「リストラ」という言葉を聞くと、サラリーマンの中年男性が勤める企業の話のようなイメージがありますよね。ところが保育の現場でも、リストラが毎年行われていることは知っていましたか?近年では、保育士不足の問題が話題になっているので、保育士は必要とされているからリストラとは無縁な仕事と思いがちです。ところが、近年は少子化が進んで子どもが減ってきている現状があります。そのため小さな保育園では子どもが集まらないため、保育士を減らさなければならないという現状なのだそうです。また、信じられないようなお話ですが園長による「あなたが嫌いだから」という理由で一方的に解雇されてしまうという事例もあるようです。
当コラムでは、保育士が解雇になってしまう理由について考えてみたいと思います。
保育士がリストラされてしまう理由は大きく分けて4つあります。1つは少子化問題、2つ目は経営上の問題、そして3つ目は幼保一元化の問題、最後に不当解雇の問題です。リストラはどんな職種でも存在しており、保育士ももちろん例外ではありません。しかし、保育士が不足しているはずなのにリストラってどういうこと!?と思いますよね。毎日一生懸命働いているのにクビを宣告されては大変ショッキングな話です。
そんな状況になってしまった場合どのように対処していけばよいのでしょうか。その点も踏まえて考えてみましょう。
都会の保育園では、入園を希望しているにもかかわらず保育園に入れないという待機児童問題が話題になっていますね。ところが、地方では逆のことが起きているのです。田舎の保育園では、少子化が進み子ども達が年々少なくなっているそうです。入園する子どもが減ってしまえば、当然園の収入が少なくなるので、保育士を減らす必要があるのです。
では、経営側は雇う保育士の数をどのように決めているのでしょうか?保育士の数は、法律により子どもの数によって配置数が決められています。
例えば、0歳児の子ども3人に対して保育士1人、1・2歳児なら6人の子どもに対して1人の保育士、3歳児なら20人の子どもに対し1人、4・5歳児なら30人の子どもに対し保育士1人の配置する必要があります。経営側はそれに基づき雇う保育士数を決めているのです。しかし、子どもが減ってしまえば余分に保育士を配置する必要がなくなってしまいます。園の収入の約80%は人件費になるので、経営を続けていくには人件費を削るしかありません。
このような理由から、保育士の解雇、リストラが生じてしまうのです。小さな保育園で働く保育士さんは、次は自分も解雇されるかも…と不安を抱えながら働いているという現実があるのです。
経営側からの観点ではマイナスになってしまう少子化問題ですが、保育の観点からは悪い事ばかりではありません。
人数の少ない小規模保育園では、保育士と子どもたちの距離が近くなるため、一人一人手厚い保育が行えるというメリットもあります。
このような理由から200名を超える大規模な保育園よりも、小規模の保育園に子どもを預けたいという保護者の方もいるようです。このように少子化問題は保育の面で良い点もあるのです。
幼保一元化という言葉は保育士の方であれば既にご存知かとは思います。幼保一元化とは、幼稚園と保育園の一体化を図る政策のことです。
これは待機児童や少子化対策として行われました。幼稚園と保育士の両方の一面を持つ複合施設ということでメリットもある一方、同時に保育士のリストラが生じてしまう問題があります。
例えば、自分が保育士として勤める小規模保育園の隣町に定員200名の認定こども園ができたとします。すると次の年からの入園者が隣町の認定こども園に流れてしまい、入園者がガクリと落ちてしまいます。
その結果、こどもの減ってしまった保育園は当然収入も減ってしまうので、保育士をリストラせざるを得ない状況になってしまうのです。さらに、認定こども園で働くには保育士資格と幼稚園教諭の二つの資格が必要になるので、保育士資格しか持たない人にとっては再就職が難しくなってしまいます。
保育士のリストラが少子化に伴う経営問題や幼保一元化による保育園の経営破綻によって生じてしまうことがわかりました。
しかし、「あなたは気に入らないから」「新しい人を入れるから」というような理由で保育士をクビにしてしまうという事が、保育士のリストラ理由として実は最も多いのです。他にも「保護者からのクレームが多いから」「ミスが多いから」といった事で一方的に解雇されてしまうケースもあるようです。
子どもの命を預かるという大きな責任が伴う仕事なので、仕方のない場合もあるのかもしれません。しかし一生懸命働いてきて、仕事もしっかりできて、子どもや保護者ともうまくいっていたのに、突然理不尽な理由でクビにされるのはあまりにも悲しいですよね。
このような事態になってしまう理由の背景としては、保育園が会社組織として未熟であることや、労働組合がないことにより労働者の権利を守ってくれる盾がないことがあげられます。もし万が一不当解雇を言い渡されてしまった場合はどのように対処すればよいのでしょうか。
理不尽な理由による不当解雇を言い渡された場合、保育労働相談という専門の相談員が無料でサポートしてくれる窓口があります。もし労働環境で困ったことや悩んできることがあれば相談してみてはいかがでしょうか。
また、法的に解決する方法があります。もし闘う意思があれば、弁護士に相談するというのも手段の一つです。裁判を起こして解雇を解消することも可能なのですが、お金と時間と労力を伴うものなので、心身共に疲れてしまいます。
まず、そこまでしてそのような保育園に本当に戻りたいのかという事をよく考えてみてください。悔しい気持ちはあるかもしれませんが、先の長い人生を考えたら、気持ちを切り替えてもっとよい環境の保育園に転職し、新しいスタートを切るほうが、前向きな選択ではないでしょうか。
このように、残念ながら保育士にもリストラがあることがわかりました。保育士にかぎらず、リストラはどの業界でも存在しますし、いつおこるかわからないのが現状です。急なリストラに対応するためにも、日ごろから、他の保育園の情報を集めてみてはいかがでしょうか。「ほいくジョブ」では、業界トップクラスの求人数を誇り、一般的には掲載されない非公開求人も多数頂いています。是非チェックして下さいね。