「ここで働きたい!」という保育所が見つかり、採用試験を受ける際、論作文の課題に頭を悩まされる方は多いのではないでしょうか。苦手とする人も多い論作文は、しっかりと対策を立て、自分の思いを伝える最高のツールへと変えていきましょう!
多くの保育園では、園に合った保育士さんを採用する為に、短時間の面接だけでは伝わりにくい人柄や、考え方も把握しやすい「作文」や「小論文」を、適性検査の一つとして取り入れています。事前に履歴書と共に提出する場合もありますが、採用試験当日にテーマを与えられて時間制限がある場合が多く、そこに苦手意識を持つ方が多いようです。論作文は、複数のテーマからの選択か、一つのテーマを与えられ、そのテーマにそって、自分の思いや考えを述べていきます。文字数は場合によりますが、800字程度(原稿用紙2枚分)です。「作文」は体験や感想を書くのに対し、「小論文」は問われたテーマについて自分の意見を述べて、その理由や根拠を話の筋道を立てて述べて相手を説得させるものという違いがある事も押さえておきましょう。
(参考:ベネッセマナビジョン 小論文ってなに?作文との違いを知る)
採用する側である保育園が論作文で知りたいのは、皆さんの「人間性・考え方」です。園の方針に沿って、一緒に働いていきたい、長く働いてもらえる保育者であるかどうか適正を見ています。
書くべきテーマを正確に把握する
書いていくうちに、論点がずれてしまわぬよう、テーマを把握し、ゴールに向けて話の筋がまっすぐに1本通っている事が重要
テーマにそって書けそうなネタを集める
とにかく思いつく事をメモする
ネタを選択する
書きだしたネタのうち、書きたいもの、書きやすそうなものを選ぶ
ネタをふくらませる
例:「うれしかったです」
うれしくて、思わず子供を抱きしめました。
うれしくて、思わず踊りたい気分になりました。
構成を考えメモをする
ふくらませた内容を、序論・本論・結論(始め・中・終り)の順番で書く流れを作る
序論
これから書く事を簡単に説明したり、自分の意見を述べたり、簡潔に結論を述べる
本論
具体的な出来事や気持ち、自分の意見の根拠を述べる
結論
出来事を通して考えた事や学んだ事、自分の意見を再度主張し、まとめる
作文、小論文を書く
このような書き方を参考に、1つテーマを取り上げて、600字程度に自分の考えをまとめる事で、採用試験当日の突然のテーマ課題に対応するトレーニングが出来ます。その際には、1つのテーマについて、視点を変えて何度も書いてみる事がポイントです。
実際に、論作文のテーマとしてはどのような問題が挙げられているのか、チェックして自分だったらどう考え、書くかを考えてみましょう。また、自分の考えだけではなく、テキストや、一般論を確認し、現実とかけ離れ過ぎた持論とならない様に注意が必要です。保育所保育指針も必ず読んでおきましょう。
これらのテーマは、それぞれ仕事に対する意識や意欲、今までの生き方や考え方、保育業界における課題への関心や考え方が採用側として知りたいポイントです。求められている答えに正解はなく、あなた自身を知りたいと考えているため、教科書通りの答えではなく、自身の具体的なエピソードや目標を含めて書く事が重要になります。
「私は、学生時代にテニス部に所属していました。体を動かす事が大好きで、体力には自信があります。子供たちにも、思いっきり体を動かす事の楽しさと、出来なかった事が出来るようになる喜びを一緒に感じて伝えていきたいです。」
「私は、幼い頃から母が仕事をしていた為、保育園に通っていました。いつも私の気持ちに寄り添ってくれて、私の事を認めてくれていた先生が大好きで、私も先生のような保育士になりたいと思い続けてきました。」
「私は、子供がとにかく大好きなので、保育士になりたいと思っていました。しかし、実際に子供達と初めて接した保育実習は、自分が思うような子供達との関わりができずに、失敗の多い始まりでした。その時に救ってくれたのが、先輩保育士の先生の励ましの言葉です。」
「私は、自分の子供が出来る前も、保育士として働いていました。子供が産まれて、子供を預ける立場となった今、保護者の立場も解るようになりました。子供が大好きで始めた仕事ですが、今後はさらに保護者の支えにもなっていきたいと思い、保育士としてもう一度働く事にしました。」
自身の強みとなるエピソードをいくつか考えておく事で、そこから生まれる目標やこれまでの経験、そして保育環境を取り巻く課題への考え方など、テーマに応じて話をつなげやすくなります。また、ここが自分らしさを出せる部分ですので、自身を振返ってじっくり考えてみましょう。
用紙の最後まで書いたら、「よし!思いを伝えたぞ!」とすっきり終わりにしたいところですが、最終チェックを忘れずにしましょう。改めて見返してみると気が付く事が多いものです。時間制限がある場合も必ずチェックの時間を残しましょう。丁寧で正確な文字・文章は人柄を表します。
≪チェックポイント≫
*特に、点(、)は打つ場所で、文章の意味が変わってしまう事があり、注意が必要
例:私は泣きながら走る子供を追いかけた
→私は泣きながら、走る子供を追いかけた
→私は、泣きながら走る子供を追いかけた
読み手の立場に立って、解りやすいか、読みやすいかをチェックしましょう。
自分自身を伝える論作文、苦手だなぁと感じる方は、日記をつけて自分の考えをまとめてみたり、保育に関する新聞等の情報を切り抜いてスクラップにまとめてみたりするのがおススメです。さらに物事に対して自分の考えを相手に解りやすく伝える等の練習は、論作文だけでなく面接での心強い味方となります。自分の考えや思いをきちんと伝えて、自分に合う職場に出会ってくださいね。