門士養成講座:技能分野>
授業数 | 科目 |
3 | 絵本の世界を広げる技術 |
3 | 絵本を紹介する技術 |
2 | おはなし会の技術 |
<絵本専門士養成講座:感性分野>
授業数 | 科目 |
1 | 絵本の持つ力 |
1 | 心に寄り添う絵本 |
1 | 絵本と空間 |
1 | 子どもの感性に学ぶ |
1 | 絵本と大人の感性 |
1 | ホスピタリティに学ぶ |
2 | 絵本が生まれる現場 |
<絵本専門士養成講座:その他>
授業数 | 科目 |
1 | オリエンテーション |
2 | ディスカッション |
絵本専門士養講座を全て受講すると、絵本専門士としての資質や能力を確認するための、課題(レポート)の提出があります。
授業の履修結果+修了課題から、絵本専門士として認定審査されることとなるのです。
下記1~4のいずれか、もしくは同等の資格、実務経験(勤務経験)のある方
1.子供や絵本に関連ある資格を持っている方
(例)司書、司書補、保育士、幼稚園教諭、小学校教諭など
2.絵本に関わる実務について、原則3年以上の経験のある方
(例)図書館職員、幼稚園教諭、福祉施設職員、児童文学の出版・販売など
3.絵本に関わる活動に携わり、原則3年以上の経験のある方
(例)絵本の読み語り活動、絵本に関するワークショップ実施など
4.絵本額や児童文学、美術について研究実績のある方
(例)大学院での児童文学経験実績など
50,000円 ※受講にかかる交通費などは各自負担。
60名(30名×2クラス)
国立オリンピック記念青少年総合センター
(〒151-0052 東京都渋谷区代々木神園町3-1)
絵本専門士委員会事務局
(国立青少年教育振興機構教育事業部企画課指導者養成係)
TEL:03(6407)7713
Fax:03(6407)7699
MAIL:ehon-senmonshi@niye.go.jp ※迷惑メール防止のため、@を半角にして送信すること。
※第4期受講の申し込みは、申し込みフォームに限り受付。
今後ますます期待の高まる絵本専門士という資格、取得しているとどんなところで活躍できるのか、まとめてみました。
つまり絵本専門士になると、ただ単に絵本について詳しくなるというだけではなく、子供たちに対してより質の高い教育ができたり、自分自身の能力を高めたりすることもできるでしょう。
まだまだ数は少ない絵本専門士ですが、絵本専門士の活躍の場は実に多彩で、それぞれの形で、活動の場を広げてゆくことが望まれています。
絵本専門士の資格は、働きながら取得することが可能です。というのも絵本専門士養成講座の実施日は土日に、しかも2カ月おきに実施されています。そのため、休みの日を利用して講座を受講することができますし、交代で土日出勤をしなければならないという園であっても、2カ月おきであれば希望休も出しやすいですよね。
最後に、絵本専門士の資格を取得するメリットについてです。
絵本専門士の資格を取得することには、保育士としてより質の高い仕事ができるというのはもちろん、それ以外にも様々なメリットがあります。中でも特筆すべきなのが、自身のキャリアアップにつながる、ということです。絵本専門士の資格を取得した場合、保育士としてだけではなく、企業において例えば絵本作りの企画に参画したり、教育機関で絵本の講師として活躍したりといったように、その活躍の場を増やすことができます。またそれ以外にも、講座で学んだ知識を生かしてオリジナルの絵本を作り、子供たちの心を惹きつけたり、伝えたいことをよりわかりやすく伝えられるようになったり、というように絵本を通して自分自身のスキルをより高めていくことも期待できますね。
絵本専門士の資格を取得すると、保育士として今以上に活躍することができるというのはもちろん、図書館、絵本を扱う医療機関など保育園以外の場でも活躍できる可能性が出てきます。スキルアップにもつながるこの新しい資格に、皆様も是非取得してみませんか!?