保護者が子供の様子の違いに気がつかないまま登園させてしまい、保育中に子供が具合を悪くしてしまうケースは日常茶飯事。保育士さんには、子供の疾病に関する基礎知識や対応力が求められてきます。今回は、子供の体調不良のサインにいち早く気付き、的確に対応するための基本知識をまとめました。
保育士さん必見の内容ですので、ぜひお役立てください。
言葉で体調不良を伝えることのできない子供は、様々な形でサインをだしています。
など、子供の体調不良のサインは様々。上記のようなマニュアル通りの変化ももちろん大切ですが、子供達それぞれの、普段の様子をしっかりと把握しておくことが、「なんだか今日はいつもと違う?」という気づきとなり、早期の対応に繋がります。子供への対応や保護者への対応のみならず、集団保育においては、感染予防の対応も非常に重要です。保育園内で感染を広げないためには、保育士さんの早期の「気づき」が重要になるのです。
子供はよくお腹を壊します。下痢には、食べ過ぎ、アレルギー、ウィルスの感染(ノロウ・アデノ・ロタ等)、細菌の感染(食中毒)、反復性軽症下痢(体質による)など様々な原因が考えられます。
ほとんどの場合は自然に治りますが、以下のような場合は病院に連れていく等の対応が必要です。
熱があまり出ずに嘔吐を伴う下痢の場合、ウィルス感染による嘔吐下痢症も疑われます。子供は、嘔吐物がのどに詰まらない様に横向きで寝かせて、しばらくは吐き気が増さない様、水分補給もスプーンで与える等最低限にします。吐き気が治まったら水分補給とおかゆなどの胃腸に負担のかからない食事を与えましょう。
嘔吐物や、便のついたオムツなどの処理については、感染予防に十分な注意が必要です。必ず手袋をして、まとめて密封処理をし、消毒を行います。他の園児たちが触れることのないよう、迅速かつ適切に処理をする必要があります。
保護者の方は、保育園の登園については、嘔吐下痢がおさまるまでは認められないことも頭に入れておいてくださいね。
子供の咳や鼻水は多い症状ですが、風邪のひき始めであるケースも多く、体調管理や注意して経過を観察していく必要があります。そもそも咳や鼻水は、のどや鼻で体へ異物の侵入を防ぐために出る症状です。風邪以外で出ることもあり、咳はコンコンと乾いたものから、痰が絡んだものへ変わると風邪の症状が進んでいる状況です。
鼻水はサラサラから、ドロッとしたものへと変わり、風邪が治っても青鼻はしばらく続きます。咳の対処法は、こまめな水分補給と、加湿する等で喉の乾燥を防ぐことです。咳がひどくて眠れない場合には病院で咳止めをもらうようにします。
冬場は空気も乾燥しがちなので、加湿器を使うなどして、教室内の湿度を保つことも大切です。鼻水はやさしくふき取り、鼻づまりがひどい場合は、鼻水吸引機でとるか、小児科や耳鼻科で吸い出してもらいます。鼻水がのどにまわると、咳にもつながるので、しっかりと取ることが大切です。
まだ自分で鼻がかめないこの場合は保育士さんがまめに取ってあげる必要がありますが、放置してしまうと悪化鼻が詰まってしまったり、中耳炎の原因にも繋がります。
子供はよく熱を出しますが、もともと平熱も高く、熱があっても元気な場合もあります。機嫌がよく、食事もとれて眠れていれば、様子をみるのみでよいでしょう。汗をかいたら、こまめな着替えと水分補給を心がけます。
寒がる場合は体を温め、高熱で全身が熱くてつらそうな時は、脇の下、手首足首、足の付け根等を冷やします。
熱に伴う症状により、さまざまな病気の可能性が考えられるため、注意が必要です。
発疹を伴う場合、風疹、麻疹、水疱瘡、ヘルペス性口内炎、ヘルパンギーナ、溶連菌感染症、手足口病、川崎病等が考えられます。
熱が下がってから出る発疹は、突発性発疹で、乳幼児の多くが1度は経験する発熱です。発熱とともに痙攣(けいれん)を起こした場合、熱性痙攣(ねつせいけいれん)が疑われます。心配のない痙攣と注意の必要な痙攣があるため、痙攣状態をしっかり観察しメモをとっておくなどし、病院を受診した際は状況を伝えるようにしましょう。
高熱に吐き気や嘔吐、頭痛などを伴う場合は、インフルエンザや、髄膜炎などの病気が原因であることも考えられます。
小さな子供の急な体調不良には、子どもの扱いに慣れている保育士さんでもつい慌ててしまいがちです。新人の保育士さんでは、ちょっとした体調不良でもどう対処してよいか、迷ってしまうかもしれません。「痙攣(けいれん)」など危険性の高い症状に出くわした際にも冷静に対処できるように、こちらで取り上げた基本的なところは、あらかじめ頭に入れておくとよいでしょう。
子供を安心させるためにも、いざというときに慌てずプロの対応をするためにも、病気に関する知識と経験を積んでおくことが大切です。