子供が1歳になると、赤ちゃんの頃とはまた違った態度や様子を見せるようになります。1歳児には1歳児の、年齢にあった接し方が大切です。
ここでは1歳児クラスを初めて預かる保育士さんのために、1歳児を世話する難しさやポイント、どんな保育の仕方が適切か、解説していきます。
1歳児の大きな特徴と言えば一人で歩けるようになる事です。寝ている時間よりも起きている時間の方が長くなり、お母さんの世話を必要とする時間も長くなります。1歳の子供は、大人では考えられませんが、起きている間は常に何かしていて動きまわっています。
言葉の覚えは個人差がありますが、早い子では「ママ!」からはじまり、「ママ、見て!」といった複数の言葉を組み合わせた言葉を話すようになります。言葉を覚え、行動の幅も広がると表情も豊かになります。と同時に自己主張も強くなってくるので、やりたい事にひたすら猛進します。ものを投げたり、叩いてみたり、時には口に含んで味わってみたりと、好奇心旺盛になるのもこの時期です。
1歳6か月を過ぎる頃にはお子さんも自立心が強くなってくるので、さらに自己主張も強くなり、大人の言う事を聞かない場面も増えてきます。
何でも嫌がる時期でもあり、例として以下のような事を「イヤ!」と言って聞きません。
何でも「嫌!嫌!」と跳ね返されてしまうと、こちらもついイライラしてしまいがちですが、これは子供が自分の気持ちを素直に表現できるようになった「成長」の証でもあるので、喜ばしい事なのです。親御さんにとっては本当に長くて面倒な時期ですが、イヤイヤ期を乗り越えればもう少し落ち着いてくるでしょう。(※一般的に、イヤイヤ期あるいはヤダヤダ期は3歳前くらいまでは続きます。)
以下、1歳児の特徴をまとめてみます。
歩行機能
手先の能力
言葉
感情
行動範囲
生活
1歳児は、自我の塊です。
まだ何をするにも、「やりたい!」という気持ちはあるものの、体がうまくついていこないで失敗することも多くあります。
あるいは、「こうしたい!」という思いがあっても、それを上手く相手に伝えることができず、わかってもらえない、できない、ということもあります。
泣く、ぐずる、反抗する…といった場面は日常茶飯事で、親や保育士さんの手を煩わせたり、他の子をたたく、ひっかくといった行動にでることもあります。
たとえば、下記のようなトラブルが多くみられます。
赤ちゃんが歩けるようになると遊びの範囲も広がり、楽しい事がグーンと増えます。子供はもともと大人のマネっこをするのが好きですが、自分で歩けるようになると、家でもほうきや掃除機など、身の周りにあるものを使って遊ぶ事も覚えていきます。
遊びを通して子供の心身の成長をサポートしていく事も保育活動のねらいです。この時期から身体を動かして楽しむ事を体験させてあげましょう!
まずは1歳児に合うように話し方を変えて接しましょう。1歳児でもわかりやすいように心がけて、ゆっくりと、なるべく簡単な言葉で話しかけましょう。
1歳児のお子様はまだ本当に小さくてカワイイですが、クラスではひっかいてくる子やかみつく子も出始め、大泣きの園児も増えてきます。お母さんを求めて勝手に飛び出そうとする子もいます。園児同士の争いもあるでしょう。
初めて1歳児クラスを受け持つ保育士さんは、慣れていないので戸惑う事があって当然です。焦らずゆっくり慣れていけばいいと思います。
まずは子供たちの事をよく理解してあげなければ保育活動が円滑に進みません。日頃から園児たち一人ひとりをよく観察し、専門書を読んでみたり、わからない事は先輩保育士に積極的に聞くなどしていけば、少しずつ扱い方も上手になっていきます。慣れてくれば、最初はけんかや泣く子ばかりだった1歳児クラスでも、クラスで楽しく過ごしてくれるようになるでしょう。
1歳児はまだ言葉が十分に話せないので、感情表現として噛みついたりひっかいたりする事がよくありますが、そのような子供の心理も理解してあげ、何度も子どもたちの仲立ちしながら「言葉で伝える大切さ」を教えていけるのがベストです。
ここでは、1歳児の保育の注意点を3つにまとめています。保育活動する上で役立ててみてください。
何でも嫌がるイヤイヤ時期に突入する1歳児。自己主張できるようになったところを見るのは嬉しいですが、保育士は保育しづらい面もたくさん出てきますよね。しかし嫌がる子供を否定する事はせず、その気持ちに共感してあげましょう。「嫌だったんだね」の一言かけてあげるだけでも、子供の気持ちは穏やかになります。
1歳児になったらおしゃべりな子もいればまだ全然話せない子など、子供によって言葉の覚えに差がついてきます。特定の子が遅れをとらないように、無口でおとなしい子には特に
たくさん話しかけてあげ、言葉のシャワーを浴びせてあげましょう。子供たちの言葉の上達をサポートしてあげるのも保育士の役目です。この時先生は早口にならないよう、丁寧にゆっくり、目を見て明瞭に語りかけましょう。
自我が芽生えて嫌がる事が増える1歳児ですが、保育士が子どもの対応に悩む事があるように、親御さんも家庭で子供の扱いに困る事はいっぱいあります。どんなに疲れていても子供の嫌々に付き合わなければいけないため、お手上げになってしまう事もしょっちゅうでしょう。
保育士は育児に戸惑う保護者の声にもちゃんと耳を傾け、保護者の思いにも共感してあげます。保育園での様子を細かく連絡したり、うまくいった話を伝える事によって、保護者に子どもとの関わり方を知ってもらったり、安心感を与えるきっかけとなります。
日頃から保護者とのコミュニケーションを大事にし、保護者だけでなく保育士も一緒になって子供の成長に寄り添っていけるといいでしょう。
1歳児の子供はまだまだ幼いので、大人の保育士さんにとって本当に接し方が難しい部分がたくさんあります。面倒な対処も多々ありますが、子供の気持ちに寄り添って共感してあげる事、否定しないであげる事を心がけ、優しく成長を見守ってあげましょう。