保育士として必ずする仕事が「掃除」なのではないでしょうか。
保育の根幹は生活ですので、何よりも衛生を保つことは必要不可欠になります。
「掃除なんてあまりしたことがない…」
という方も大丈夫!何事もポイントをつかめば手早く、なおかつ楽しくできるんですよ!
読んだらすぐに、掃除がしたくなるはず!
現役保育士さんの掃除の悩みもズバッと解決。潜在保育士さん、保育士を目指す人は「掃除」に苦手意識を持たずに保育の現場に飛び込んでほしいです。
保育士の仕事は掃除から始まり掃除に終わると言っても過言ではありません。
子どもがいるだけでその場所は汚れるもの。
そこに多くの人がいるのですから細菌やウィルスの発生を抑えなくては感染症が蔓延してしまいます。
出勤してまず掃除を行い、子どもを迎え入れる準備をし、子どもが汚したらふき取り、食事の前にはテーブルを綺麗に掃除し、食事の後は食べこぼしなどを掃除します。
子どもが帰った後は教室だけでなく園全体も掃除します。
「・・・・掃除ばっかりで嫌」
「掃除の雑用ばかり押し付けられる」
「ずっと掃除をしている用に思え、保育士の仕事がしたいのにと転職を考えてしまう」
「以前いた園と掃除方法が違いすぎて困る」
保育園の掃除、実は園によってもずいぶん違うようです。
床材や方針が違うせいなのでしょうが、
「床が木だから水拭き禁止」
「アルコール消毒するとはげるため消毒禁止」
というところもあれば、
「毎食後水拭きし、アルコール消毒をする」
「毎食後からぶきし、水拭きし、アルコールを吹き付けてふき取る」
などというところもあるみたいです。
あるいは、業者が掃除するので先生はしないなんてところもあるようです。
そこでお勧めなのは、厚生労働省の「保育所における感染症対策ガイドライン」です。長文ですが、指針になりますので、保育士さんは必見!一度は読んでおくとよいでしょう。
掃除については17ページからの「衛生管理」が参考になりますよ。
トイレのタンクにカップ1杯くらいの重曹を入れてしばらく置いてから流します。
それだけでタンクの中の汚れもつきにくくなるし、便器の黒ずみも綺麗になります。
頑固な汚れが取れてしまえば、日々の掃除は重曹水を吹き付けるだけでも綺麗になるものです。家庭ではそれでよくても保育園では消毒も必要なので、そのあとピューラックスなどの消毒液でふきとるのはどうでしょう。
「汚れを取る」のと「消毒」するのを一緒にしようとするよりも2段階に分けて考えたほうが綺麗になりますよ。
これさえ意識すると見違えるように綺麗に、なおかつ匂いも気にならなくなるものです。
便座や床などは通常の掃除でも目に付くので綺麗にするもの。
掃除したのにあまり綺麗に感じない・・匂いが残っているという時は、「隙間」なんです。
具体的には「便器と床の隙間」「壁と床の隙間」になります。
隙間には歯ブラシが有効です。ササッとこすってしまいましょう。
時間があるときに、便座を外して便座の奥や側面を掃除することも、いいですね。
施設内外の衛生管理 ○トイレ
- 毎日の清掃と消毒(便器、ドア、ドアノブ、蛇口や水回り、床、窓、棚、トイレ用のサンダル等)
- ドアノブや手すり、照明のスイッチ等は水拭きの後アルコール消毒を行うと良い
- トイレ使用後の手拭きは個別タオル又はペーパータオルを使用
- 汚物槽の清掃及び消毒
保育室を綺麗にしたい!!そう思ったらまず捨てましょう。
物がたくさんあると、子どもの集中力は散漫になるものです。
物が少ないとスッキリするだけでなく掃除がしやすくて驚くと思います。
そうはいっても、ものを処分するのには限度があります。必要なものだけど邪魔、場所をとる…といった場合は、目にとまらないところに収納したり、収納方法を工夫してみましょう。
再利用したい物、工作に使えるかもととっておいてあるカップなどはひとまとめです。
そして、使用頻度の低いものは、一度しまってみましょう。表に出ていないだけで掃除が格段と楽になるものです。
物を減らせるだけ減らしたら、いよいよ掃除です。
慣れれば簡単です。
ルールを決めてしまえば、考えなくても体が勝手に動くようになります。
あるいは、一度子どもの目線になって、寝転がってみてはどうでしょう。
机の裏や床の隙間など、普段気がつかない場所の汚れが見えるものですよ。
施設内外の衛生管理 ○保育室
- 季節に合わせた適切な室温(夏季26-28℃・冬季20-23℃)、湿度(60%)の保持と換気
- 冷房暖房、加湿器、除湿器等の清掃の実施
- 床、棚、窓、テラスの掃除
- 歯ブラシの適切な消毒(熱湯、日光、薬液)と保管(歯ブラシが接触しないように個別に保管する)
- 歯ブラシやタオル、コップなどの日用品は個人用とし、貸し借りの無いようにする
- 遊具等の衛生管理(直接口に触れる乳児の遊具は、その都度湯等で洗い流し、干す。
また、午前・午後と遊具の交換を行う。そのほかの遊具は適宜、水(湯)洗いや水(湯)ふきを行う)- ドアノブや手すり、照明のスイッチ(押しボタン)等は水拭きの後、アルコール消毒を行うよい。
掃除も子どもと一緒にイベントにしてしまうのもいいものです。
大みそかの前には「綺麗にする」由来を話してもいいでしょう。
いくつかおすすめ絵本がありますので、読んで、掃除を楽しみなイベントにしてしまうのもいいですね。
ぐりとぐらのおおそうじ
▽著者名:中川李枝子作 山脇百合子絵
▽出版社名:福音館書店
▽価格:972円
▽内容:ぽかぽかの春がやってきたのに、ぐりとぐらのおうちにはほこりがたくさん。せっかく見つけたほうきやぞうきんも、ふるくて役立ちそうにありません。ところが2ひきは素敵なアイデアを思いついて、おへやをぴかぴかにしていきます。ぐりとぐらの楽しいおおそうじを描いた、大人気シリーズ英語版第8作。 –このテキストは、絶版本またはこのタイトルには設定されていない版型に関連付けられています。
出典:Amazon
もうすぐおしょうがつ
▽著者名:西村繁男
▽出版社名:福音館書店
▽価格:972円
▽内容:冬休みにおじいさん、おばあさんの家でお正月を迎える家族のおはなし。準備の様子やお正月を心待ちにする家族の様子を描きます。
出典:Amazon
おさらをあらわなかったおじさん
▽著者名:フィリス・クラジラフスキー作 バーバラ・クーニー絵
▽出版社名:岩波書店
▽価格:842円
▽内容:おいしいごちそうを作るのが好きで、食べるのも大好き!けれども、食べ終わったときには、もう、くたびれてしまって、お皿を洗わなかったばっかりに、家じゅうよごれたお皿でいっぱいになり、さて、それから…?
出典:Amazon
また、子ども用に小さ目の雑巾をたくさん用意するといいでしょう。
雑巾絞りを「できるかな?」とやらせてみたり、雑巾リレーをするなど楽しむ方法を考えてみてはいかがでしょう。
嘔吐やお漏らしなどがあった場合の掃除は、スピードが命です。
アクシデントがあったらすぐに行動です。乾燥させてしまったらウィルスが蔓延します。
そこでお勧めは救命救急士になったつもりで行うことです。
子どもが嘔吐してしまったら、周囲にいた子どもを別の場所に移動させましょう。
この対応を救命救急士の様に素早く行うためには、1種類ずつのセットを作っておいて「嘔吐セット」にしておくと、素早く行動できます。
◆セット内容
これらをバケツに入れておき、セットしておきます。
するとどうでしょう。
子どもが嘔吐→バケツをもって駆けつけ→ビニールからマスクとエプロン、手袋を装着→新聞でふき取り、ゴミ袋に入れる→使い捨て布でふき取り→消毒し→全部の物をビニールに入れてまとめる。
子どもが嘔吐してから慌てて取りに行くのと、セットをサッと取り出し、あっという間に綺麗にしてしまうのでは時間も短縮でき、感染の拡大も防げます。
何度も言います。気分は救命救急士になるのです。
サッと取り出し、サッと片付ける。あっという間に掃除が終わります。
お漏らししてしまった場合は、直ぐにふき取り、水拭きをした後に、アルコール消毒でいいでしょう。
こちらも子どもに優しく声掛けしつつサッと行います。
これもバケツに雑巾とアルコール消毒をセットしておくと早いです。
掃除の一番大切なアイテムは「雑巾」です。
タオル生地なので何度も洗って使え、どんなところの汚れにも対応するのが雑巾です。
全体を掃除するときにモップなどで掃除するだけでも埃や大きなごみが取れて綺麗になったように見えますが、雑巾がけをすると床は見違えて綺麗になります。
やはり雑巾がけは欠かせません。
ポイントは、雑巾はたくさん用意することです。
使い終わったら漂白剤の入ったバケツに入れておいて、落ち着いている時間にまとめて洗って干すのがお勧めです。これをするだけで何度も洗って絞って干しての手間が激減しますよ。
そして、必ず日光に干しましょう。殺菌されてまた気持ちよく使うことが出来ます。
安心の「ピューラックス」
集団での生活なので、消毒は欠かせません。
必ず子どもの手が届かないところに置きますが、大人にはすぐに使える場所に用意しておきましょう。
万能洗剤「重曹」
重曹を水で溶かした重曹水もお勧めです。
家庭ですべての市販洗剤はやめて重曹とクエン酸で掃除している人もいるほど、汚れを落としてくれます。
100mlの水に重曹を小さじ1杯とかしてスプレーボトルに入れておくだけ。
水拭きをするときにサッとひと吹きするだけで、スッキリします。
重曹には脱臭効果もあるので、おむつを捨てるときにゴミ袋に一振りするのもお勧めです。
綺麗な部屋というのは落ち着くものです。
掃除をすると運気が上がると言われています。仕事で運気をあげるチャンスをもらってラッキーだと思うくらいの気持ちで、毎日やること、せっかくですから楽しんで掃除してみてください。