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幼児虐待の発見に繋がる!些細な異変に気がついて!!~背景に潜む機能不全家庭~

子供の虐待は、年々減ることなく世間には、わからないところで虐待を受ける子供がたくさんいます。
子供達と長い時間一緒に過ごす保育士さんは、親子の様子や子供の体の様子などから虐待を見つけられる可能性があります。
虐待をいち早く発見し、防ぐためには、虐待についての知識を持つことが大切です。
今回は、そんな幼児の虐待について解説していきたいと思います。

なくならない幼児虐待の実態

児童虐待は、年々減ることなく問題となっており、メディアなどで取り上げられ認知度が高くなってきています。
そのため虐待問題は、国の問題として厚生労働省で様々な対策が考えられ実行されていますが、児童虐待により死亡する事例は一年に50件以上もあり、減少していないことが現状です。
また、厚生労働省により、児童虐待の相談機関を設け統計を取り始めてから、児童虐待相談対応件数は年々増えていることが、下記のグラフでわかります。

児童虐待相談対応件数の推移

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出典:厚生労働省

死亡事例では、0歳などの乳児に対し、実母が虐待し死亡させてしまうケースが多くなっており、虐待防止の今後の対策が求められています。

急増中!!機能不全家庭とは?

機能不全家族とは、家庭内での両親の対立や暴言、暴力、子供への虐待が日常的にある家庭や、両親が親として機能しておらず、本来なら安心することができる場所を子供に与えられない家庭のことを指し、家庭崩壊などとも呼ばれています。
機能不全家族は、家庭内で起きている事も問題ですが、そのような生活が当たり前だと思い育ってしまう子供への影響が懸念されています。
機能不全家族の中で育った子供の事をアダルトチルドレンと言い、本来の自分ではなく、家庭が上手く機能するように、その役になりきるという自分に、気付かないうちに陥ってしまっているケースが多くあり、大人になってから生きにくさに悩む方が多くなっています。

<機能不全家族に多い子供の特徴>


ヒーロータイプ

優秀でしっかりした子でいようとする。
親に頼られ信頼されることで家庭内のバランス保とうとするが、親の期待がどんどん膨らむためプレッシャーや失敗への不安感に悩まされる。


スケープゴート

自分の存在を主張するため、攻撃的になり家庭内や保育園などで問題を起こす。
大人になってから上手に人間関係が築けなくなってしまう。


ロストチャイルド

大人しく目立つことをせず、家庭内でいないふりをする。
聞き分けがよく手がかからないため、放っておかれることが多く、孤独感を強く持ってしまう。


ピエロ

おどけたり冗談をいって笑わせることで、家庭のバランスを保とうとする。
周りの顔色をうかがい、気を使いながら盛り上げ、機能していない家庭環境を良くしようと努力する。


ケアテイカ―

家庭の中で、親や兄弟の愚痴を聞き、時には仲裁に入るなど、世話をやく。
人のために動くことが多く、世話をやく人がいないと何をしたら良いのかわからなくなってしまう。
やさしく思いやりのある子だと思われがち。

このように、機能不全家族から、子供の人格に影響を及ぼし、成長する過程や大人になってからの生きにくさを感じてしまうようになります。
身体的虐待は、体のアザや傷などから見つけることが可能ですが、機能不全家族は、虐待だけではなく、家庭内の乱れであり保育園に通う子供達の中から、見つけることは困難となっています。
上記の特徴や親子の様子で、虐待や機能不全家族の可能性があると判断したら、児童相談所に連絡するなど保育園で、できる対策を考える必要があります。

継父による子の虐待が急増中!?

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虐待をして死亡させてしまうケースの加害者は、実の母親であることが、統計上多くなっていますが、近年増えている虐待の1パターンとして、「母親の彼氏から子どもへの虐待」があります。強い意志を持ってシングルマザーで子供を育てる道を選んだ方も、お金がない、寂しい、疲れたなどの気持ちがあると、相手を冷静に選ぶことができず、借金があり暴力をふるう男性でも惹かれてしまい、一緒に暮らし始めてしまうケースがあります。
同棲後、子供も一緒に生活しますが、可愛いだけの子どもなんていませんから、「泣き喚く」、「態度が悪い」、「言うことを聞かない」といった場面に遭遇することもあるでしょう。
子どもと血のつながりがなく、子どもの扱いもよくわからない男性だと、「泣き喚く子供を落ち着かせよい方向へ導く」ことは容易ではありません。
特に2,3歳児のかんしゃくへの対応は、子育て経験豊富なママでも、しんどいものです。
「何泣いているの?」から始まり「うるさい」、「だまれ」、「※※※!」口で言っても泣き止まなければ何かしらの手段にでてしまうのも不思議はありません。
そして、「虐待すること」も、日常的になってしまうとエスカレートする一方です。

母親の見ていない隙に虐待を繰り返すケースもありますが、見ている前で虐待しても母親が止められないケース、母親の愛情が彼氏に向かってしまうと2人そろって虐待してしまうケースもあります。
また、お互いに、「この人がいないと生きていけない」「絶対に必要」と思い込んでしまう共依存という状態があり、母親、彼氏ともに相手に依存してしまい「よくない状態」と頭の片隅では認識していながらも、関係を断ち切れず、一緒に虐待してしまうという状況に陥ってしまいます。

依存の要因として、金銭的な結びつきや精神的な結びつき、肉体的な結びつきがあり、ひとたび「共依存」の関係に陥ってしまうと、なかなか抜け出すことができません。
まずは、自分がそのような状態に陥っていないか確認し冷静になる必要があります。
自分ではなく、優先すべきは、他に頼ることができない子供であることを忘れないようにしましょう。
「子どもが虐待を受けているかもしれない」、「子どもが安心して生活できていない」といった不安があるようなら、一度相談窓口へ相談してみることをオススメします。


◇子ども虐待防止オレンジリボン運動

http://www.orangeribbon.jp/counter/


◇厚生労働省 児童相談全国共通ダイヤル

http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/gyakutai/


◇日本こどもの虐待防止民間ネットワーク

http://www.jcapnet.jp/consult/pc_kiyaku.php

<まとめ>

減らない虐待と、その背景にある家庭の事情…、親の苦悩…。
毎日笑顔を振りまいてくれる子どもたちの中にも、実は先生に言えない、辛い虐待を経験している子がいるのかもしれません。
虐待する親も、虐待されている子どもも辛い…、救いを求めているのです。
保育園の先生や、ご近所さんなど、「もしかしたら…」という痕跡に気がついたときは、どうか勇気をもって救いの手を差し伸べてほしいものです。

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