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実はうつになる人が多い!?悩み多き保育士という職業

現代病と言っても過言ではない「鬱(うつ)病」。保育士とは無縁だなんてことはありませんよね。むしろ悩みが多くストレスを溜めがちな保育士さんだからこそ、鬱を抱えている方がたくさんいらっしゃいます。とあるアンケート調査によると保育士さんのおよそ30%がうつ病と診断されています。
今回はそんな知っておいて損はないうつ病について、原因から早期発見のサイン、正しい治療ケアなど詳しくご紹介していきます。

目 次

そもそも「うつ病」って?

うつ病は一言で説明するにはとてもむずかしく、たいへんに繊細な病気です。
まず、私たちには元々脳のエネルギーを利用した自然治癒力という機能が備わっています。これは、日常生活の中で憂うつな気分やストレスなどで生じた様々な不具合を時間の経過とともに快復へと導いてくれる有り難い力です。
ですが、この自然治癒力が利用している脳のエネルギーが欠乏してしまい、脳のシステム全体がトラブルを起こしてしまうと自然治癒力の働きが低下し時間の経過とともに改善していかずに悪化してしまいます。そうして、生活に支障をきたしてしまうことが「うつ病」とされています。
したがって「気の持ちようでしょ?」と勘違いしている方は誤解しないでください!
うつ病はれっきとした「病気」です。病気は治療をしなければ治りません。

ここでうつ病の種類をご紹介します。症状の特徴・原因で分類しています。

①症状の現れ方による分類

  • 単極性うつ病
    うつ病の中で、うつ状態だけが起こるもの
  • 双極性うつ病
    うつ状態と躁状態(度を超えて気分が高ぶった状態)の両方が起こるもの

②重症度による分類※症状による仕事や日常生活に現れる支障の程度による分類です。

  • 軽症
    周囲には気づかれない程度に、仕事や日常生活、コミュニケーションに生じるわずかな障害のもの。
  • 重症
    仕事や日常生活、コミュニケーションが明らかに困難なレベルのもの。
  • 中等症
    「軽症」と「重症」の間に位置しますが本人はムリしているもの。

③初発か再発かによる分類

  • 単一性
    はじめてうつ病になった初発のもの。
  • 反復性
    何度もうつ病を繰り返し再発されてしまうもの。

うつ病_b

④特徴的な病型による分類

  • メランコリー型
    あまり耳にしないものですが、一般的なうつ病と云われるものです。経過をたどっていくのが特徴で、良いことがあっても気分がいっこうに晴れなかったり、明らかな食欲不振や体重減少、朝いちばんに気分が落ち込んだり、早朝(通常の2時間以上前)に目が覚める、過度な罪悪感などが強いもの。
  • 非定型
    好きなことや良いことに対しては気分がよくなりますが食欲は過食傾向で体重増加や過眠、ひどい倦怠感や他人からの批判に過敏になり過ぎるなどがあるもの。
  • 季節型
    「反復性」の一種で、特定の季節にうつ病を発症し季節の移り変わりとともに回復がみられるもの。どの季節でも起こりうるものですが、冬季うつ病がより多く。日照時間との関係が言われています。
  • 産後型
    産後4週間以内にうつ病を発症するもの。ホルモンの変化や分娩の疲労、子育てに対する不安、授乳などによる睡眠不足などの要因が重なることが影響しているものです。

なぜ保育士さんが「うつ病」になりやすいのか

ここで、うつ病になってしまう原因とさらになぜ保育士に多いのかについてお話しします。
もちろん、うつ病を引き起こしてしまう原因は多種多様、千差万別、人それぞれです。さらに原因はひとつではありませんので「要因」といった考え方の方が良いかと思います。色んな要因がとても複雑に絡み合って発症してしまうのです。
主な要因としては2つ

  • 人間関係のトラブル・家庭内のトラブル・職場のストレス環境などの【環境的要因】
  • 義務感が強い・仕事熱心・完璧主義・几帳面・常に他人への配慮を重視してしまうなどの性格は、脳のエネルギーの放出が多く枯渇しやすい要因となる【性格的要因】

ほか、「遺伝的要因」「慢性的な身体疾患での要因」なども考えられます。
この主な環境要因と性格要因がマッチングしやすいのが…
「保育士」というお仕事。

まずは保育士さんの抱えるストレス環境…
お仕事は子どもと接することにくわえて、保護者とのコミュニケーションや、保育の報告書や日誌などを書く事務仕事も多いものですよね。そのため、子ども達と接することに体力的にも精神的にも精一杯の力を注いだ上に、事務仕事のための時間外労働が発生することもあります。
さらに、社会性等のスキルも求められてしまうこともありますよね。保育園の近くに住む保育士は日常いつでも保育士とみられ、オンとオフがあまりないこともストレスの1つです。最近は男性保育士さんも増えてきてはいますが、保育園はまだまだ女性が多い職場であり、男女ともに職場の人間関係からのストレスや、保護者とのトラブルもストレスとなります。
そして、追い打ちをかけるように毎日が忙しく残業も多くて休みも取りにくい環境だとしたら…リフレッシュできる機会が不足し身体も心もが疲れきってしまい、体の疲れが続くことでストレスが解消しにくくなる悪循環。そもそも「いのちを預かっている」責任が重圧に感じてきてしまう方もいらっしゃるでしょう。

次に保育士さんに多い性格について…

  • 責任感が人一倍強い
  • 真面目さん
  • 周囲の雰囲気に敏感、目が気になる
  • ぜんぶ達成しようとしてしまう頑張り屋さん

という方が多くはないでしょうか?
どうしてもこういった性格の方は、脳のエネルギーの放出が多くそれに伴ってエネルギーが枯渇しやすくなってしまい、自然治癒力では快復できない程までになり、うつ病の原因・要因に影響していると考えられます。
このように身体的なストレスと精神的なストレスが、多くかかってしまう保育士さんはうつ病のリスクが高いといえるのです。

「自分ひとりで、子ども達のためにもっと頑張らないといけない」
と、言い聞かせていませんか?
とてもとても誇りあることですが、この言葉が保育士がうつ病なりやすい原因になっている可能性があります。

早期発見のための「うつ病」のサイン!

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どの病気も早期発見が大事です!
下記の症状がみられたら、うつ病のサインかもしれません。

気分の低下

  • 笑顔でいられない
  • 常にイライラする、不安を感じる、自己嫌悪感が強い、憂鬱、落ち着かない、など
  • 訳もなく、涙が流れてくる、緊張、焦燥感を感じる
  • 自殺願望がある

意欲の低下

  • 何もしたくない、無気力
  • 趣味など、生活の中に何かしらの楽しみを見いだせない
  • 倦怠感、すぐに疲れを感じ意欲がわかない

思考力の低下

  • 集中力や判断能力下低下し、仕事中に簡単なミスを繰り返す
  • つねにぼんやりしてしまう

睡眠障害

  • 睡眠時間は確保していても、眠れない、眠りが浅い
  • 十分眠っているのに寝たりない(過眠)

過食・拒食

  • 食欲減退、体重減少
  • 常に食べてしまいとめられない、体重増加

身体的不調

  • 月経不順
  • 性欲の低下
  • 頭痛
  • 肩凝り
  • 胃の痛み
  • 神経痛
  • 動悸、冷や汗、息苦しさ
  • 便秘

これらの症状が2週間以上続く際には、無理せずにお早めに医療機関へとご相談ください。

「うつ病」の正しいケアの仕方は??

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さて、ここまで読んでくださって快復するのかと不安に感じている方もいらっしゃるかもしれませんね。だいじょうぶですよ。適切な治療・対応をすることで、約7割の方が1年以内には快復するとされています。
正しいケアや方法を知り、ひとりっきりで悩まずにいっしょに乗り越えていきましょう。

うつ病の治療としては、下記の3つが柱となります。

  • 休養
    治療の第一歩は、まずしっかりと休養を取ることです!
    身体だけではありません、頭と心をしっかり休ませてあげてください。物理的に休暇を取ったとしても、もし頭が休まっていなければ休養にはなりません。
    どうしても周りのことをよく見ていて、責任感も強い保育士さんは休暇を取った際に「みんなに迷惑をかけている」「休んだらダメになってしまう」「家族にも悪い」など考えこんでしまってはいませんか?このような自分を追い詰める思考によって、ストレスかかってしまいうつ病の進行の元になってしまいます。
    休むことは悪いことではありません。担当の医師と相談しながら、仕事は休み、家庭でも配慮してもらいつつ、とにかく休んでゆっくりと焦らずに心のケアをしていきストレスを軽減させる環境を整えましょう。
  • 薬物療法
    休養のみでも快復につながる場合もありますが、お薬の力にも頼り快復速度や、再発のリスクをおさえていきます。
    おもには抗うつ薬や抗不安薬、睡眠薬などがあります。人によっては効き目や副作用の大きさは異なってきますのでしっかり医師の指示に従って、地道に自分のペースで続けていくことが大切です。最近の抗うつ薬は副作用があまり出ないものあるそうなので、医師に相談してみましょう。
  • 精神療法・カウンセリング
    うつ病を引き起こす原因はひとつではないので、休養と薬物療法のみでは解決できないことがあります。それは環境と性格要因です。お休みとお薬だけでは解決が難しいものです。ましてや性格傾向は自分の力だけは変わりにくいものですしね。
    精神療法・カウンセリングはおもに再発予防という観点が中心となります。同じような状況の中で、うつ病が繰り返されないように、ご自身の思考パターン・行動パターンを見直すということになります。またストレスへの対処法、ストレスをうまくコントロールできるように、上手く付き合っていけるようにとカウンセリングや精神療法でトレーニングをおこなっていきます。

ただ肝心なのは、この3つ治療を組み合わせて始めればすぐに治療が終わるというものではありません。
じっくりと自分のペースで出来るだけ前向きに治して行くことが大切です◎

また国としても保育士のことを考えメンタルヘルス対策を打ち出しています。
厚生労働省研究班が保育園へ調査を行い、業務環境で改善したい課題として、給与賞与の改善(65%)、職員数の増加(52%)、事務雑用の改善(50%)、休暇の確保(48%)などが挙げられています。また、回答した2,672施設のうち、メンタルヘルスケアが必要な保育士が1人以上いる保育園は719施設(26.9%)もありました。
よって2015年12月から従業員50人以上の企業はストレスチェックが義務化されています。ですが、小規模な保育園は対象外となるため、予算や時間がないという理由でストレスチェックを諦めている民営の保育園があるのも事実です。しかし今後、より強化していく取り組みもありますしメンタルヘルスケア制度を福利厚生に用意している保育園も増えていきています。

まとめ

いかがでしたかでしょうか。
あまり人に話せなくて、調べることも憚られていた保育士さんのお力添えになっていたら幸いです。
どうしても、うつ病の原因を生み出しがちで、悪化させやすい環境におかれしてしまう職業です。
「子どもが好きで保育士を志した!」
「子どもの頃からの夢でした!」
「毎日、可愛い子ども達と過ごすことができ、幸せ!」
その気持ちを忘れたくないですよね。しょうがないと諦める前に、誰かに相談してみるのも良いですよ。

お話しを聞いてくれる専門機関もございます。相談窓口や病院検索を設けています。

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