アレルギーは、現代病といわれています。
実際、食物アレルギーをもつ子供は、2004年に33万人だったのに対し、2013年には45万人に増加しています。
少子化により子供の数は減っているにもかかわらず、いかに食物アレルギーの子供が増えているかがわかりますね。
保育園での、食物アレルギーを持つ子供への対応には、細心の注意が必要です。
ここでは、保育士さんの不安をなくすためにも、食物アレルギーについて詳しく取り上げていきたいと思います。
現代では、アレルギーという言葉は、とても身近なものですね。現代人にとって、花粉症も身近な代表的アレルギーではないでしょうか?今や、日本国民の32%が花粉症だというデータもあります。
そもそも、なぜアレルギーは起こるのでしょうか?そして、なぜ、増え続けているのでしょうか?
アレルギーは、免疫系の異常反応といわれていますが、これには、[衛生仮説]があります。生活を営む環境から土が減ると、自然から免疫を鍛える学習ができなくなります。また、こまめに手を洗ったり、清潔すぎる環境の下で生活をしていると、寄生虫などの感染は減りますが、反面、身体の免疫系を鍛えることができません。そのために、アレルギーの発症が多くなるのです。
これに加わり、低体温の増加、子供のストレス社会、食生活の欧米化、大気汚染など、現代のいろいろな要素が組み合わさって、アレルギーを持つ子供は増え続けているのです。実際、1960年頃から感染症が低下する代わりに、アレルギー疾患が増加しているというデータもあります。
では、アレルギーとは一体どういった症状を指すのか、具体的に見ていきましょう。アレルギーとは、体に中に入ってきた、細菌やウイルスを防ぐための免疫反応が、食べ物、ほこり、ダニなどに対して過剰に起こることをいいます。体内に入ってくる細菌やウイルスは本来邪魔物なので、体が排除しようとするのは自然な反応です。
しかしながら、ごく微量や無害な量にも関わらず、排除しようと過剰反応してしまう状態がアレルギーなのです。また、アレルギーを起こす原因となる食べ物や花粉などをアレルゲンと呼びます。主なアレルギーには、食物アレルギー、金属アレルギー、薬物アレルギー、花粉症などがありますね。
特定の食べ物を摂取したことによって起こる食物アレルギーは、保育園でも細心の注意を払いましょう。
原因となる食べ物は、子供の場合、鶏卵が50%と一番多く、続いて、牛乳20%、小麦7%、大豆・ナッツ類が5%となっています。その他、甲殻類、果物類、そば、魚卵などもあげられます。園児たちが口にする給食はもちろん、おやつの時間に食べるものにも、原料の一部として見えない形でアレルギー食品が含まれていないか、アレルギーのあるお子さんについては気をつける必要があります。
「保育所におけるアレルギー疾患(実態)」(厚生労働省)(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/pdf/hoiku03.pdf)を加工して作成
アレルギーの症状には、じんましん、かゆみ、皮膚が真っ赤に腫れるといった皮膚症状、鼻みず、くしゃみ、咳込みなどの呼吸器症状、口の中がイガイガする、喉や唇、まぶたが腫れるといった粘膜症状、腹痛、嘔吐、下痢などの消化器症状、そして、アナフィラキーショックと言われる、全身性の症状があります。
特にアナフィラキシーの場合、ごく少量の摂取でも、血圧が下がり意識を失うなど、命に関わる危険な症状となるため、注意が必要です。
もし、食物アレルギーによるアナフィラキシーショックを起こしてしまったら、すでに口に含んでいるアレルギー食品を出させ、口の中やアレルギー食品と触れてしまった手や口の周りも水でゆすぎます。その後は、アドレナリン注射を打ったり、安静に寝かせて状態を観察するなど、対応はわかれますが、いずれにしても速やかに医療機関へ相談しましょう。
保育所を取り巻く関係機関が組織的にアレルギーに対して取り組むことができるよう、厚生労働省から、[保育所におけるアレルギー対応ガイドライン]が作成されています。
これによると、29%の保育園で、食物アレルギーの子供の誤食の事故が発生したという報告があがっています。
食物アレルギーは、10%がアナフィラキーショックを引き起こす危険性があるとも言われており、子供の命を守るためにも、こういった事故のないよう、徹底した対応を迫られる必要があります。
[保育所におけるアレルギー対応ガイドライン]
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/pdf/hoiku03.pdf
に目を通し、日頃から必要な知識を身につけておくことが重要かと思われます。
いかがでしたでしょうか?現在、アレルギーをもつ子供が増えているのは事実です。そのため、保育士さんが、アレルギーへの具体的な対処の仕方や取り組みを理解することや、保育士とアレルギーをもつ子供の親との間で密な連携を図ることが重要です。アレルギーをもつ子供たちが安心して保育園に通える環境を整えていけると良いですね。
出典:厚生労働省ホームページ (http://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/pdf/hoiku03.pdf)