保育園では、たくさんの子供を預かっているため、感染症が広まってしまうことが多くあります。
そのため、保育士さんは、感染症の症状について詳しく知り、子供の様子をよく観察して対処し、感染症の広がりを防ぐ必要があります。
今回は、感染症の種類や対処法について紹介し、体力が落ちやすく、感染症になりやすい夏の過ごし方やトラブルについても解説していきたいと思います。
感染症は体力が落ちることで移りやすく、体力の落ちやすい夏に広まることが多くなっています。
そのため、体力を落とさないように夏を過ごすことが大切です。
ここでは、夏を快適に過ごすために注意すべきポイントについて具体的に解説します。
【外遊びのポイント】
気温が30度以上の日は日陰などでプール遊びや水遊びをすると子供たちの体温の上昇も抑えられ楽しく遊べることでしょう。
また水分の補給をこまめに行えるように水分補給の時間を度々つくり水分補給の習慣をつけると熱中症の予防にもなり良いですね。
水筒の中身も夏場だけポカリスエットやそれを薄めたものにすると汗で失われた水分や塩分を効率よく補給できるので良いです。
【服装のポイント】
ノースリーブやキャミソールは日焼けをして水ぶくれになってしまったり皮膚がほてってしまったり紫外線をたくさん浴びてしまうので避けたほうが良いでしょう。
肌にぴったりするデザインでなく、少し余裕のあるTシャツなどがすずしく着られるのでオススメです。
シャツ(肌着)は暑いから着せないほうがいいかと思うお母さんもいるかもしれませんが、室内と室外をいったりきたりする場合は汗を吸ったシャツをこまめに取り換えられるので着せておくと良いですね。
最近は汗をたくさん吸いすぐに乾く吸水速乾の素材もあるのでそのようなものを有効に活用すると良いでしょう。
帽子はつばの広いもので首すじまで紫外線をガードして熱や紫外線から守ってくれるものがオススメです。
気温や湿度が高い夏は感染症のウィルスが活性化しやすい環境なので保育園でも流行しはじめたら、大量感染を避けるために何が流行していて症状はどんなものなのか把握しておきましょう。
<手足口病>
症状 | 手のひら・足の側面や裏・口の中などに傷みを伴う水泡ができ、まれに熱や下痢・嘔吐などの症状がでることもあります。 |
感染経路 | 飛沫・接触感染または便 |
対応 | 予防接種などのワクチンがないため予防するには手洗いうがいの徹底と飛沫感染を防ぐためのマスク着用などが効果的です。 保育園では便から感染を避けるためトイレをこまめに掃除、消毒をするように心がけましょう。 便にウィルスが含まれるため、保育者はオムツ交換のあとによく手洗いをしてからアルコール消毒を徹底しましょう。 |
※ほとんどが自然治癒で7~10日ほどで治ります。かゆみがひどい場合などは塗り薬が処方されることがあります。
まれに重症になり脳炎や髄膜炎などの合併症を引き起こすため、きちんと様子を見ておくことが大切です。
プールは入れません!!症状がすべて治まっても便からはウィルスがしばらくでることもあるので、しばらくはお尻をよく洗ってから参加するようにします。
<ヘルパンギーナ>
症状 | 39度前後の高熱が1~3日続きます。 口の中(扁桃腺の上あたり)に小さな水ぶくれのようなものができます。 口の中に傷みがあるため、食べ物や水分の補給を嫌がります。 |
感染経路 | 飛沫・接触感染または便 |
対応 | こちらも手足口病と同様に、予防接種やワクチンがないため手洗いうがいの徹底と飛沫感染を防ぐためにはマスクの着用が効果的です。 保育園では便からの感染を防ぐためトイレをこまめに掃除して消毒するよう心がけましょう。 保育者はオムツ交換の後、手洗いをしてからアルコール消毒を徹底してください。 |
※熱は2~3日で少しずつ下がり、喉にできた水泡は約1週間で回復してきます。
重症になると脳炎や髄膜炎などの合併症を引き起こすことがあるので、きちんと様子をみておくことが大切です。
プールは入れません!!症状が治まってからも便からはウィルスがでるのでしばらくはお尻をよく洗ってから参加するようにします。
<プール熱(咽頭結膜炎)>
症状 | 白目が充血して赤くなり、目ヤニや涙がでます。 まぶたの裏に白いぶつぶつができます。 扁桃腺などのリンパ節が腫れて痛みを伴います。 喉の痛みがあります。 高熱がでます。 |
感染経路 | 飛沫・接触感染 |
対応 | 手洗いうがいの徹底やマスク、タオルの共用をしないことで予防できます。 プール熱という名前の通り、プールから感染することが多いため、プールの残留塩素濃度を0.4ppm以上に保ち、しっかり予防しましょう。 プールの時期は保育園のほうでもしっかり管理することが大切です。 |
※プール熱は熱が3~4日間続くこともありますが、1~2週間ほどで治ります。
しかし感染力が非常に高いため目やにや充血が治り、熱が下がった後二日後にならないと登園できないことになっていますので小児科などに確認してからの登園をオススメします。
完全に治るまでプール不可!!
<はやり目(流行性角結膜炎)>
症状 | 白目が充血して赤くなり目ヤニや涙がでます。 まぶたの裏に白いぶつぶつができます。 耳の前のリンパ節が腫れて傷みを伴います。 しばしば熱がでることもあります。 |
感染経路 | 飛沫・接触感染 |
対応 | 手洗いうがいの徹底とマスクの着用、タオルなどを共用しないことで予防が可能です。 目を触らせないよう気をつけましょう。 |
※完治するまでには1~2週間かかり、しっかりした休養がとれない場合などはそれ以上かかることもあります。
はやり目はプール熱と似た症状ですが、高熱にはならずに目の充血や目ヤニがとてもひどくなることが特徴です!
また感染力がプール熱よりも強いため登園するには医師からの許可が必要となります。
完全に治るまでプール不可!!
<とびひ(伝染性膿かしん)>
症状 | 強いかゆみが特徴的です。 透明な水泡ができ白く濁ってきます。 かきむしることで水泡が破れ周りにも移り広がります。 |
感染経路 | 接触感染 |
対応 | 普段鼻の中や皮膚に常在する黄色ブドウ球菌というウィルスが傷口などに入ることで発症するので、鼻をほじったりした手で傷口や虫刺されを掻いたり触ったりしないようにしましょう。 手洗いをし、タオルは共用しないよう気をつけましょう。 患部を覆って自分や他の子が触れないようにします。 引っ掻かないように爪を短く切ります。 |
※とびひは2週間程度で治りますが、完全に治るまで薬を塗らないとまたぶり返してしまうので治ってきても完全に治るまできちんと塗り続けましょう。
アトピー性皮膚炎の子は重症化することがあるので注意が必要です。
完全に治るまでプール不可!!
兄弟がいる場合同じ湯船につかると移ってしまうのでわけるか、最後につからせるようにしましょう。
<水いぼ(伝染性軟属腫)>
症状 | 2~5ミリの半球状でやや硬く真ん中がくぼんだいぼができます。 かゆみを伴います。 わきの下・わき腹・足の付け根によくできます。 |
感染経路 | 接触感染 |
対応 | タオルの共用は避けましょう。 掻き壊さないようにガーゼなどで患部を覆います。 |
※アトピー性皮膚炎や皮膚の弱い子は重症化しやすいので注意が必要です。
また自然治癒する子もいるようですが、放っておくと全身に広がってしまう可能性があるため早めに皮膚科へ受診することをオススメします。
通常プールは入って良いですがタオルを共用しないように気を付け、掻き壊している場合は入らないようにしましょう。
乳幼児は体温の調節機能がまだ十分に発達していないことや背が低く地面からの照り返しの影響を受けやすいことから熱中症になりやすい傾向にあります。
そのため保育園では屋外遊びをする際の計画をきちんと立てたうえで子供たちに異常がないか注意しながら見ることがとても重要です。
それでは、熱中症を予防するためにはどうしたらよいのか、なってしまった場合どのように対処したら良いのかを解説していきたいと思います。
暑さに順応する体づくりや習慣
本格的に暑くなる前に体を動かす運動などをして汗をかいたりすることで体を暑さに慣れさせておくことやこまめに水や麦茶を飲む習慣をつけておくことが熱中症の予防につながります。
暑い日の外遊びの方法
30度を超える暑い日は、10時から14時の外遊びはなるべく控えましょう。
どうしても外遊びをさせたい場合は日陰になるところでの水遊びなど、体温の上昇を避けられるようにします。
涼しい服装
熱を反射する白い色の服や綿の半そでのシャツなど汗を吸いやすく風通しの良いものにすると予防に効果的です。
食事
脱水や塩分不足にならないように、水分・塩分・糖質を効率よくとれるメニューを考えると良いでしょう。
また家庭でも熱中症を予防するための食事を心がけるように呼びかけると良いですね。
飲み物
水や麦茶、イオン飲料でも良いですか、ポカリスエットなどは汗をかいて足りなくなった水分や塩分を効率的に補給できるのでオススメです。
室内でのエアコンの温度
暑いからといって室内遊びの時にエアコンの温度をすごく下げたりすることはよくありません。
温度の急激な変化は熱中症を引き起こしやすくするため、室温は外気温より5度くらい下げるくらいにして扇風機やサーキュレーターで風を循環させると良いでしょう。
※このように熱中症を事前に予防することを心がけて暑い夏を乗り切りましょう。
熱中症とは、夏の暑さで発汗による体温調節がうまく働かなくなり汗が止まってしまい、脱水や塩分欠乏高体温になることです。
症状は軽度~重度で分けられ下記のような状態になります。
軽度 | 顔面蒼白、呼吸数の増加、数秒間の失神、部分的な痙攣、立ちくらみ、大量の発汗 |
中度 | 40度以上の高体温、頭痛、吐き気、体の疲労感、めまい |
重度 | 40度以上の高体温、意識がない、声に反応しない、全身の痙攣、汗が出ない |
軽度 | すずしい場所に移動 衣服をゆるめる 水分や塩分の補給 わきの下や首すじ足の付け根などを冷やす |
中度 |
すずしい場所に移動 衣服をゆるめる 足を高くして休ませる わきの下や首筋、足の付け根などの脈を冷やす 水分や塩分の補給が困難な場合は病院に行く |
重度 |
すぐに救急車を呼ぶ! 救急車が到着するまですずしい場所に移動 足を高くして休ませる わきの下、首筋、足の付け根の脈を冷やして応急処置をする |
対策として先に説明した予防方法を実践し熱中症の予兆をいち早く察知し対応することです。
外遊び中、または熱い室内で顔が真っ赤になっていたり体がほてって熱いなどの熱中症になりそうな子供をみつけたら、すぐに日陰などのすずしい場所につれていき常温もしくは少し冷やした麦茶や水またはイオン飲料を飲ませ、わきの下・首すじ・足の付け根などの脈を冷やしましょう。
蚊に刺されは、かきむしりとびひなどの原因になることや、近年デング熱の媒介になり発症する可能性もあり、刺されることは避けたいものです。
また蜂に刺されるとショック症状を起こし死に至る危険もあるため注意が必要です。
夏は屋外での活動が多いことや、蚊や蜂などの虫が活発になるので、虫に刺されないような予防や対策が大切です。
蜂
蜂に刺されてしまったら、蜂がいない場所に移動し刺された傷口を絞りながら流水で5分くらい洗い流す。
患部は冷やし保護者に連絡しできるだけ早く病院へつれていきましょう!
蜂の毒は約15分以内にアレルギー症状が現れることがあり、重度のケースでは30分以内に病院で適切な処置をうけなければ命にかかわることもあるので注意が必要です。
ミツバチ
ミツバチに刺された場合は、針が皮膚に刺さったままになりますので、まずそれを抜きます。
しかし針の根元(刺さっていない方)には毒の袋があるので素手で触らずにピンセットなどで抜くと良いでしょう。
その後、患部を絞りながら流水で5分ほど洗い流し患部を冷やします。
ミツバチの毒はあまり強くないので心配いらないと思いますが念のため保護者に連絡して必要であれば病院につれていきましょう。
蚊
患部を石鹸でよく洗います。痒がる子には患部に塩をもみ込み、塩を軽く払うと蚊に注入された唾液が排出されかゆみがおさまります!刺されてすぐにやるほうがより効果的。
毒蛾
触ってしまった場合は体についたりん粉をよく洗い流します。
毛虫
さわってしまったら、すぐにガムテープで毒針毛をとり、こすらないように流してから、石鹸で洗います。
強いかゆみや痛みがある場合は保護者に連絡し病院へつれていきましょう。
保育園で感染症や虫さされ、熱中症の対策をしっかり考え予防することで子供たちが健康で元気に通園し病気やトラブルがなく快適に過ごせることでしょう。
そのためには保育士さんのほうでも感染症の症状や対応を頭にいれ、細かく子供たちの様子をチェックするなどして感染を広げないように配慮することが大切です。
保護者にも協力してもらい必要なことを呼びかけ、流行してきた感染症とその症状についてお手紙などで知らせて家庭でもそのような症状がないか確認してもらうことで他の子への感染を防ぐことができるので情報をきちんとお知らせするようにも心がけましょう。