「待機児童問題」が深刻化するなか、政府は保育士不足を解消する対策を進めており、2017年度末までに新たに6.9万人の保育士確保が必要であるとしています。
「潜在保育士」の掘り起こしも含め、不足する保育士の確保が早急に求められている昨今ですが、子育て中の保育士さんにとって、子育てと仕事の両立は、容易なことではありません。
こちらでは、子育てに、仕事に、と、奮闘中の保育士さんの本音を、ご紹介していきたいと思います。
保育士として働く人は全国に約40万人いますが、資格を持っているにも関わらず、保育士として働いていない「潜在保育士」は、約70万人に達するとされています。
こうした人々の職場復帰を促すことができれば、保育士不足の問題は大きく前進するのでは、との見方があります。
では、せっかく資格を持っているのになぜ保育の仕事をしないのでしょうか。
その理由として、「賃金が希望に合わない」を理由に挙げている人が約半数、「休暇が少ない、取りにくい」も約四割を占めています。
さらに、子育てをしている潜在保育士さんにとっては、子育てとの両立というハードルも加わるため、復帰への難易度はますます高くなってしまうのです。
上述した問題を解消すれば、保育士として働くという方は、約6割に達もするそうですが、子育て中の潜在保育士の方の場合はどうなのでしょうか。
政府は、「子ども・子育て支援新制度」において、保育士の勤務環境を改善し、保育士が働き続けられる職場を目指し、対策を行っています。
例えば、平均3%の給与改善、ブランクにより職場復帰に不安のある方を対象とした職場復帰のための保育実技研修、業務の負担を軽減するための対策などなど、政府も様々な対策を打っているのです。
そして、子育て中の保育士さんの子供は、保育所へ優先的に入所できるようにするなど、子育てとの両立を容易にする内容も挙げられています。実際に、保育士さんの子どもが優先的に入所できるよう配慮している自治体もあるようですが、まだまだ多くはないのが実情です。
子育てをしていると、子供の突然の発熱や怪我など、予想できない事態ばかり起こります。
子どものいない方はわからないかもしれませんが、「またかよ…」と思うくらい、次から次へと風邪だの胃腸炎だのおたふくだのと、出勤を妨害してくるんです。
大切な行事だったり、この日だけは絶対に休めない!といった大人の事情は一切加味して貰えませんよね…。
どんなお仕事でもそうですが、子育てと仕事の両立は本当に難しく、周囲の理解や協力なしには成り立ちません。
実際に、子育てしながら保育士をしている方や、検討中の方からも、「難しい!」と否定的な声が多くあがってきています。
保育士と子育てを両立するために必要だと感じることとしては、家族の協力、急な休みに対応できる職場体制、子育てへの職場・周囲の理解、産休・育休制度などが挙げられます。
子育てをしながら仕事をすることは、とても大変なことであり、政府がいくら改善策を講じても、それだけではやはり難しい…。
子育てとの両立する保育士さんは、周囲と上手くコミュニケーションを取り、自分の環境を周囲に理解してもらい、必要な協力を得ることがもっとも重要でしょう。核家族化が進み、ご近所づきあいも希薄になっていく時代ですが、周囲を巻き込む力、いざという時お互い様ができる関係性を作っておくことが、困難な両立を可能にするのかもしれませんね。
せっかく保育士になったのに自分ではどうにもできない部分で、働きたいのに働けないというのはとても残念なことです。
子育ての経験を通して見えてくるものは多く、保育をする上で大事な要素もたくさんあると思います。
子育てをしているから働けないと身を引くのではなく、子育ての経験を武器に、無理せず、自分のできる範囲で働くことができるといいですよね。
また、職場に子育てと両立してがんばっている保育士さんがいることで、職場の理解も進み、職場環境の改善や、以降も子育てと両立する保育士さんが増えるのかもしれません。